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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  真・恋姫†無双 ~あいだのきゅうじつ~


蒔風がこの世界に来て二日目。
朝食の席でその話は持ち上がった。


「遊びに行く?」

「そ。いやぁ、現代の物をいろいろ話したらさ、実現しちゃうだけの技術があってさ!結構建てちゃったんだよね!」


一刀の話では彼の発言によって、発明好きの真桜が先頭に立って様々なものを再現してしまったのだ。

「なにを作ったんだ?」

「まずプールだな。アミューズメントパークみたいな遊ぶプール」


それから・・・・・と指折って一刀が上げたのは競馬場、コーヒーカップ、ジェットコースターなどなど。

ただ、観覧車などの巨大なものはなかった。



「いや、それでも十二分にスゲェよ」

「ウチの発明やで!すごくないモンなんか作るかい!」


と言うは当の本人、真桜だ。
ちなみに現在朝食をとっているのは蒔風、一刀、翠、紫苑と娘の璃々、華琳とその(蒔風にとって)新顔軍師の程昱(ていいく)(真名・風(ふう))と郭嘉(かくか)(真名・稟)、真桜、沙和、凪、小蓮、明命、そして恋だ。



「え~~~!?一刀遊びに行くの?じゃあシャオも行く!」

「しゃ、小蓮様!これから午前のお勉強ですよ!?」

「勉強なんてつまんないじゃい。それより一刀と遊んだ方が楽しいもん」


自分も行くと大いに乗り気な呉の王家三姉妹の末っ子と、オドオドと止めに入る明命。
しかし明命は説得しきれないようで、小蓮が味方を増やそうとして

「ね?翠も勉強は嫌でしょ!?」

翠に矛先を向けた。



「うえ!?あ、あたし!?」

「そ、翠だって勉強は嫌いでしょ?遊ぶ方がいいわよね?」


その発言にう~~~ん、と腕組んで唸ってから、翠がこう答えた。


「確かに勉強は大変だけどさ、知っといた方がいいことはたくさんあるもんだ。だから勉強したくないっつーのは嘘になるけど、しないってのは賛同できないなぁ」

その発言に小蓮が信じられないような声をあげていった。


「翠って脳筋のくせに頭良さそうなこと言ってる!!!!」

「え?はぁぁあああああ!?あ、あたしは脳筋じゃないッ!!!」

「翠さんは脳筋に入ると思うの」

「そうやな、前ゴッツしごかれたしな」


一刀の親衛隊部隊長の三人のうち沙和と真桜がそれに反論し、そんな中、凪だけが反対意見を言った。


「す、翠殿はただ単に他のものと比べ一直線と言うかなんというか・・・・・」

「凪、それフォローとしては微妙」

「そうだね~~~。確かに翠は脳筋の部類に入るけど、そこまでひどい脳筋じゃないね。考える脳筋だ」

「なんだよそれぇ!?」



そこで長机を挟んで小蓮の右前に座る華琳が頬を付いて言った。


「あなた・・・・・今日の午前のお勉強の先生を前によくもまああんなこと言えたわね?」


「え?」
「あ」


視線が一斉に華琳に向く。
何を隠そう今日のお勉強の講師はこの曹孟徳なのだ。



「いいわ。今日は勉強はやめましょう」

「やった!「でもそのかわり」え?」

「欲しい自由(モノ)は苦労して得るということを教えてあげましょう」

「え?あれ?」


華琳が戦闘服に着替える。
気付くと小蓮も明命によって武器を手に握らされていた。


「え?ちょっと明命?」

「小蓮様・・・・・・・・頑張ってくださいね!」

「なにそのキッパリとした笑顔ッ!?勉強も武芸も嫌ァーーーーーー!!!!」



華琳がものすごくいい笑顔で小蓮を追い回しはじめ、そのまま出て行ってしまった。


「おぉ、ナイチチ、ナイチチを追い回すの図」

「舜・・・・・それ本人の前で言うなよ?」

「え~~~~~?なにそれつまんな~~~~い」


蒔風がニヤニヤとしながら食器を片付け、遊びに行くなら、と話を切り出す。


「他にも誰か誘おうぜ。誰がいる?」

「とりあえず「とりあえずご主人様は執務がありますよね?」そんな幻聴は聞こえないなぁ。さあ行こう蒔風」


「逃がしませんッ!!!!」



ではお教えしよう。


一刀の台詞にかぶせてきたのは愛紗さんです。
はい、もう簡単には逃げられません。




「前回の事を参考に、今回は絶対に逃げられない布陣を組みました・・・・・もう逃がしませんよ!!!!」

ダダダダダダダダと走る抜ける蒔風と一刀。


愛紗は布陣を組んだと言うが、正直蒔風がいれば問題ではなかった。




第一関門・春蘭



「よくわからんがここは通さん!!!蒔風には先日の決着もだ!!!!」


まだ武器は直ってないのか、素手で向かってきた春蘭を、蒔風が一刀を庇うように前に出て、先に行かせる。

そして



「ぐにーーーーーーん」

「え?バ!!それやめッ!?」

「バチーん」

バツッ!!!!!


「アッダアああああああああああ!!!!!!」



春蘭の左の眼帯を掴んで伸ばし、それを離した。
ゴムパッチンのような感じになった春蘭が、地面をのた打ち回って居なくなった。




「お前ひでえな」

「正当防衛」(シレッ)




第二関門・桃香


「え、えっと・・・・ご主人様、お仕事してくださ~~~い!!!!」


如何にも天然さんな声を出すのは蜀王、劉備(真名・桃香)である。
だがその佇まいはどう見ても隙だらけである。


「ヌウっ!?次はポワポワ系でなごませる作戦だな!?」

「これなら突破は楽だな!!!」

「ああ!!!楽勝だ!!!」

「確かにそうだけど、ハッキリ言われると傷つくよ!?ご主人様だって同じようなものじゃないですか!!!」


そう言ってる間に一刀と蒔風が桃香を過ぎ去っていく。




第三関門・恋


「・・・・・・・・」

「恋!!遊びに行こうぜ!!!」

「(フルフル)愛紗がここ止めろって」

「じゃあ言い変えよう・・・・・遊びに行って飯食おうぜ!?好きなだけ!!!」

「行く」

恋が仲間になった!!!!




第四関門・季衣・流琉


「にいちゃん!!!」

「ここは通しません!!!」

「魏のちびっこズか!!!!」

「「チビって言うなーーー!!!!」」

「ごめんなさっグボッ!?」


蒔風が二人のパンチを腹部に食らってる間に一刀と恋が走る抜ける。
後から蒔風が腹を押さえながら追いついてきた。

「二人は?」

「・・・・・・女の子を泣かせてしまった」

「おみやげかってこような」

「うん」




第五関門・愛紗

「ぬぐーーーーーーー!!!!むがむがむがぁ!!!!!」


グルグル巻きになってる。
簀巻きの愛紗の脇で立っているのは

「正義の華蝶仮面さんじょ「さあ行こうぜ!!!!」ちょっとまったぁ!!!!」

華蝶仮面さん改め星が仲間になった!!!





「ぐぐぐ・・・・ぷはぁ!!!おい待てこらーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

愛紗が簀巻きでグニグニしながら呼びとめる。

だがその程度で止まることなどない。
蒔風が代わりにと言って「龍虎雀武」「獅子天麟」を置いていき、彼らに手伝ってもらって~~~~と言い残していった。






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そしてついたのはプールである。


皆水着に着替え、更衣室から出てくるとそこにいたのは・・・・・・・


「あ」

「隊長!!!」

「マズ・・・・・」

魏の三人娘、沙和、真桜、凪だった。


見事に遊んでいる。
と言うか警邏の仕事サボってる。

「まあ待てお嬢さんたち。実は我々も愛紗から逃げてここまで来たのだ」

「だからここはお互いさまってことで」


蒔風と一刀の言葉にホッと胸をなでおろし、そして遊び続行する三人。



恋はと言うと蒔風からお金をもらってご飯コーナーに向かって行ったばかりだ。
星は蒔風の方へと走ってきて流れるプールにソォイ!!されて何処かへと流されていってしまった。


「にしても再現率高すぎんだろここ」

「三国の技術は世界一ィィィィィィイイイイ!!!!」

「まさにだなおい」


ここには普通の物からさっき言ったような流れるプールを始め、ウォータースライダー、波の出るプール、温水プールまであるのだからたいしたものである。




そこで蒔風が遊びに遊び、体力をいい感じに消耗してきたところで、昼食となる。


恋を見つけ、そこを中心に集まる一同。


もっしゅもっしゅとご飯を食べる恋になごみながら、昼食をとって次どこに行こうかと話し合う一同。


そうして最近できたばかりのところに行くことになった。





「最近できたところ?何作ったんだ?」

「聞いて驚くなよ?それは・・・・・・遊園地だ!!!!」

「そんなものまで・・・・・・あきれるやら感心するやらオレはどうすればいいんだよ」

「沙和も一回行ったけど、あそこすごいの!!!沢山アトラクションがあって最高なの!!!」

「そりゃそうや!!うちの技術ぎょーさん使(つこ)てるからな!!面白くないわけないやん!」

「前に行ったときとか大変だったもんな。鈴々とかが壊しそうになってさ」

「あれは主の説明不足が原因だったのでは?その後の説明を受けたらちゃんと遊んでましたぞ?」

「遊び方さえ間違わなければとれも楽しいところでしたね。一つを除いて」

凪の顔が暗くなり、それを沙和と真桜がからかう様に言った。


「凪、あん時大変やったもんな~~~~」

「そうなの、キャーキャー騒いじゃって可愛かったの!!!」

「お、お前達!!!そんなこと言うな!!!!あんなもの、誰だって叫ぶ!!!」

「何がそんなにだったの?おせーておせーて~~~~」

「い、いえ、蒔風殿が気にすることでは・・・・・」

「知りたいですかぁ?そうですか、では教えちゃうの!!!」

必死に隠そうとする凪だが、沙和と真桜がフッフッフと笑っている。
あ、これバラされるな。


「えっとな?凪が言っとんのは、おまけ屋敷ーーー、やったっけ?」

「違うのー。お化け屋敷なの!!!」

「う、うう・・・・・」



「う?オバケヤシキトナ?」

「知らない訳ないよな?」

「知ってるよ。知ってるさ・・・・あんの?お化け屋敷」

「おう、作ったぜ。オレの過去言ったオバケヤシキとか、思いついた諸々を詰め込んだ最高のお化け屋敷だ」

「へ、へーそうなんだ。でも面白いのほかにあるだろ?」

「あるさ。でもこれは外したくないな」

「そうか・・・・いや、いく、行くさ。楽しみだねぇ!!!あっはっはっはっははっはははは・・・・・・」


そんな蒔風を見て、星の目がキラーン、と光る。
対して蒔風はそんな視線にも気付かないようだ。



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そして一行は一刀の言う遊園地に着いた。
ちなみに恋はあのまま街に出て食べ歩きに向かってしまった。
飯食えれば本当に良かったらしい。


一刀プロデュースの遊園地は現代のものとなんら遜色のない、見事なものである。
その見事さに、蒔風がさすがに言った。


「お前これ再現やり過ぎ」

「正直オレもここまで本気なものが出来るとは思ってなかったんだよな」


そういいながら全員が歩いて廻って、人影を見てバッ!!と物影に隠れた。

どうした?と言った視線を向ける一刀に、蒔風が小声で話す。




「全員気をつけろ。愛紗たちが来てる」

「おお!?」



そう、確かに遊園地内には愛紗を始め何名かがおり、一刀を捜索していた。




「これはまずい・・・・・遊んでるのを見つかったらアトラクションから出た瞬間取り押さえられるぞ」


冷や汗をかく一刀や三人娘だが星と蒔風はいたってのほほんとした顔をしている。

「普通に遊ぼうぜ?まずコーヒーカップにでも行こっか」

「これはダブルデートというものですな?」

「だれに教わった、んな言葉」

「無論、主」



グリグリと一刀の頭を捻りながら一同を引っ張り、蒔風がコーヒーカップに向かい、乗り込んだ。


ここは乗り込んで遊ぶまで何も障害などなく、普通に遊んだ。


だが




「柵の近くに朱里と詠がいるな」

「見つかったら愛紗はんを呼ばれてまう!」


コーヒーカップの柵の辺りに朱里と詠がうろついていた。
愛紗の差し金だろう。
まだ見つかってないようだがこのままでは乗っているのを発見されてしまう。


「あ、あの、隊長、もう素直に帰った方が・・・・」

凪が部隊では直接の上司の一刀にそう提案するが、ガタガタと震えながら一刀が答えた。


「無理無理無理無理無理無理無理無理・・・・・・」

「よっぽど愛紗さんが恐ろしいようなの・・・」

「いや、そら恐ろしいやろ」


「こうなったら・・・・・やるぞ、星」

「お?わかりました。いきましょうぞ!!」


蒔風と星がニヤリと笑ってコーヒーカップの真ん中の円盤を掴む。


その笑顔に寒気が走った一刀たちがガシッ!とカップのふちを握りしめた。


「そぉ!」「いやっ!!」


グリンッ!!


そして二人が勢い良く円盤を回す。
それに応じてカップの回転も上がっていく。



休みなく全力で回しつづける二人。
その回転ですでに周囲の景色は見えておらず、全員の身体が遠心力に引っ張られ、おもっくそのけ反っていた。



「うぎぃぃぃぃぃ!!!」

「おーおーおーおーおーおーおー!?!」

「あっはっはっはっはっ!!!」

「飛ぶ飛ぶ!!飛んでっちゃうって!!!と、止めて止めて!ぐぇえ!?」

「首が伸びるぅーーーーー!!!!!」


一刀たちがついに身体が飛ぶと本能で察知し、真ん中の円盤を掴む。

だがその円盤もかなりの速度で回転しており、一秒と掴んでいられない。
飛ばされないようには円盤の回転に合わせて次、次、次と掴んでいかなければならず、その動作で余計に回転をあげていくカップ。


だがそのおかげでコーヒーカップに乗っている人の顔は確認されず、朱里と詠は別の場所に向かった。


だけどそれでも



「朱里と詠は!?」

「この状況ではわかりませぬなぁ!!」

「あっはっはっ!!そいつぁ一本、取 ら れ た な☆」


「「あーはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」」


「お前らどっか飛んでっちまえ!!!」



それから5分はそれが止まらず、時間が来て機能が止まり、降りる頃には四人は完全にグロッキーだった。


「大丈夫かーー?」

「は、話しかけんといて・・・・・・ウプ」

「気持ち悪いのぉ~~~~~」

「これは・・・・・」

「あぁたまがまだグラグラする・・・・うぉえ」


「だらし無いにゃ~~~~次何行く?」

「そうですな。私としては・・・・・・」


蒔風と星が次に向かう場所を相談して、一刀がちょっと待って・・・・とヨロヨロしているところに、ついにそれは来た。





「見つけましたよご主人様!!!もう逃がしません!!!」

「「「「ゲぇッ!?関羽っ!?」」」」



そう、そこには怒り心頭の愛紗と、彼女がひきつれる蜀の面々だった。



「なぜバレタ!?」


「「こーひーかっぷ」であんだけ騒いでいれば嫌でも目につきます!!!!」

「おい星!!蒔風!!」

「「メンゴメンゴ」」

「こいつらもう駄目だ・・・・・逃げろ!!!」

「さ、沙和と真桜がまだ・・・・・」

「うあ~~~~」

「うぷお・・・・・」




「「「囮だな」」」





地面にいまだ倒れている沙和と真桜を見た蒔風、一刀、星がシレッ、と見捨てた。
それはもう見事に。国語辞典の「見捨てる」の欄に載せたいくらい見捨てた。



「逃げろ!!!」

「こっちだ蒔風!!」

「おう!!!」



二人を見捨て、一刀、凪、蒔風、星がその場から逃げ出す。
一刀の案内は的確で、さすがはここの提案者と言ったところである。



そして逃げ込んだ先は





お化け屋敷である。





「ちょ、ここ!?」

「ここなら愛紗も苦手で入ってこない!!!」

「出口抑えられたら・・・・・」

「大丈夫だ。半分も行けば途中に出られる場所があるのだよ」

「星、その半分ってどのくらいだ?」

「そうですな、ざっと・・・・・」


そこで星が言った言葉は現代にして百メートルほど。
かなり長い。


「―――――~~~~~がしませんよ!!!!」



そこで愛紗の怒声が聞こえてくる。
気まずい顔をした蒔風の襟首を掴んで、一刀が引きずっていく。



じたばたする蒔風だが、三人が掴むので抗えず、そのまま引きずりこまれてしまった。








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「ここなら大丈夫だと思うから」

「うう・・・またここですか、隊長・・・・・・」


おどおどした声を上げる凪に、一刀が一緒に行ってやるから、と声をかけて落ち着かせる。
ここのお化け屋敷は基本二人一組で中に入り、病院や墓場などを模した通路を歩き進めて行くといった内容になっている。



「じゃあ四人で行こ「せっかくなので二人ずつ行きましょう!!」ちょ!?」

「そうだなぁ~~~~そうするか!!(ニヤニヤ)」

「あ、そういうことですか、では二人ずつですね」


ニヤニヤして星と蒔風を見る一刀に何かを察した凪が、さっさと先に進んでしまった。


蒔風が何かを言う前に扉が閉まってしまい、がっくりとうなだれる蒔風。




「さて楽しみましょうぞ!!舜!!!」

「あのなぁ、普通に遊ぶ分にはお前は最高だよ?気も合うし、同じ変人だし」

「ふむ、そこは褒め言葉として取っておきましょう」

「だけどな、オレに恋愛感情は向けないでくれっての!!!なにも返せんのだから」

「返していただく必要などないですぞ?そばにいてくれればそれで十分!!!」

「オレがだめなの。オレはお前を優先しないぞ?お前一人に感情が向くことなんてないんだ。そんなもん、恋愛なんざ言えるか」

「だったら自覚させて見せます」

「そのためにはオレの中の最大の異端をどうにかするんだな」



そんなことを話していると、扉が開く。
順番が回ってきたようだ。




「では、とりあえず今は楽しみましょう!!!」

「そうだな。遊ぶか・・・・・・うう・・・・・・・」




蒔風と星が中に踏み込む。
くらい暗い空間へと




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一方その頃、お化け屋敷の入り口



「「「「「じゃんけんポン!!!あいこでしょ、あいこでしょ、あいこでしょ!!!!」」」」」

愛紗をはじめとした、翠、朱里、詠、桃香がじゃんけんをして、誰と誰が中に入るかを決めようとしていた。



「愛紗ちゃん、行って来てよ!!!」

「な、ならば桃香様もぜひ一緒に!!」

「はわわ・・・・なんでこうなっちゃったんでしょう・・・・・」

「あたしに訊くなよ・・・・・来るんじゃなかったぜ・・・・・」

「あーーーもーーーそんなにここ怖いの!?」




((;゜Д゜))ガタガタ((;゜Д゜))ガタガタガタガタ((;゜Д゜))ガタガタッ((;゜Д゜))


詠の一言に四人が一斉に震え、否、振動し始めた。
その異様な光景に、言葉はなくともすべてを理解した詠であった。



「ご主人様に連れられて入ったが、ここはヤバいぞ」

「でもその時は「これでも普通の方だよ?」とか言ってたよ?」

「たぶん・・・こういうのに私たちが慣れてないだけかもしれませんね・・・・・」


「くそう、星は向こうだし、蒔風も絶対大丈夫だろうしな」

「むしろ蒔風は幽霊とか出てきてもぶん殴っちまいそうだよな」


「はわわ・・・・それは否定できません・・・・」

「そんなにすごい人なんだ」


「そうなんだよなぁ・・・・あいつは凄いやつだよ。それだけは確か」

「自由人ですけどね」

「翠や霞に「風足」を教えたのも蒔風だしな。いや本当に我らが束になってもかなわないとは、さすが世界最強と豪語するだけのことはある」



「え?世界最強?」



愛紗の言葉に桃香が首をかしげる。
その桃香にああ、と前置きして、翠が答えた。



「蒔風の口癖なんだよ。「オレは世界最強だ!!」ってな」

「あの自信はあれだけの実力の裏付けなのだろうな。敵でなくて本当によかったと思う」


うんうんとうなづく一同。
そこで桃香がボソッ、と呟いた。




「本当にそうなのかな?あの人、結構自信ない感じの人だと思うよ?」



「え?」






「うおああああああああああああああああああああああああ!!!!?????」





桃香の言葉を訊き返そうと愛紗が言った瞬間、お化け屋敷の中から悲鳴が聞こえてきた。
それはまごう事なき、今話題になっている男の物だった。



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お化け屋敷内



そこには面白い光景が広がっていた。


蒔風が星の裾を掴んでビクビクしてへたり込んでいるのだ。



「ど、どうした?舜。お主ほどの物が・・・・・・」


星がそう思うのも無理はない。
なぜなら蒔風が悲鳴を上げたのは天井から吊るされたコンニャク的な物が首筋をヌロッ、と舐めただけなのだから。




「だ、ダメなんだ・・・・・・・」

そんな星に蒔風がびくびくと声を上げる。


「は?」

「ダメなんだよぉ、こういうの。いやさ、ほんまもんの夜の病院とか、墓場とかを歩きまわるだけの肝試しならいいんよ?幽霊とか出てきたらぶん殴ってやるだけだし。でもこういった「びっくり系」のお化け屋敷とかはダメなんだよ。ついつい身構えて飛びあがっちまう・・・・・・は、早く行こうぜ・・・・」


そういう蒔風が先に進もうとするが、壁際に沿ってズリズリと進んでいく姿は面白いし、その壁から無数の手が飛び出してきて、「うひょウワはぁっ!?」とか悲鳴を上げながら飛びあがって腰を抜かす姿に星は

(ゾクゾクしてきた・・・・・・)

ゾクゾクしていた。



そして星が蒔風の手を取って、引っ張って行く。


「さ、行こうぞ!!先は長い!!」

「ま、待って!!そんなズンズンいかないで!!!ちょ、まだ心臓バクバク・・・・ヒィキャア!?」


ビビりまくりの蒔風が近くの物(この場合は星の腕に)捕まってガタガタしている。
死を恐怖しない男は、結構小心者だった、という一面である。






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そして数分後




「・・・・・・・・・・・・ダフゥ・・・・・・・・」



蒔風は途中で出ようとするも、星が引きずって先に行ってしまったので結局最後まで行ってクリアすることになってしまった。

のちに蒔風はこう語っている。



「よく「寿命が縮む」って言われるけどさ、これがあの感じなんだね」



ちなみに一刀は凪が内部を突っ走ってしまってそれに必死について行ったらそのまま出口へゴー。
あっさり捕まってしまったそうだ。

蒔風も完全にグロッキーで、星も特に抵抗はせずに、満足そうな顔をして捕まった。





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「なあ、なんで俺たちだけこうなってんだ?」

「さあな。それが男の宿命なんだろ?」

「女性社会に生きる大変さだな」

「やめてそれマジリアルだから」



そう話すのは木に簀巻きで逆さ吊りされている蒔風と一刀だ。

そろそろ日も落ち、暗くなってくるころだ。



「そういえば結局政務はどうなったんだ?」

「青龍たちが片付けたみたい。あいつら優秀だから」

「そっかーーー」

「そっだーーー」



「「・・・・・・・・・・誰か助けて」」






そうして今晩も更けていく。
「奴」が来るのに、大丈夫か?













to be continued
 
 

 
後書き
アリス「日常パートにしては長いですね」


今回は長くなっちゃいました。

本当ならプールと遊園地で分けるつもりだったんですが、遊園地の方が長くなっちゃって


ア「蒔風、お化け屋敷ダメなんですか?」

ダメなんですね。


「恐怖系」のならいいんですけどね。
本人が言ってたみたいにただ怖い場所を徘徊するっていうのなら。

でも「びっくり系」はダメなんです。
だからそういう感じのホラー映画もダメ。

「呪怨」とかの静かなホラーならいいんですけどね。


ア「それはまあなんとも・・・・微妙な・・・・・」


ま、そんなとこ

次回をどうぞ


ア「次回、そして戦いへ!!!やっほ~~~い!!!」

書くぞ書くぞ~~~!!!!
もうずっと戦闘パート書いていたい。
でも書く動作がめんどくさい!!!!

頑張ります


ではまた次回











主義や主張の違いから、戦いになって、そしてその戦いを生き抜いて――
そして生まれた確かな絆。

その絆があればこそ、声をたてて笑い、微笑みをかわしながら、このお祭りを楽しめるんだ。 
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