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オズのビリーナ

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第十一幕その四

「安心してね」
「じゃあこれから」
「いい?ドラゴンはおおむね寝たら中々起きないの」
 ビリーナはここでドラゴンの習性のことをお話しました。
「それで寝起きが悪い場合もあるの」
「あっ、そういえば」
「そうだよね、ドラゴンってね」
「一回寝たら中々起きないお話が多いね」
 恵梨香にです、ジョージと神宝が言います。
「それで起きたら暴れるとか」
「そうしたお話もあるね」
「オズの国でもそうなのね」
「ええ、そうよ」
「そうしたドラゴンもいるわよ」
 三人にガラスの猫とエリカが答えます。
「中々起きないし無理に起こして暴れる場合もあるから」
「注意してね」
「そこは一緒なんだね」 
 カルロスは寝ているドラゴンを見て述べました。
「他の世界のドラゴンと」
「このドラゴンもそうかしら」 
 トロットも言います。
「起きないし寝起き悪いのかしら」
「その可能性はあるから」
 だからとです、ビリーナはトロットにも応えました。
 そしてです、こうトロットに言いました。
「北風と太陽でね」
「太陽でいくのね」
「鳴らぬなら鳴かせてみせよよ」 
 こうも言ったビリーナでした。
「それでいくわよ」
「豊臣秀吉さんね」
 恵梨香は鳴かぬならと聞いて述べました。
「それは」
「日本の戦国大名ね」
「天下人よ」
「その人みたいにね」
「鳴かせてみせよなの」
「今回はね、起きないならね」
 それならというのでした。
「起こしてみせよよ」
「北風と太陽なら太陽で」
「それでいくわよ」
「具体的にはどうするの?」
「まずはトロットにテーブル掛けを出してもらうの」
「これね」 
 そのトロットからの言葉です、実際にもうテーブル掛けを出しています。そのうえでビリーナに微笑んでこう言うのでした。
「私もわかったわよ」
「私の考えが」
「ええ、何となくにしても」
「そうでしょ、じゃあいいわね」
「今からよね」
「ドラゴンの好きな食べものを出すの」
 テーブル掛けからというのです。
「そうしましょう」
「ドラゴンの好きなものというと」
「お肉よね」
「しかも大きな生肉ね」
「それを前に置いたら」
 寝ているドラゴンのです。
「起きるわよ」
「そうよね」
「匂いでね」
「じゃあ今から出すわね」
 トロットも応えてです、そのうえで。
 トロットは寝ているドラゴンの前にそおっと、ドラゴンを起こさない様に気をつけて近付いてです。そしてでした。
 テーブル掛けを開いてそこに大きな、牛一頭位の生肉の塊を出しました。ナターシャはその肉の塊を見て言いました。 
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