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提督はBarにいる。

作者:ごません
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提督と艦娘達の夏休み~収穫祭編~

 
前書き
 季節が真逆ですが、夏のイベント前のお話です(-∀-`; ) 

 

「夏休み、ですか?」

「あぁ、任務も遠征も演習も、完全ストップして完全休業にする」

 そんな提案をその日の秘書艦である大和にしたのは、8月の頭の日曜日だった。外は陽炎が立つ程暑いが、艦娘達は訓練や演習、遠征任務に励んでいるのが見える。

「もうじき大規模作戦も近いからな。1週間位しか取れないが、心身共にリラックスして、万全の体調で作戦に臨んで貰うためだ」

 毎年激戦だと言われている夏の大規模作戦。今年は春先もかなり厳しい闘いだったからな、夏がどれだけ厳しいかなど想像もしたくない。その為の疲労抜きの夏休みだ。

「でも、そんな提案を認可されるでしょうか?」

「その点は問題ありません」

 大和の疑問に合わせたように入室してきたのは大淀。事前に根回しの為の書簡を送っており、今しがた返信が届いたらしい。

「ほれ見ろ、認可の書類だ。持つべき物は優秀な諜報部ってな」

 俺の手にはヒラヒラと、夏休み取得を認可する書類がたなびいている。……どうやって『説得』したかって?世の中、知らない方がいい事もあるモンさ。




 という事で、業務終了後に所属艦娘全員を食堂に集めた。

「え~、明日より1週間我が鎮守府は完全休業……つまりは夏休みに入る!自主的なトレーニングは個人の裁量に任せるが、各自体調を崩したり大きな怪我など無いように!」

 俺がそう叫んだ瞬間、食堂内から黄色い歓声が爆発した。姉妹や仲の良い艦娘同士で予定を話し合う者、早速祝杯をあげようとする者、普段と変わらずマイペースな者……様々いるが、一番酷かったのは…

「ヘイdarling、逃がしませんヨー?」

「ここは譲りません」

 ……こいつらである。俺の訓示が終わるや否や、2人がかりで俺の腕を抱きかかえるようにギュッとして、柔らかい双丘を押し付けてくる。

「おいお前ら、当たってんぞ。それに加賀、胸当てはどうした?」

「ンフフー、darlingも解ってるクセに言わせるノ?これは当たってるのではなく当ててるのデース!」

「業務は終わりましたし。これからの『お楽しみ』には邪魔なので外してきました」

 あぁもう、これは嫌な予感しかしない。俺の第六感というか、危険を察知する脳内の警報がけたたましく鳴っていやがる。

「ちょっと加賀さん、早くしてよ!順番決められないでしょ!」

 そう言って叫んでいるのは瑞鶴だ。その周りには比叡、榛名、陸奥、長門、赤城、蒼龍、飛龍、翔鶴、扶桑、ビス子……それに最近ケッコンカッコカリしたばかりの雲龍、阿武隈、大井、北上、武蔵の姿が。おいまさか、一晩で全員『相手』にしろってのか。

「勿論一番は私デスよ~?」

 おい、バカな真似は止めさせろよ正妻よ。っていうかお前はこれでいいのか。

「大丈夫です、死なないように加減はします。未亡人にはなりたくないので」

 いや待て加賀、違う、そうじゃない。金剛(と旦那のいる霧島)を除く嫁艦達のジャンケン大会が始まった。神よ、貴方は俺に死ねと言うのですか。



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     }∠,..艦__これ_ \    \
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    ,′i:/n    n\i:.:.:.:.i‘,  }
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  <人(          ,':.:./__):.∠ニZ
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    {:.:.:‘,( ) ( )__L/´    /:.:.|
   人:.:.:.: (・x ・l ト--{〉   ノi:.:./
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        ノ |_| |_|
.          」.| 」.|


こんだけの美人と乱〇プレイとか、むしろ役得じゃね?



……おいなんだ今の。放心状態だった俺はあっさりと嫁艦どもに捕まり、ズルズルと引き摺られていった。その後の記憶は、定かではない。

 明けて翌日、即ち夏休みの一日目。死屍累々(死んでないけど)が横たわる部屋からそっと抜け出して風呂へ向かう。汗やらなんやら、色々な液体まみれでネトネトの身体を洗い流した。いやはや、記憶が無くなるまで疲労したのはいつぶりだろうか。

「ふぅ……さてどうするかな」

 身体を清めてからゆっくりと、湯船に浸かりながら今日の予定を考える。何も予定がないというこの状況下が久しぶりすぎて、予定の立て方をすっかり忘れてしまっている。……ふと、耳をすますと鎮守府の裏手からワイワイガヤガヤと話し声がする。方向からすると山雲農園の方向だ。その方向に取り付けてある磨りガラスの窓を開けると、複数の艦娘が楽しそうに夏野菜の収穫をやっている。

「あ~、提督さ~ん」

 こちらに気付いた山雲が手を振っている。その手には立派で青々としたキュウリが握られている。

「よぅ、精が出るなぁ」

「皆で収穫した野菜を食べようと思ってるんです~。提督さんも~、いかがですかぁ~?」

 新鮮な摘み立て夏野菜を調理して食べる。こんな時でもないと出来ない贅沢だ。是非参加させて貰おう。

「お~、今風呂から上がって着替え終わったらそっちに行くよ」

「は~い、待ってます~♪」

 さて、善は急げだ。風呂から上がって着替えると、軍手を填めて頭にタオルを巻き、身支度を整えて鎮守府裏手の山雲農園へ向かう。




「おっ!来たなぁ提督!」

 出迎えてくれたのは首からタオルを提げた天龍だった。鼻の下に土が付いているが、言わないでおいてやろう。

「司令官、ご機嫌ようです!」

「しれぇ!おはようございます!」

「あ~、司令官だぴょん!遊んでもらうぴょん!」

 俺が下りてくると同時に群がってくる駆逐艦娘達。さながら幼稚園か小学校の低学年学級のようだ。

「コラお前ら!提督困ってんだろうが。それに遊んでねぇで早いトコ終わらせねぇと、飯作る時間無くなるぞ?」

 天龍の一喝にはーい、と大人しく収穫作業に戻る駆逐艦達。その姿は、

『保母さんか小学校の先生だよなぁ、どう見ても……』

 苦笑いしながらその様子を見守っていると、

「……あぁ、提督も来たのか」

 背後から声をかけられて振り向くと、そこにはいつもの制服の日向が。しかし服以外は麦わら帽子に軍手、ゴム長、そして一輪車を押している。一瞬本気で農家の人に見えたほど似合っている。

「おぉ、おはよう日向。お前も手伝いに?」

「まぁ、そうなるな。山雲の野菜は新鮮だし美味い。いつもお裾分けを貰っているから、今日はその恩返しにな」

 一輪車の中を覗くと、大量のジャガイモと玉ねぎが。こりゃ食堂や店に卸しても余りそうな量だ。どうやら山雲農園の夏は豊作らしい。

「提督~、サボってねぇで手伝えよ~!」

 天龍先生にそう言われちゃあ、従わない訳にもいくまい。その後は他の連中と茄子にトマト、オクラにゴーヤ、枝豆やトウモロコシ、キュウリなどの夏野菜を収穫した。皆汗だくで腹ぺこだ。

「よし、この野菜使って外でバーベキューにするか!」

 俺がそう高らかに宣言すると、収穫作業を頑張っていた艦娘達から歓声が上がった。さぁ、大バーベキュー大会と行こうじゃないか。
 
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