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~異世界BETA大戦~ Muv-Luv Alternative Cross Over Aubird Force

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模擬戦

 
前書き
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
毎度更新が遅くて申し訳ありません。
年末は諸々と公私ともに多忙でした・・・・。 

 

「私と中川少尉は中央から進撃、鳴海少尉と平少尉は右方向から迂回して目標へ向かえ!高山少尉と辻村少尉は拠点防衛と中央隊の援護を。」碓氷が国連A-01のメンバーへ矢継ぎ早に支持を飛ばす。
「「「「「了解!」」」」」
「中川少尉、帝国軍の衛士たちの錬度、どう思う?」碓氷がモニターチェックを行いながら中川へ問いかけた。
「そうですね、事前に聞いていた情報では、斯衛軍とともに京都防衛戦にも参加して生き残った実力のある部隊ですし、実際にかなり錬度が高いのではないかと思います。」少し首を傾げて考えるポーズをとった後に中川はそう答えた。
「その根拠は具体的にどの辺を見てそう思った?」碓氷はまるで教官のように問いかけている。
中川もそれとなく、そういう雰囲気を悟ったのか、座学の時のように理路整然と言葉を選び、答える。
「はい、中尉、まず一つ目はこちらに転移する前に彼らを少し遠くに目撃して見ていたのですが、BETAに包囲されていた際も連携良く対処していましたし、鳴海少尉たちの援護で空けたわずかな隙をベストなタイミングで絶妙にお互いをカバーをし合って離脱していました。」
「確かにな。それは私も見ていたが見事な連携だったと思う。だが1機だけ動きが良くない機があったのでその連携も少し乱れていたようだがな。」碓氷もその点は遠くから確認していた。
「はい、確か入江少尉という方の機体がスラスターと燃料タンクが損傷を受けていた為、と聞いています。」
「食堂の歓談で情報交換した際に聞かされた、あの破壊された激震の衛士か・・・・。」碓氷の脳裏には、オルキス軍の偵察チームがもたらした、入江機の残骸の映像がフラッシュバックした。
だが、損傷のほとんどなかった入江機の管制ユニットには遺体は残っておらず、血痕すら認められず、まるで衛士だけが忽然と姿を消したかの印象だったのだ・・・・・。
それはさておき――――碓氷は邪念をとりはらうかのように軽く頭を振った。
「はい。そして二つ目は外周を巡ったウォーミングアップの時の連携です。我々も留意はしていたのですが、彼らは常に死角をなくしてお互いをカバーし合える位置取りとそれを維持したまま移動を完遂していました。」―――――中川は良く見ている。
実は指揮官候補として中川を育てるつもりの碓氷であったが、自分の判断が間違っていなかった事にほっとすると共に、いつ何があるかわからないこの状況下、一刻も早く育て上げなければ!と心に誓うのであった。

遠野は外視カメラに映る艦隊の艦艇群とその先にいるはずの国連軍部隊のスクワイエルの動きを考えていた。
模擬モードでの索敵範囲は500mほどなので、現在彼らの姿をとらえる事は出来ない。
・・・・・シュミレーターでの戦闘や外周機動を見る限り、彼らは固定エレメントでの連携が中心となっていると遠野は感じている。
対して遠野たち帝国本土防衛軍のメンバーは、物量で押してくるBETAに対してはエレメントという概念はあるものの、どちらかというと中隊ごとに運用を行い、可能な限り火力を上げて対処するという方策が取られていた。
まさに個々の戦技を生かす戦術と集団の特長を生かした戦術の違いである。
恐らく彼らはエレメントごとに分散させて拠点防衛本隊と陽動を別個に運用してくるだろう。
それならば・・・・・。
遠野が取った策はこれだった。
「シーモア軍曹、拠点の防衛をお願いできますか?」
「はい、中尉殿、了解であります!」シーモアは快諾した。
彼にとっても急参加の中隊での連携を求められるより単独での行動許可が出たことは嬉しい限りであった。
「お任せください。拠点を守り切って見せますよ!」
遠野の中隊所属ではないので連携はやや難しいものの、シーモアのスクワイエル操縦技量は間違いなく遠野たちよりも遥かに上等である為、彼単独に拠点防衛を任せて残りの部隊全軍での進撃を選んだ。
「ただし、接敵の場合は1機増援するので、なるべく持ちこたえる方向で頼む。」遠野は作戦上の追加点を指示した。
「了解!」シーモアは不敵な笑みを浮かべながら応える。
「よし、それでは全機、フォ-メーション・アローヘッド・ワン(楔壱型)で突入するぞ!」
「「「「了解!」」」」

「さて、始まりましたね。カミナガ中佐はどのように予想しますか?」レーダーモニターをチェックしながらアントワープが何気に訊ねてきた。
・・・・えっと、どっちに賭けるとかじゃないよね・・・・?
「そうですね、模擬戦で見た限りですが碓氷中尉の部隊はエレメント重視のようなので物量で押されたら不利でしょうが、ある程度持ちこたえて別働隊をうまく使えば拠点撃破出来るでしょう・・・実際にそれを狙っているふしがありますね。ただし、シーモア軍曹の防御を突破出来れば・・・・ですが。」とりあえず見た感じこんなところかな。
彼らの腕ではシーモア軍曹を倒すのはかなり難しいだろうな。

「やはりそう見えますか・・・・さすがですねカミナガ中佐!実はもっと新兵に近い立場の者を当てようかと思ったのですが、それでは彼らも勉強にはなりませんから・・・・ね。」アントワープはちょっと意地悪そうな表情でモニターを見ている・・・・・あ?!今軽く口角上がったよね?微笑ってるよね?コワイヨー!・・・・・・・・。
でも本気で賭けようとかじゃなくて良かったよ・・・。
「ところでブルーチームについてはどう思いますか?」アントワープは先ほどの表情をあらためて俺の方を見て言った。

「ええと、遠野中尉の部隊は部隊単位での行動に重きを置いているようですね。突破力はあると思いますが、臨機応変な細かい対応がやや難しいのではないかと感じます。たとえば模擬戦の時もそうでしたが思わぬ方向や手段で攻撃された時に結果的に細かい指示を与える事は出来ますが、決断までに少々時間がかかっているので、敵の動きを見てリアルタイムで手を打つのが苦手な印象があります。恐らく判断材料になる部下の行動限界や対応能力の把握と配慮がやや甘いからなのかも知れませんね。」遠野中尉はやや、型にはまりすぎて杓子定規なところがあるので、応用力がイマイチな気がするしね。
真面目なんだけど、堅物?って感じかな。

「なるほど、私はトーノ中尉は色々と求めすぎて、やや優柔不断な傾向にあるのかと思っていましたが、確かに判断の前提となる戦力把握能力に難があるとすれば、それも納得出来ますね!」うん、アントワープ先生の仰ることもそう間違いではない気がするけどね・・・・・だけど、それなら遠野中尉は指揮官失格だよね?

――――そして模擬戦は中間地点でのレッド・ブルー両チーム接敵による幕開けであった。
「築山少尉、右だ!牽制しろ!笹川少尉は後方警戒!」レッドチームの碓氷機と中川機の襲撃に対し、遠野は矢継ぎ早に指示を出す。
次の瞬間、築山機のライフルから模擬用低出力レーザーが照射され、近づいて射撃しようとした中川機が回避に移り、離脱する。
『チッ、外したわ。勘がいいのね・・・・でもこの次は必ず落とす!』築山はひとり呟きながら中川機を目で追う。
「築山少尉、その調子、だけど深追いは禁物だ!」放っておくと中川機を追撃しそうな態勢であったために、遠野が釘をさす。
「了解!」築山はやや残念感があったものの、遠野の指示に素直に従った。

『むぅ、まるで光線級に狙われた時みたいで落ち着かない・・・・でも今なら避けられる。』
中川は築山の攻撃を躱す事に成功したが、光線級に照射された時のような焦りを感じた。
だが、すぐに地球の戦術機よりかなりの高機動を誇るスクワイエルに搭乗していた事を思い出し、気を落ち着かせる。

―――そしてその頃、ブルーチームの拠点に孝之と慎二が到着する。
「慎二!敵の拠点ってあのでっかい戦艦のブリッジだよな?」孝之が望遠モードのマルチモニターを通して映るエルガウェインR級戦艦を見ながら慎二に問いかけた。
「ああ、確か“ガムス”だっけ?」慎二が応える。
「ようし!いただきだ!」孝之はそう叫んで攻撃態勢にうつる。
「おい待てって!待ち伏せがあったらどうするんだよ!」慎二が慌てて孝之を止めようとしたその時、レーザーが照射されて孝之機が被撃墜モードになる。
「うおあ!マジか?」慎二は自機にも照射されてきたレーザーを避けながら叫んだ。

『よし!1機撃墜!あとは1on1、負けませんよ、少尉殿。』シーモアは艦橋の裏に隠れて待ち伏せをしていたところ、鳴海・平の両機が接近、鳴海機が割と無警戒で突っ込んで来たため楽に撃破した。
さすがに平機は油断せずすぐに回避行動に移った為、初撃では落とすことが出来なかった。

『くっ孝之、油断しやがって・・・。』慎二はシーモア機を狙って照射を続けるが、回避行動が巧みで当てることが出来ずに翻弄されていた。
慎二も必死に回避する。
『何とか遮蔽物をうまく使って当てられないかな・・・・。』ガムスの艦体を見ながら遮蔽出来そうな箇所を探す。
そうこうしているうちに2機はOLG砲塔の陰に隠れながら撃ち合いを始める。
このままではこう着状態になるのだが、なぜかシーモアも動かない。
よし、それなら一か八か吶喊してみるか!と慎二がそう思った次の瞬間、被撃墜モードとなる。

模擬戦の結果―――ブルーチーム(帝国軍チーム)の勝利となった。
自軍拠点へ来援した笹川機に平機が撃墜された後、ほどなくして高山機が遠山機によって被撃墜、笹川が本隊へ合流してから5-3の状況で押し、松山機に辻村機が撃破された直後に一ノ宮機によってレッドチームの拠点が落とされた。

そして模擬モード解除後、全機が一旦オルフェーリアへと帰投する。 
 

 
後書き
今回は作戦上シーモア無双とはいきませんでしたが、あの面子で実際の1onなら彼は間違いなくTOPの腕前です。 
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