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提督はBarにいる・外伝

作者:ごません
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大泥棒一味が鎮守府にやってくる編(未完)
  大泥棒が鎮守府にやって来る~はじまり~

 
前書き
ここからはハーメルン時代にクロスオーバーした作品、

『大泥棒一味が鎮守府に着任しました。』

とのコラボストーリーとなっております。作者の隠岐彼方さんからは転載の許可を頂いた上でこちらに投稿しております。

また、未完と付けさせて頂いたのはそのままの意味で未だコラボストーリーが完結していない為、であります。これも現在調整中ではありますが、隠岐さんの作品の方で続きが投稿されれば此方もそれに付随して続きを書く、という方向で調整中です。いつになるとは明言出来ませんが、気長にお待ちいただければと思います。 

 
 とある日の夜。その日は珍しく客がおらず、カウンターに座るのは金剛一人だけ。俺はといえば嫁の相手もおざなりに、元帥の爺さんに送り付けられた報告書を読んでいた。

「darlingはさっきから何を読んでるデース?wifeの相手もしないで。」

 少しムッとした様子でこちらを睨み付けてくる金剛。今日はスコッチを過ごしすぎたのか、絡み酒のようになっている。

「ん?あぁ、これか。この間の『礼号作戦』の時、深海棲艦と中ご……ゲフン、某国の戦闘機に襲われただろ?」

「あ~、そんな事もありましたネー。」

 あの後、某国と深海棲艦と両方に通じている裏切り者が居るという話になり、元帥の爺さんと軍令部、憲兵隊の一部が躍起になって探していた。それが漸く見つかって捕縛されたという旨の報告書だった。

「しっかし……、こいつぁとんだお笑い草だぜ。」

 なんでも、捕縛された時にはその提督はパンツ一丁の姿で猿ぐつわを噛まされ、お誂え向きに縛り上げられていたらしい。しかも内側から鍵のかけられた密室だった、ってんだから面白い。更には自供の電話が憲兵隊の庁舎に直接あったなんて話まで出てきたら、もはや漫画やアニメの世界の話かと疑いたくなる。……だが、今の海軍の中にはそれを可能にしそうな奴が、いや、奴等がいる事までは俺も個人的に掴んだ。

「最初に話を聞いた時には耳を疑ったがな……。」

「ン?どうしましたdarling?」

「なんでもねぇよ、気にすんな。」

 そう言って俺は金剛の頭をクシャクシャと撫でてやる。まさか、伝説の大泥棒『ルパン一味』が現実に居るなんてな。




 そんな会話を交わした翌日、俺は早速爺さんに電話をかけていた。内容は勿論、ルパン一味絡みの事だ。

「だぁから、個人的に興味があるから招待したいだけだっての。反逆とか謀反とか、そんなくっだらねぇ事なんぞ考えてねぇわ。」

『し、しかしな。お前さんとその鎮守府は規模がデカいんじゃ。今は大人しくしとるようじゃが、元は犯罪者の者を招待したいなどと……』

「うるっせぇなぁ、ったくよぉ。埒があかねぇから俺個人の客として招くわ。じゃあな!」

 爺さんの返事を待たずにガチャン!と電話を切る。大人しくぅ?寝惚けてんのか。ここんとこブラック鎮守府やら裏で悪どい事をしてやがった提督や鎮守府が秘密裏に『処理』されているって話だ。その裏にはいつも、ルパン一味の暗躍の影がちらつく。何故提督になったのか、個人的に興味があった。同じく提督になった者としてもだが、噂でその存在を聞き齧っていた一ファンとしても興味があった。思い立ったが吉日と、俺は早速招待状をしたため、ルパン提督に送った。




 数日後、是非とも訪問したいとの返事を貰い、視察の名目での公的な訪問の許可も取った。何一つ問題はない。念のため、鎮守府内の施設の警備の強化はしたが。そして訪問の日を迎える。

「それで、なんでdarlingはそんな格好なんですか……。」

 辟易したような顔の金剛がこちらを見て呟いている。俺の服装は白い海軍の制服ではなくアロハシャツに七分丈のカーゴパンツ、ビーチサンダルにサングラスと完全に軍人らしからぬ服装だ。普通なら視察受ける側は礼儀を尽くすべきなのだろうが、今回は建前上の話だ。ただ単に提督同士の親睦を深めたいとルパン提督を招待したわけだ。

「別にいいだろ?演習したりとかそういう公式的な訪問じゃねぇんだ。それに、向こうも制服着てくるような連中じゃねぇさ。それに暑いし。」

 ルパン提督とその二人の補佐官、次元大介と石川五右衛門の服装が上層部のやり玉に上がっているらしい。制服を着るのを断固固辞しているらしく、頭の堅い古狸共はカンカンらしい。だが、俺はその話を聞いて何ともルパン三世らしいと思った。

 神出鬼没・天下御免の大泥棒。何者にも縛られないという姿勢をその出で立ちで示している訳だ。そういう心意気が俺は好きなんだ。向こうが私服で来るならば、こちらも示し合わせたように私服。これは気遣い無用の俺なりの意思表示ってワケさ。と、航空機のエンジン音が響いてくる。ウチの鎮守府が敷設した飛行場にスムーズに降りてきた。タラップから最初に降りてきたのはルパン三世その人だった。

 赤いジャケットに青いワイシャツ、黄色のネクタイ。細面の顔に細長い手足。そして怒り肩。資料として貰った写真で見たそのままの姿で、まるで二次元の世界から三次元の世界にそのまま飛び出して来たようだ。続いて降りてきた次元と五右衛門も写真そのままの容姿で、こっちの頭が若干混乱しそうになる。

『ルパン一味は実在していたんだ!』と根っからのルパンファンなら感動して泣いてしまいそうな程にリアルだ(当たり前だが)。

「ようこそブルネイへ。俺がここの鎮守府の提督、金城だ。遠路はるばる悪かったな、ルパン提督。」

「いや~、俺様提督としてはまだまだ新人のペーペーだもんで。ベテラン提督のご招待とあっちゃあ来ない訳にもいかんでしょ~?」

 ルパン提督はニヒヒヒと笑いながら握手を交わす。その声色や口調まで報告書にあった通りだ。まぁ、水清ければ魚棲まずってな。俺もそれなりに汚れ仕事もしてるワケで、それなりの情報網は持ってるワケなんだが、そこから出された報告書や音声データそのまんまだ。

「しっかしまぁ、実在してたんだなぁホントに。噂には聞いてたが。」

 俺が全身を眺めていると、ルパン提督は少し困ったような苦笑いを浮かべている。

「そういやアンタ、制服は着ねぇのかい?」

 空気を張り詰めさせたまま、ルパンの後ろに控えていた次元が口を開いた。

「生憎と学がねぇモンでな。堅っ苦しいのが嫌いなんだよ。お前さん方もそういうクチだろう?」

 お互いに私服のままだ、そう言われてしまえば返す言葉も無いだろう。

「……そういえば、事前に艦娘を3名同行させると聞いてたんだが?」

 招待状の返信が返って来た時に、護衛を兼ねて3名の艦娘を同行させると聞いていたが、姿が見えない。

「おっといけね、忘れてた。お~い!降りてきていいぞ~!」

 ルパンの掛け声を合図に、3名の艦娘が降りて来た。 
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