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デュエル・マスターズ~龍を使役する少年の物語~

作者:ガタック
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第18話:勝vsレオン

 
前書き
 今回は満を持して、勝とレオンの対決です。
 それでは第18話、どうぞ! 

 



 夜。どこかの荒廃ビル。

 そこで、他人のレアカードを奪おうとしていた少年、黒崎レオンと、彼の行動を見ていた少年、日伍勝の二人は偶然、出会った。

「……勝、何故、お前がここに…?」

 そんな中、勝が何故ここにいるのか、レオンは気になり、勝に問い掛けた。

「レオンこと、ここで何をしているの?」

 だが、レオンの質問を答えず、逆に勝はレオンに問い掛けた。

「……見ての通り、コイツのレアカードを頂きにきた」

 勝の問い掛けにレオンはあっさり答え、それを聞いた勝は目付きを鋭くし、彼を睨んだ。

「……ユイちゃんの言う通り、か。本当に、他人のレアカードを奪ってたんだね。レオンっ!」

 そんな彼を、勝は強く怒りを感じた。

 実は部活中に、結衣に呼ばれた理由はレオンが他人のレアカードを奪っていたことを結衣から知らされていた。

 最初は冗談かと思った。だが、実際に彼に会うと、どうやら結衣の話は本当のようだ。

「……だったら、どうする?」

 そんな彼をレオンはどうするか、勝に問い掛けた。

「勿論、止めるよ!今、ここで!」
「フッ、面白い!」

「「デュエマ・スタートっ!!」」

 序盤、勝はいつものように《一撃奪取(スタートダッシュ)トップギア》、《コッコ・ルピア》の順に、コスト軽減クリーチャーを並べ、最速で《ボルシャック・NEX》の召喚を狙う、下準備ができていた。

 対するレオンは《フェアリー・ライフ》でマナを貯め、《解体人形ジェニー》を召喚し、勝の手札にあった《ボルシャック・NEX》を墓地に送らせた。

「これでお前の切り札は消えたな」
「まだだよ!《NEX》を失っても、まだ、デュエルは終わっていない!ドロー!」

 引いたカードを見てまだ勝機があるのか、勝はニヤリと笑みを溢し、それを見たレオンは目を鋭くし、警戒した。

 マナを1枚貯め、4枚にし、そのまま勢いよく4枚をタップ。

「頼む!《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》っ!」

 現れたのは背中に砲撃を装備した四つ足の蒼い竜、《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》。
 能力は以前、モルトが使用した《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》と同じ、攻撃したシールドを強制的に墓地に送る能力。
 ただし、《サファイア》とは違い、《ホワイト》はスピードアタッカーを持っておらず、シールドを墓地に送れるのはたったの2枚。
 おまけにパワーは《サファイア》より低いが、その代わり、コストが軽く、《サファイア》と違って、殿堂ではないので4枚フルに使用できる。

「ターンエンド!」

 そのまま、レオンのターンに移り、《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》が現れたことにレオンは少し考える。

(……《ホワイト》、か。少し面倒だが、放置しても問題ないだろ)

 そこまで考えると、マナを1枚貯め、5枚にし、その5枚をタップ。

「呪文、《超次元ミカド・ホール》。お前の《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》のパワーを-2000。その後、超次元ゾーンからコスト9以下の闇のサイキック・クリーチャーを1体、超次元ゾーンからバトルゾーンに呼び出せる!」
(来る!)
「来い!《時空の封殺ディアス Z(ゼータ)》っ!」
「っ!」

 《ディアス Z》が現れたことに勝は一歩、下がってしまった。

 何故なら、そのあまりにも圧倒的なオーラの前に勝は下がってしまったのだ。

「《ジェニー》でシールドを攻撃っ!」
「…トリガーはない」
「ターンエンド。わかってると思うが、お前のクリーチャーが3体離れると、《ディアス Z》は覚醒する」
「…だったら、その前に攻撃するまでだっ!」

 右手の人指し指をレオンに向けて勝はそう言った。

「僕のターン!」

 勢いよく山札からカードを1枚引き、マナを1枚貯め、5枚にし、その内、2枚のドラゴンをタップ。

「《シンカゲリュウ・柳生・ドラゴン》を召喚!マナゾーンにタップしている2枚のドラゴンをアンタップ!更に、《セルリアン・ダガー・ドラゴン》を召喚!バトルゾーンのドラゴンの数分、ドロー!」

 勝のバトルゾーンには《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》、《シンカゲリュウ・柳生・ドラゴン》、《セルリアン・ダガー・ドラゴン》の3体。
 よって、山札からカードを3枚引ける。

 それを見たレオンはフッと、小さく笑みを溢した。
 何故なら、以前の勝なら、バトルゾーンを展開または立て直し、手札を整えるなど、そう簡単にはできなかった。
 ましてはマナの管理など、容易ではなかった。
 それが今ではここまで強くなっていた。
 仮にこれが、自分がまだ他人のカードを奪わず、『デュエマ部』に居て、強くなった勝とデュエマしていたら、等と、脳裏でレオンは想像するも、すぐに勝とのデュエマに集中する。

「《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》でシールドを攻撃!W・ブレイク!」

 《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》の能力により、ブレイクされた2枚のシールドは墓地に送られる。

「ターンエンド!」

 強くなりたいと思う勝の気持ち。その思いに答えるかのようにデッキは彼を信じ、彼もまた自分のデッキを信じ、その思いが交ざり合い、生まれたデッキ。

 まさに彼、日伍 勝だけのデッキ。

 ―――だが、

「…まだだな」

 まだ届かない。彼、黒崎 レオンの心にはまだ届かない。

「お前に、本当の俺を見せてやるっ!」

 その言葉と同時にレオンの雰囲気が変わったことに勝は気づいた。

「マナをチャージ、6マナで《壊滅の悪魔龍 カナシミドミノ》を召喚っ!」
「何っ!?」

 レオンが繰り出したのはバトルゾーンのクリーチャーが破壊される度、相手のクリーチャーのパワーを下げるデーモン・コマンド・ドラゴン、《壊滅の悪魔龍 カナシミドミノ》。

 それを見た勝は驚いてしまった。何故なら、レオンのデッキには《壊滅の悪魔龍 カナシミドミノ》など、入っていない。

 つまり、今の彼は『黒崎 レオン』ではなく、『ミスターK』である。

「《カナシミドミノ》の能力で勝、お前のクリーチャーは全てパワー-1000。よって、お前の《コッコ・ルピア》と《トップギア》は消えてもらう」
「っ……!」

 《カナシミドミノ》の能力により、勝の《コッコ・ルピア》と《トップギア》のパワーは0。
 よって、2体は墓地に行き、他のクリーチャー達もパワーは1000下がっているが、これならまだ大丈夫だと、安心する勝。

 ―――だが、

「この瞬間、《カナシミドミノ》の能力発動っ!他のクリーチャーが破壊された時、そのターン、相手のクリーチャーのパワーを-1000!」

 突然、《カナシミドミノ》の能力発動と同時に、勝のクリーチャーのパワーが更に-2000。

「つまり、お前のクリーチャーのパワーは-3000だ!」
「な、なんだって!?」

 《カナシミドミノ》の真の能力に、勝は驚いてしまった。
 つまり、今の勝のクリーチャーのパワーはそれぞれ-3000されている。

「《ジェニー》で《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》に攻撃っ!」
「っ、まさか!?」
「どうやら、気づいたようだな!他のクリーチャーが破壊されたことで、《カナシミドミノ》の能力発動!更に-1000!」

 これでパワー-4000。ぎりぎりだが、《シンカゲリュウ・柳生・ドラゴン》は生き残ったが、恐らく長くはもたない。

「《ディアス Z》で《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》に攻撃っ!」

 《ディアス Z》のパワーは7000。
 《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》のパワーは7000。
 本来なら相打ちだが、《カナシミドミノ》の能力によって、今の《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》のパワーは3000。
 よって、バトルに負けた《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》は墓地に。

「更に《カナシミドミノ》の能力により、相手のクリーチャーのパワーを-1000!これでパワーは-5000!勝、お前の《柳生》には消えてもらう!」
「っ、《柳生》まで…」
「まだだ!《カナシミドミノ》の能力により、更に-1000!《ダガー》も消えてもらう!」
「そ、そんな…!?」

 これで、勝のクリーチャーは全滅。

 ―――しかも、

「ターンエンド!ターン終了時、相手のクリーチャーが3体以上、バトルゾーンから離れたことで、《ディアス Z》の覚醒条件、成立!
 《時空の封殺ディアス Z》を《殲滅の覚醒者ディアボロス Z(ゼータ)》に覚醒っ!」

 最凶最悪の悪魔が覚醒してしまった。

 そのあまりにも圧倒的なオーラの前に言葉が出ず、思わず、勝は黙ってしまった。

「どうした?お前のターンだ?勝」
「…ぼ、僕の…ターン」

 山札からカードを引くも、《ディアボロス Z》と《カナシミドミノ》の前ではなにもできない。

「…ターンエンド」

 そのまま、レオンのターンに移り、レオンは静かに山札からカードを1枚引いた。

「……これが、本当の俺だ。勝」
「っ!」

 その言葉に勝は目を逸らしてしまう。

「呪文、《超次元フェアリー・ホール》。山札の上から1枚、マナゾーンに。そして、超次元ゾーンからコスト7以下の自然のサイキック・クリーチャーを1体、バトルゾーンに」

 最早、勝敗は接した。にも関わらず、追い討ちをかけるかのように、レオンは超次元ゾーンから1枚のカードを手にする。

「来い!《勝利のガイアール・カイザー》!《ディアボロス Z》でQ(クワトロ)・ブレイク!」

 その言葉と同時に勝の4枚のシールドが一気になくなった。
 トリガーを確認するも、《イフリート・ハンド》の1枚のみ。

「…トリガーは…ない」

 使っても意味がない、そう思った勝は《イフリート・ハンド》を使わなかった。

「《勝利のガイアール・カイザー》でダイレクトアタックっ!」

 その言葉を合図に、《勝利のガイアール・カイザー》は勢いよく、勝に近づき、右手の剣で横一線に切り裂いた。

「殲滅、完了っ!」

 デュエマに勝利したレオンはそう言った。










「…また…負けた」

 デュエマに負けた勝はその場に倒れ、それを見たレオンは勝に近づいた。

「……勝、お前の《ボルシャック・NEX》と《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》は頂く」
「………」

 レオンのその言葉に勝はなにも言い返せず、勝の《ボルシャック・NEX》と《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》を持って、レオンはその場を離れた。

「……これが、俺とお前との―――力の差だ」

 離れ際、レオンは最後にそう言った。










 一方、生徒会の仕事で帰りが遅くなった少女、赤羽 結衣は職員室で担当の教師に生徒会の資料を提出していた。

「失礼しました!」

 生徒会の資料を提出した結衣は職員室を出て生徒会室に置いてきた荷物を取りに廊下を歩いた。

「……ふぅ。やっと終わった」

 安堵を漏らしながら廊下を歩く結衣。
 元々、彼女は『デュエマ部』でこういった仕事は任されており、慣れてはいるが、生徒会では、その何百倍といった具合に、流石の結衣でも骨が折れる。

「んっ?」

 そんなことを考えていると、ふっと階段付近で地面に横になっている男子生徒を見かけた。
 何故そんな所で寝ているのか、と思いながら、あんな所で寝ていては風邪を引いてしまうので、とりあえず、結衣は彼に近づいた。

「君、そんな所で寝ていると風邪を引くよ」

 男子生徒に近づいた結衣は彼の体を揺らしながら、そう言った。

 だが、次の瞬間、男子生徒の顔を自分の方に向けさせた瞬間、結衣は口を両手で抑えて驚いてしまった。

「えっ?嘘…でしょ…?」

 何故なら、階段付近で横に寝ていた否、倒れていた男子生徒は彼女にとって見慣れた少年、神原 拓真だった。

 ―――この日、勝を除いた『デュエマ部』のメンバーは何者かに襲撃された。


 
 

 
後書き
 はい。今回はここまで。

 今回、レオンが使用したデッキは黒緑超次元。
 切り札は《時空の封殺ディアス Z》。
 前回は悪魔の神様を操っていたのに対して、今回は時空の封殺者www

 毎度、誤字脱字、ご意見、ご感想、表現のミス等よろしくお願いします。
 
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