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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  真・恋姫†無双 ~四点結界~


都の大通り


「欠片」がうごめく偽りの都に、その男はいた。



「動き出したな・・・・・」



見上げると城から四方に向かって蒔風の四獣が飛び立っていく。

それを確認し、男がぼそりと呟いた。


「ケルベロス、迦桜羅、サラマンダー・・・・・・任せたぞ」





ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!







そう言った瞬間、街の三方から光の柱が伸び、その場所にそれぞれ一体ずつ獣が召喚された。

東にケルベロス、西にサラマンダー、南に迦桜羅


その発現を見、「奴」が歩を進める。
向かう先には、城がある。





------------------------------------------------------------





「出ました!!!!迦桜羅です!!!!捕まっててくださいよ!!!!」


南に飛んで行った朱雀が、背に四人を乗せていると、光が発せられてその中から迦桜羅が飛び出してきた。



グワアッと大きく旋回し、一気にその地へと向かって行く朱雀。
その背には武器を構えた星と、緊張した面持ちの季衣、そして弓を構える秋蘭に帽子を押さえる桂花がいた。


地面から伸びた光の柱から大きく翼をはためかせ、迦桜羅が一気に朱雀へと接近する。


「・・・・・・・ハァッ!!!!!」



秋蘭が矢を次々と速射し、迦桜羅を狙うが、それのすべてをグワァ!!!と周囲を大きく回り込んで迦桜羅が回避し、その隙に朱雀が地面に向かって降りたっていく。


その後を翼をたたみ、身体を矢のように細めた迦桜羅が接近する。
朱雀が大通りで地面スレスレを飛行し、星たちが朱雀から飛び降りて問題の場所へと駆けだす。


その後方から迦桜羅が迫ってくるが、それに対して一旦上空にまわって上昇した朱雀が迦桜羅の後方から再び降りて襲いかかり、地面に足がつくかつかないかの位置で翼を広げてストップをかける。


迦桜羅が即座に身体を反転、朱雀と衝突し、地面を転がってその勢いでふたたび上空へと飛びあがっていった。



その間の星たちは大変である。
後方から襲いくる暴風に耐えながらも、それを利用しつつ前に進んでいかなければならないのだから。


ヘリが高速で接近し、急ブレーキをかけたような暴風が吹き荒れ、それが去るころには朱雀が迦桜羅と共に上空へと飛びあがっていた。



「急げ!!!蒔風は集中すれば大気が淀んだ部分があるからわかるはずだと言っていたが!?」

「・・・・・・・・・こっちだ!!!秋蘭!!!」

「星さんわかんの!?」

「わからいでか!!!」


四人が通りを走り、向かうは城壁。
そこの一部分に張られた「火」と書かれたいかにもな札を、秋蘭が鷹の目で発見する。



「射抜け!!!!」

「応!!!・・・・なっ!?」


だがその瞬間、地面から「欠片」が湧き出、通りを封鎖する。


「ダメだ!!これでは狙えぬ!!!」

「全員こっちよ!!!早く!!!」


桂花の声がし、皆がそちらに向かう。
入ったのは細い裏路地で、店と店の間にあるような場所だ。


そこに星たちが走り込んだ瞬間、「欠片」もそこに殺到してその体が通路に詰まる。


「考えなしのバカどもね!!さ、こっから一気に・・・・・」


桂花が季衣に指示を飛ばそうとする。
だがその瞬間、四人を巨大な影が覆い、振り返るとそこには細い路地の入口で合体巨大化しつつある「欠片」がいた。



「なななななななな!?」

「桂花・・・・・どうする?」


あまりの事にうろたえる桂花だが、即座にハッ!!としてさっきまで言おうとしていた事を伝えた。


「季衣!!潰しなさい!!!」

「あいあいさー!!!」


ドォン!!!!



季衣の巨大鉄球がその「欠片」を潰し、道を塞ぐ。
そしてその鉄球を指さして、桂花が「行くわよ!!」と号令をかける。

その上に乗り、屋根に上がってそこから一気に城壁まで走り抜けようとする四人。


その隣に巨大な影が起き上がっていっていた。
さっきの「欠片」が巨大経過中だったのがよくわかるほどにまで大きくなった「欠片」が、その腕を振り降ろし、四人の先の店を叩きつぶす。


飛んでくる破片、その衝撃に跳ね上がった地面の岩盤などが一気に襲いかかり、四人を飲み込む。


星がとっさに桂花を担いでその岩盤の上に飛び乗り、秋蘭、季衣もそれに則って瓦礫の中を進んでいく。
そしてそこを抜けた瞬間、目の前に巨大な「欠片」第二号が現れ、目に光を溜めこんでいた。


「まずい!!!来るぞ!!!!」


蒔風からあらかじめ聞いていたものだった。
どういうことかは理解できないが、あそこから放たれる光は危険であると!!!



ドンッ!!!!ゴジュアアアアッ!!!!!



「うわあああああああああああ!!!!???」

「季衣!!!桂花を頼む!!!!」

「わあああああああッ!!!ってええええええ!?」


星が地面に落ちていく季衣に桂花を投げ預け、秋蘭の足に手を添える。
その動作から秋蘭がそれから何を為すかを理解し、星の槍「龍牙」を受け取り、膝を曲げる。


「飛べっ!!!!」

「ハァッ!!!!」


星が秋蘭の足を持ち上げるように上空に投げ、それに合わせて秋蘭も跳躍する。



龍牙を回転させてから弓に添え、弦を引いて目標を睨みつける。
だがその目標は「欠片」に隠れて見えない。




しかし





「秋蘭!!!目標、あなたから左に三十度の方向、距離二区画分!!!!眉間をぶち抜きなさい!!!!」



「応!!!」


地上からその位置を観測した桂花が目標の位置を伝える。

それを信じ、秋蘭が弓に思いを込め、龍牙を放つ!!!!





ゴッ!!!!ボヒュッ!!!!!ガゴォオン!!!!!!!!





空を裂き、巨大な「欠片」の眉間をぶち抜いて、秋蘭の放ったそれが城壁に到達する。
寸分たがわず目標の札に命中し、城壁ごとそれを破壊する。





「よし!!!!」

「やったぁ!!!ってうわ!!このぉ!!!!」



秋蘭が空中でガッツポーズをとり、季衣が喜んでいると、そこに「欠片」が出現し、それを鉄球でなぎ払って行く。



星と秋蘭もすぐに季衣のところに集まって来るが、星の龍牙は瓦礫の中、秋蘭の矢もそろそろ尽きてきたところだ。




と、そこに大通りのすぐ真上、本当にすぐそばの真上を朱雀が飛び去り、その後を迦桜羅が追う。

その衝撃波に地上の「欠片」がすべて吹き飛び、周囲が開ける。



「今だ!!!行くぞ!!!」



秋蘭の掛け声に皆が駆けだし、城壁の方へと向かった。

何はともかく武器だ。
そこなら詰め所に矢があるし、星の槍も回収できる。


朱雀のおかげで難なく到着し、矢と槍を回収する四人。



だがそこから出てきた瞬間、上空の迦桜羅が口から炎弾を吐いてくる。

その数三弾。



しかし皆がその場から逃げ出そうとした瞬間、朱雀が星たちの目の前に飛び込み、翼を広げてその腹で炎弾を受け止める。


キャルオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!


炎弾の爆発に朱雀も星たちも呑まれ、迦桜羅が勝利の咆哮を上げる。


だがそうはならない。
炎が渦を巻いて一カ所に集中しだし、消えていく炎の中から朱雀が姿を現した。
その口に集まった炎を思いっきり吐き出す朱雀。

その攻撃を避け、迦桜羅が旋回して距離をとり、朱雀に突進しようと翼をはためかす。

朱雀もその背に星たちを乗せ、同じ上空に上がってそれに応対する。



『皆さん!!大丈夫ですか!?』

「大丈夫じゃないわよ!!死ぬかと思ったわ!!!!」

『大丈夫ですね!?それだけ言えてればまだ余裕なほうです!!!!』


「お主は大丈夫なのか?朱雀」

『お恥ずかしながら、力としてはあっちの方が上です!!!手間取ってしまい、申し訳ないです!!!』


「なに、こっちも助かった。あれは・・・落としておかねばならんな」

『他の場所に向かわれたら厄介です。今ここで潰します!!!』




都の上空

そこで二羽の怪鳥による空中戦が始まろうとしていた。








------------------------------------------------------------



「ゆくぞ!!!!」



ドンッ!!!!バババババババババババババツッッッ!!!!!



青龍の口から雷が放たれ、それがケルベロスを襲う。

ケルベロスはそれに向かって三口による連続黒炎弾で青龍を圧倒する。


すでにその背には愛紗たちはおらず、支点の場所に向かっていた。



「どこだ!?」

「わから・・・・いや、見つけた!!!!」



ドォオオオオン!!!!

ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!




「ッ!!!!青龍さん!!!!!!」


「朱里ッ!!止まるな、進め!!!!」


青龍に次々と黒炎が命中、爆発し、その体が大地に堕ちていく。
それを見た朱里が思わず振り返ってしまうが愛紗の一喝ですぐに視線を前に戻す。



「支点はあそこだ!!!!行くぞ春蘭!!!霞!!!」

「応!!!」

「合点!!!」


愛紗が指をさすのは一軒の店だ。
どうやらあの店の柱が支点となっているらしい。


だがその店までの道のりを「欠片」が覆い尽くす。

それに対して春蘭がその中の中心に飛びこんで地面を爆発させるように大剣を叩きつけた。
その衝撃に何体かが掻き消えるが、あまりにも数が多すぎる!!!



「キリがない!!!朱里、どうする!?」


愛紗の言葉に一瞬だけ考え込み、そして朱里が命を飛ばした。


「霞さん!!!「欠片」の周囲を風足で走り回ってください!!!」

「どれくらいや!?」

「思いっきり!!最高速度で!!!時間がありません!!!!」


「よっしゃぁ!!!!!」



霞が足に力を込め、超加速スピードで周囲を旋回しだす。


最初は霞の姿が消えるが、その回転数を上げると共にだんだんと輪郭が見えてきた。
紫の髪に薄青の羽織が線を描いていく。


風が渦を巻き、「欠片」どもの身体が浮いていった。


そしてついに霞が最高スピードを出そうと下駄を脱ぎ、武器を愛紗に投げ預ける。



その渦は次第に竜巻となり、空中で「欠片」どもが集まって一つの塊となっていく。




「春蘭さん!!!今です!!!!」

「オオオオオオオオオオオ!!!!魏武の大剣、此処に有り!!!!!!」




春蘭が氣を大剣、牙狼七星に込める。
するとその剣が炎のようなオーラを纏い、グングングングン伸びていった。



「ラアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」





ザシッ!!!!!!ドオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!





そしてそれで「欠片」を切り裂き、更に大きく振りかぶり、店に向かって氣の籠もった体剣を投擲のように投げ放った!!!!!




しかし






ドスっ!!!!ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!







その間にケルベロスが入り込み、その肩に牙狼七星が突きささる。
にも関わらず真正面から愛紗たちに咆哮して威嚇するケルベロス。


「全く効いていない!?」

「まずい!!!」



愛紗が叫び、朱里を引っ張ってケルベロスの正面から退く。
同じように霞と春蘭もその場から引き、その瞬間、ケルベロスの黒炎が周囲を焼き払った。


店までの道には炎の壁ができ、とてもじゃないが近づけない。



「これじゃ近づけません!!!」

「どうする・・・どうする!?」

「愛紗!!朱里!!」

「二人とも!!!」


悩む愛紗と朱里の元に二人が合流する。

戦況はかなりまずい。
青龍は落ち、道は断たれた。


しかも「奴」の使役獣最強のケルベロスまでいる。



額を汗が流れ、地面にたれる。
と、そこに一人の人影が現れた。



「ぐ・・・・・は・・・・」


「あなたは!!!」

「青龍さん!?」


そこに現れたのは腕を抱えて壁に身を預けながら歩いてきた人型の青龍だ。
もとよりあまり感情の出ない表情に、少しばかりの苦痛と悔しさがにじみ出ていた。


「・・・・すみません・・・・不覚をとりました・・・・・」

「いや・・・・大丈夫か?

「まだ・・・・・・いけます・・・・・・」

「行くにしてもどうする?道は・・・・・」



そこで青龍が案を出す。
その案に皆少しばかり驚いたが、今はそれしかない。



そして動いた。






路地から飛び出してきたのは愛紗、秋蘭。



黒い炎の壁に向かって行き、それを確認したケルベロスが炎を越えて突進してくる。
その爪が振るわれ、地面に三本の溝が刻みこまれる。


愛紗と春蘭はその瞬間にUターン、ケルベロスから距離をとった。
そして二人とすれ違いに、ケルベロスに向かって何かが疾走していった。


霞である。
それに向かって黒炎弾を吐き出すケルベロス。

霞はそれを紙一重で回避する。
地面に着弾して燃え広がる黒炎は、疾風のごとく駆け抜けてくる霞が走った後を、尻尾のように黒炎が追いかけていく。


そして霞がケルベロスの正面に走り込んで鼻面を蹴って後頭部にまわる。
すると、あとをついて行っていた黒炎がケルベロスの顔面にぶち当たって、一瞬だけ視界が隠れた。



その一瞬の隙に霞がケルベロスの頭の一つに飛龍偃月刀を突き立てる。
さすがにその一撃にはケルベロスが暴れ出し、犬の仕草そのまんまに頭を振り、身体を独楽のように回転させる。


その遠心力に抵抗しながら、霞が必死に偃月刀にしがみつく。


身体が旗のようにはためき、それでも放さない霞は手元で刀を更に抉り込まれ、頭一つを潰すことに成功した。



その隙に春蘭が剣を投げる。
それは春蘭の物ではなく、剣身状態の青龍。


そしてそれがケルベロスの懐に投げ込まれた瞬間、一気に獣神体として顕現する!!!!




ガシュッ!!!!ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!
ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!



ケルベロスの腹部に青龍が噛みついてその身体が横転する。


その隙に愛紗が店に駆け込み、一閃の元に店の柱を斬り支点を破壊する。



だがまだ終わってはいない。



店を飛び出した愛紗の正面上空。

そこまで飛びあがってその四肢で立つケルベロスが残った二つの口から細かい黒炎弾を何十発も撃ち出し、愛紗を狙う。



その愛紗の元に春蘭と霞を乗せた青龍が飛び込み背に乗せ、更に愛紗の近くに駆け寄ってきた朱里をその尾に捕ませ、地上でグネグネと身体をうねらせて小黒炎をかわしながら大通りを飛んでいく。


周囲の店が破壊され、その間を飛んでいく青龍が、ついに見張り台の塔に着き、そこに身体を巻き付け着地して咆哮する。



向かい合った先には空中に立ち、左の頭を潰され二対の眼球で青龍を睨みつけるケルベロス。



「グルルルルルルルルルルル・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」











「グァルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」






そして二頭が一気に駆けだし、ぶつかり合う。



頭と頭がぶつかり合い、その衝撃で背に乗る四人が宙に浮く。
そして春蘭が右の、愛紗が真ん中の頭めがけて刃を落とす。


ケルベロスが身を捻ってそれをかわそうとするが、その身を牙と爪に引き裂かれながらも青龍が意地で巻きつき、その動きを止め



そして首が落とされた。
ケルベロスの身体が霧となって消滅し、青龍の身体も落ちていく。



地面に落ちた青龍がクッションになり、うまく着地する愛紗たち。

そして青龍が人型になって、地面に倒れ伏した。


「青龍殿!!!!」

「大丈夫か!?」


その身体には全身にわたって切り傷が刻まれ、世界設定で着込んでいた青い中華服はボロボロで血に染まっている。


「なに・・・・・・大丈夫です・・・・・・我らは・・・・・主が死なぬ限り・・・・・死にません・・・・・あのケルベロスをこの程度で斃せたのですから・・・・・・・・これは僥倖です・・・・・・」



そう言いながらぐらりと倒れる青龍。
城までは近い。だが、上空を見ると朱雀と迦桜羅が戦闘を行っている。


「どうする?」

「こちらは負傷した青龍さんもいますし、あちらに合流はできません。そもそも、青龍さんがこれではあそこに行くことも・・・・・・」

「すみま・・・・・せん。この身が至らぬばかりに」

「い、いえ!!気にしないでください!!!」

「城に着くまでの護衛は承ります。さあ、行きましょう」


青龍が手に青龍刀を握って先に進む。
その後を追いながら、青龍組は何とか勝利を収めたのだった。


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そして最後に白虎隊。
なんとも全滅してしまいそうな名前だが、そんなことは一切なく



『いえーーーーーい!!!そこどけそこどけ~~~~~♪』

「どんどん行くのだ!!!!」

『行きますともさ!!!!』


ノリのいい白虎の頭に鈴々が乗り、腕を突き上げゴーゴーと叫んでいる。

「欠片」を蹴散らし、爪で裂き、踏みつぶしながら進んでいく。



「「欠片」なんてたしたことないのだ!!!もうラクショーなのだ!!!」


意気揚々とする鈴々だが、それに華琳が口をはさむ。


「調子に乗らないの。「欠片」だって、本来こんなに弱くはないはずよ」

『そうだよ~~?こんだけいっぱいいるから弱っちいだけで、使い方次第では舜だって追い詰めるくらいにはなるんだから』

「マジかよ・・・・・」

「お、恐ろしいですね・・・・・」


翠と明命がうええ・・・と言った顔をするが、そんなことは気にもしない鈴々と白虎。


『でも今は楽だし。このまま支点壊しに行こう!!!』

「おーーーーー!!なのだーーーーー!!!!」



白虎が大通りを走り抜ける。











ゴオウッ!!!!!!





白虎の行く先が炎に覆われる。
一瞬驚く白虎だが、その爪に風を纏って炎を引き裂いてその先で止まる。



そこにいたのは巨大な火蜥蜴、サラマンダー。


全身が赤く発光し、その皮の内側に溶岩が詰まっていると言っても過言ではない姿をしている。



「フシュルルルルルルルルルルルルルル・・・・・・・・・・・」

『あちゃ~~~~でてきたか』



シャアッ!!!!!!!



サラマンダーが一気に白虎に駆け出し、炎のともった尾で横殴りにしてくる。
白虎がそれを跳躍して避け、空中で方向転換して着地する。



『皆は支点を壊して!!!!こいつは僕がやるから!!!』

「任せたのだ!!!」

「行くわよ!!みんな!!」

「「応!!!!」」


鈴々たちを送り出し、白虎がサラマンダーを睨みつける。



『さぁって・・・・・舜の使役獣のうち、最高の俊敏性をもつこの白虎に、地べたをはいずり回るトカゲが勝てるかな?』



シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ!!!!!!!!!

ガァオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!




獣の咆哮を上げ、白虎がサラマンダーに飛びかかる。
獣が戦いを始めた。






そのころ鈴々たちはと言うと。


「翠、先行して「欠片」どもを殲滅しなさい。鈴々はその道を行って支点の破壊。明命は私と共にその後を追う。行くわよ!!!」

「「「了解!!!!」」」



華琳が的確な指示を出し、確実に支点へと近づいていく。
支点となっているのはどうやらある一軒家にある白い布だ。


「欠片」などものともせず、一軒家内に入り込む四人。
そしてその瞬間地面が揺れた。


地面の下から巨大な手が現れ、それが地面ごと一軒家を握り潰す。




GHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!





巨大な「欠片」が地底から現れ、その布を体内に取り込む。



一軒家内にいた四人は翠の風足によって担ぎ出され、「欠片」の足元に運ばれていた。




「で、でかい!!!」

「こんなのどうすればいいのでしょう・・・・・・」

「でっかい敵には、決まってるのだ!!!!」

「そうね。この程度でこの曹孟徳を相手に取るだなんて、まあ「欠片」の限界でしょうね」


そして大きく息を吸い込み、華琳が号令をかけた。


「狙うは足!!!!!片足に向かって集中攻撃だ!!!!!皆、魂を燃やせ!!!!誰一人として死ぬことは許さない!!!!!」

「「「応!!!!」」」



四人が駆けだす。


翠が風足で「欠片」の左脚を駆け上がり、その膝であろう部分を突き貫いた。


風足によって高速化しているその切っ先で突かれれば、ただで済むとかいう問題ではない。
さらにいえば翠は十字槍「銀閃」を回転させて突いた。

それはさながら掘削機のように「欠片」の膝を砕き、抉り、半分ほどにまで貫通した。


そしてその穴から右半分を、明命が刀「魂切」で切り裂いた。



「欠片」の身体がゆっくりと崩れ、片膝を突く。
だがそんな傷跡はすぐに回復する。

左手を使ってその体を持ち上げようとする巨大な「欠片」
しかし、その体は再び崩れることとなる。


「おりゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」



鈴々がついた左手首を「蛇矛」にて一刀両断し、その体を支えきれなくなったからだ。

溜まらず両膝をついてなんとか上体だけはおこす「欠片」
しかし、この覇王がそこで止めるはずもなかった。


ジャキッ!!!!!!




「欠片」の左胸に華琳の大鎌「絶」が突きささる。
地上にはそれを投げた姿勢の華琳がおり、傍らには明命だけがいた。

「翠!!!そこよ!!!!引き裂きなさい!!!!」

「応さ!!!!うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!りゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」



翠が「欠片」のその場所に現れ、片手に「絶」もう片手に「銀閃」を握って一気に回転しだした。


独楽のように回転するその刃によって、「欠片」の胸が次々と抉れていき、掘り進められる。



ギイガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!



だがそれを黙って見ている「欠片」でもない。
その巨大な手のひらで翠を押しつぶそうと腕を振りあげる。


しかし、それは実行されない。


それはそうだ。
これだけ高速回転する刃を持っている翠に触れようとするならば、その手が細切れになるのは必須!!!!

指が切断され、手のひらが消滅する。



そしてそんなことも意に介さず、翠が回転を続け、ついに見つけた。





「!!!!!!!そこぉ・・・・・・・・・だぁッ!!!!!!!」






回転を止め、一気に振りかぶって銀閃と投擲する翠。
銀線はまさに銀の一閃と化し、「欠片」の胸を貫き、背中から飛び出す。


銀閃の先には白い羽織がバタバタと引っかかっており、それが地面に突き刺さった瞬間、ボロボロと崩れて消えてしまった。


そしてその「欠片」だけが残される。



巨大な「欠片」は守る対象が破壊された事で、優先事項を鈴々たちに変更する。


地面に降りた翠を含めた四人の頭上に「欠片」が迫る。





だが、その「欠片」の身体が白虎によって吹っ飛んだ。

しかし、白虎がやったのではない。
むしろやったのはサラマンダーだ。

その戦闘で吹き飛んだ白虎が偶然ぶつかっただけのこと。




「白虎!?」


「いったぁ!!!!!くそっ!!怒らせたったかなぁ・・・・・・・」



腹を上に見せ、倒れる白虎が見据える先には巨大な黒煙。

そしてその中から、それは出てきた。




サラマンダーの尾が切れた。
それが炎に包まれ、鋭く硬化し、炎の大剣となり、それを右手に握りしめる。

上体を起こして二足歩行へと姿を変える。
そして全身をも炎の鎧で包みゴキゴキゴキゴキ!!!!!という音を鳴らしながら、サラマンダーが第二形態へと姿を変える。

それはまさに炎の戦士・サラマンドラ。


地獄から来たのではないかというほどの炎を全身にまとったそれが鈴々たちに近づいてくる。





「こうなる前に倒したかったなぁ・・・・・行くぞ!!!!」

「白虎!?」

「鈴々たちはここにいて!!!!」


ドォン!!!!!



白虎がサラマンドラに飛び付き、拳で地面に落とされる。
だが即座に起き上がって前足で顔面を引き裂き、脚を下ろして頭で突っ込む。


それに若干サラマンドラが後ずさるが、ダメージはないようだ。
その手の炎剣を下から振り上げ、それが白虎の腹部に命中して身体が吹き飛ぶ。



ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!



白虎の咆哮が轟き、街を押しつぶしながらその体が転がっていく。




「白虎ぉ!!!!」

「来るなぁ!!!!!来たら焼け死ぬぞ!!!!!!」


「ッッ!!!!!」


鈴々たちが駆け寄ろうとするが、白虎がそれを止める。
このサラマンドラは危険すぎる。


確かに「奴」の使役獣で最高の力を発揮するのはいつだってケルベロスだ。
だが、そのケルベロスでも倒し切れなかった場合、その相手の最後の処刑人がこのサラマンドラ。


いままで三体同時に倒されてきたからこそ出てこなかっただけで、これが本来の使い方なのだ。



迦桜羅で逃れ、ケルベロスで潰し、それでだめならサラマンダーでやり、そして最後にこいつに変わる。



「奴」の使役獣は少ない代わりに強力だ。
とてもではないが白虎一体では倒せない!!!



「く、そおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」



白虎がそれでも起き上がってサラマンドラに向かう。
その瞬間





ズッ、ドゴォ!!バァアアアアアアアアアアアアアンンンン!!!!!!





何処からか水の砲撃が飛んで来て、それがサラマンドラに当たる。


サラマンドラの胸にそれが命中し、強烈なその一撃に地面に倒れるサラマンドラ。


サラマンドラの胸から、長い長い日本刀をもった人影が落ち、砲撃はそれを撃ったものであり、こちらに来たのは偶然であることを証明していた。
だが偶然だろうがなんだろうがそんなことはどうでもいい。


とにかく



「今がチャンス!!!!!ううううううううううううううう!!!だぁ!!!!!!」



白虎がサラマンドラの首に噛み付き、その牙をしっかりと食い込ませる。


そして身体を回転させてそれを上空に投げ放った。



ちょうどそこには朱雀と交戦中の迦桜羅がおり、二つの巨大な獣が空中で衝突し、地面に落ちていく。





「ナイスです!!!白虎!!!!秋蘭さん、頼みます!!!!」




落ちてくるサラマンドラと迦桜羅に、上と下から朱雀、白虎が迫る。


上空の朱雀はその身を朱雀槍へと変え、秋蘭がそれを弓に構える。
その先端が三又槍に羽ばたき、炎を纏って打ち出される!!!!!



その矢はサラマンドラの脳天に命中し、ほんの少しだけ食い込んだ。
だがそれだけでもいい。それだけ食い込めば、あとは済む!!!!



ドッ、バァン!!!!!!



その状態から一気に朱雀が獣神体へと姿を変え、サラマンドラの頭部を中から爆破させた。


頭を失ったサラマンドラが地面に落ちながら消滅し、朱雀が地面に降り立つ。




一方落ちていく秋蘭たちを回収しようと上空にジャンプした白虎は、その途中で迦桜羅を捕まえ、翼に爪を、喉に牙を喰い込ませて、その首の骨を一気に捻り折った。



そして迦桜羅も消滅していき、落下する秋蘭たちをその背に回収して白虎も地面の降りる。




「なんとか・・・・・・・勝てましたね・・・・・・」

「勘弁してよもー。僕らの性能は七体全員そろってあっちの三体を同じなんだから!!!!」

「文句は言わないんですよ、そこは。さ、おそらくさっきの砲撃は主のもの。おそらくあちらはそろそろ終わるでしょう。急いで城へ!!!!」



朱雀の先導で皆が城に向かう。
途中で青龍とも合流し、先を急いだ。






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「らあッ!!!」

「主!!!これで終わりですじゃ!!!!」

「了解!!」


ドォン!!!!!



蒔風が最後の敵を圧水砲で吹き飛ばす。








蒔風の方には使役獣が来ていない。
故に楽に終わったと思った蒔風だが、そうはならなかったのだ。


こっちの支点は黒い石だった。


それを見つけ、接近すると、「欠片」どもが案の定現れてきたのだが、普通の物とは違っていた。



「あぁ!?なんだよあの「欠片」!!!!」

「どうやら「奴」が今まで回った記憶を元に創られているようですのう」

「ンなこたわかってら!!!あーーん?セフィロスにリュウガにウィツァルネミテアにアックアだと!?」

「まだ出てくるかもしれん!!!」

「チッ・・・・・・・玄武、わかってんな?絶対その姿から元に戻んなよ!?」

「わかっておる!!」



そして蒔風が走り出した。
戦闘そのものは長引きはしたが苦戦はしなかった。

所詮は紛い物。しかも「奴」が再現したモノの、さらに二番煎じなのだから当然だ。



最後にはセフィロス・レプリカを圧水砲で吹き飛ばして、そのまま遠くのサラマンドラに命中させて殲滅を完了。
黒い石を破壊して、支点がすべて失われた。




だが





「なぜだ・・・・・・・なぜ結界が破壊されない!!??」


蒔風が玄武を通して青龍たちに連絡を取る。
本当に破壊したのか、と



『しましたよ!!こっちは「火」と書かれた札を!!』

『僕の方だって翠がやってくれたよ!!!白い羽織!!あれ消えたら支点の気配もなくなったよ!?』

『我らは店の柱でしたな・・・・・愛紗殿が確かに・・・・・・・』



「どういうことだ・・・・・・・確かに支点の気配は消えている・・・・・なぜだ・・・・・・・・・・・・・!!まさか!!!」




蒔風が城の方を睨みつける。
そっちには恋達がおり、皆を守っているはずだ。




「・・・・・・・・・!!!!!!!まずい!!!!やられた!!!!」

「どうしたのじゃ!?」

「クソッタレ!!!!これは四点結界じゃない!!!!五点・・・・五行結界だ!!!!!」


「な!?」



「東に「木」の柱、南に「火」の札!!!」

「五行において残りの西は「金」、北は「水」で・・・・・そうか!!!」

「色であらわすと西の「金」は「白」で、北の「水」は「黒」だ!!!!」


「ではまさか!!!!」


「このままでは城がヤバい!!!!最後の五行、「土」なんざどこにでもある!!!!!」






蒔風が城の方角を見る。

そこではまさに激戦が繰り広げられていた。






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「グッ!!!!」

「思春!!!!」

「負傷した者は下がれ!!!!恋、お前も・・・・・」

「だめ、ここで恋下がったら、くる」

「だが!!!!」




「欠片」のどこまで続くかわからない攻撃に、ひとり、また一人と負傷して倒れていく。
そんな中かけていく穴を恋が一人でフォローし、守り通していた。

さすがは三国無双、と言いたいところだが、始めて強いられる持久戦に恋も体力がだんだんと削られてくる。


最強が故に戦に時間をかけてこなかった恋ならではの弊害だ。
ここまで続く持久戦に、恋は慣れていないのだ。




と、そこに最悪がやってきた。




「お熱いねぇ・・・・その仲間を思う気持ち、嫌いじゃないわ~~~。だけど惜しむらくは主要人物ってとこか?」


「!!!!!お前・・・・・・!!!!」


そこに「奴」がいた。



中庭の中を悠々と歩いて来て、恋を見据えて立っている。



「お前と戦ってみるのも面白そうだよなぁ」

「やってやる・・・・・・」

「ふふん・・・・・・・やだね」




その言葉と共に「奴」の姿がフッ、と消える。



そして「奴」が現れたのは、フードをかぶった人物の前。




「!!!!!!!しまった!!!!!」


「貰ったぞ!!!北郷一刀!!!!」




「奴」が拳をフードの中の身体に突きこむ。




ドゴンッ!!!!というものすごい音を出し、その威力を物語った。




「か、一刀・・・・・・・・」

「北郷・・・・・が・・・・・」


周囲から声が漏れる。
それが誰のかは分からないが、最後の言葉だけは誰のものかはっきりした





「ご主人様あああああああああああああアアアアアアアアアア!!!!!!!!」







桃香の声が庭園に響き、「奴」はニヤリと笑みを浮かべた。







to be continued
 
 

 
後書き
ってなわけで始まりました!!!

アリス「アリスと!!!」

作者の!!!


「「何を始めましょーか!?」」


さあ、始まりましたこの続けるつもり皆無の新コーナー、「何を始めましょーか!?」

ア「文字通り、なにを始めようかというコーナーです!!!」





「「だから何がしたいんじゃアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」」




ア「バカですか!?ほんとに何がしたいんですか!?」

自分でもようわからん。
なんでだろう?




ア「次回、「奴」の理想、一刀の叫び、WORLD LINK覚醒」

ではまた次回








いつかまた、どこかで逢おうぜ!みんな!
   萌将伝、エンドにて  ~一刀~
 
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