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ゲーム風スキルは異世界最強なんだよ!・ω・`)ノ

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25話「犬さんと、剣狂いゴブリン」

ブログバージョン
http://suliruku.blogspot.jp/2016/11/25.html

偵察部隊を始末したから、ナポル前衛集団には情報は届いていないはずだ。
こっちの存在が知られる前なら、山道を移動する大変さも重なって油断しているはず。
ナポルっていう名前のゴブリンを始末すれば勝利だ。
集団は指揮系統の頂点がやられれば、誰が指揮するかで揉めて混乱する。
矢一本で、どんな兵力差も覆るんだ……なにせ上級の指揮官が恐ろしい程に少ない。
事前に、邪神の視界を借りて調べた所、今、相対しているゴブリンの前衛集団は50匹で一つの隊を組み、それが一つ消滅して残りは19隊。
一番偉い奴が死んで別の奴が指揮をしても……残った19人の指揮官が、反発してバラバラに行動する可能性が高い。
軍は階級が全てだが、ゴブリン略奪共同体の前身は傭兵団。
経験を積んだベテランが傭兵団から分離して、新しい組織を起こすのは当たり前……基本、自分で事業を起こさないと受け取る利益が増えないし……。

『一言で説明すると、今まで同僚だった奴に命令されても、素直に従える奴は少ないって事だお?』
『犬さん、説明が長いですぞ』

そ、そういう展開になれば……僕の勝利だ!
そのためならば、ホワイトのパンティーを口に入れるのも構わない……モゴモゴ

『青と白の縞々パンティーを口に入れている犬さん』
『なんて酷い戦争をしているんだお……でも、羨ましいお……オラもパンティーを食べたいお……』

道なき道を歩いてる内に、ゴブン街道を狙撃するのに適した場所を見つけた。
森と森のわずかな隙間を利用した遠隔狙撃ができる良ポイントだ。
失敗しても、反撃は絶対返ってこない。向こう側から見れば、僕がいる場所は無数の木々に隠れた小さな点に過ぎないし。
距離にして400mほど離れている。熟練した弓兵でも、この距離から狙撃を命中させる事は不可能に近いだろう。
……僕は技能スキルのおかげで、短期間であっという間に、弓の技が成長するけど、ゴブリン達の努力とは一体……何のためにあるのやら……。
ああ、そうだ。これほど距離が離れているなら、声を出しても良いな。
さようなら、青と白の縞々パンティー。僕はパンティーを口から出した。
ゆっくりと、僕は後ろを振り返って、パンティーを口に入れてモゴモゴしてる獣人達に話しかけた。

「イスラム教の偉い戦士は良いました。
君主ひとり狙撃すれば、大軍要らなくね?と」

という内容を言おうと思ったが、この内容だと『お前ら役立たず』って宣言しているも同然だから止めておいた。
ホワイトの幼い心を傷つけてしまうかもしれない。

「皆、パンティーを口から出してもいいぞ。
今回は、矢が5本あれば大丈夫だから、攻撃するのは僕一人で良い。
黙って観察して、射撃の参考にしてくれ」

皆が、すぐにパンティーを口から出し、背中のリュックサックに収納していた……。
何に使うつもりだ……おまいら……。
ホワイトのパンティーはそんなに価値があるのだろうか……作ったのは僕だけど。

「主様は頼りになりますなぁ。この距離から狙撃とは……誰にも真似できませんなぁ……」

「さすがは預言者様なのぜ……」

ホワイトと獣人達が、僕を尊敬した目で見て、尻尾をぶんぶん振り回している。
本当に僕以外の獣人って役に立たないなぁ……スキルスロットが余ったら、ホワイト辺りに上げるべきだろうか?
転生仲間をそろそろ増やしたい今日この頃。

『統率スキルより、犬さん一人の方が役に立つ現実』
『……み、道を壊すなら、労働力がたくさんあった方が便利だからワンチャンスですぞ』

ああ、そうだ。
交通インフラをぶっ壊す作戦がメインだったから、獣人達は役に立っている。
偉いぞ、お前ら。この調子で僕にもっと楽をさせてくれ。
お……?遥か視線の先……400mの場所に、ゴブリン達の集団が歩いていく姿が見えた。
細い山道だから、標的の移動先を読みやすい。
これでナポルって奴が通ったら、この戦争は終わったも同然。
家に帰って、狐娘と狼娘の尻尾を好きなだけモフモフして、幸せに暮らすぞ。

「休憩時間になったら、あの栗を食べようぜ」
「あのキノコ美味そう……」
「山……辛い……足が痛てぇ……」

聞き耳を立ててみた。ゴブリン達は元気な奴もいれば、疲労でヘトヘトで脱落しそうな奴もいる。
弓や槍を担いでいて辛そうだ。
中には怪しい動きをする連中も居て――

「ま、まだ、ばれてないよな?」
「男装している娼婦のゴブリンがいるなんて、さすがのナポル少将も気づかないのぜ?」
「娼婦に分ける食料のせいで……お腹が空いた……」
「あらやだぁん、都会派な男ねぇ」

……これ、本当に精鋭なのだろうか?
胸が膨らんだ女ゴブリンが、男装して紛れ込んで行軍しとるぞ……。
これから死ぬナポルって奴は、相当苦労してそうだなぁ……。

「主様……クシャミしそう……」

ホワイトの甘い囁きを、僕の犬耳が捉えた。
400mも離れているから大丈夫だとは思うが、クシャミは音が大きいからやばいかもしれない。
僕はゆっくりと横にいるホワイトの顔を見た。舌をペロッと出して、いたずら娘みたいな顔をしている。

「ふふふふ……冗談です、お忘れくだされ……」

心臓に悪い冗談すぎる……。
後で、たっぷり尻尾をモフモフして調教しないとダメだな……。

『けしからんですお』

こうやって時間を潰している間にも、ゴブリンの隊列が進んでいく。
……400匹ほど通り過ぎた頃だろうか。
胸に勲章をジャラジャラ付け、顎が極端に大きいゴブリンを見かけた。
頭に、大きな黒い帽子を被っていて、一人だけ目立っている。
周りのゴブリンに命令しまくって偉そうだ。

「進めー!獣人の村の先には、人間の集落がたくさんあるぞー!
略奪すれば食べ放題だぁー!
もっと早く進めー!モタモタしていると冬がくるぞー!
獣人の村に一番乗りした部隊に、褒美を取らせるっー!」

『そいつがナポル少将ですぞ!犬さん!』

邪神の声を聞き、僕は化合弓のケーブルに矢を番え、思い切りケーブルを引っ張った。
息を吸い、体調を落ち着けて、ゆっくりと狙いを定める。
出来れば一撃で仕留めたい。
風の動きを読み、標的の未来位置を予測し、僕は矢から手を離した。
ケーブルが矢にエネルギーを伝え、一撃必殺の矢を生み出す。
無数の木々の隙間を越え、矢はナポルの頭に吸い込まれるように――当たる前に、一匹のゴブリンが剣で矢を切断して迎撃していた。
アイエェェェェェェ!?なにこれぇぇぇ?
障害物が大量にあるせいで、向こうから、矢が来るなんて分からないはずなのに迎撃された!?
チートだぁー!チーターだぁー!ありえないぃぃぃ!

『非常識なゴブリンさんだぁー!』
『まるで犬さんみたいな動きだお!?』
『動揺している場合じゃない。
犬さん、連続攻撃だぁー!』

僕は命中精度を犠牲に、連続して400m先に矢を5本飛ばした。
だが、それらを尽く、黒いマントを羽織ったゴブリンが、剣の刀身で弾いて防いでくる。
ありえない。人間の達人でも、こんなありえない事ができるはずがない。
矢を盾で防ぐ輩は、今までたくさん見てきたが……剣で防ぐアホは初めて見た。
どんな訓練を積めば、あんな事ができるのか分からない。そう、まるで――僕の持つチート能力を持っているかのようだ。

『天然のスキルスロットの気配がするお。数は2個』
『久しぶりにスキルスロットを強奪できるチャンスですぞ!』

僕と似たような奴がいるんかーい!
駄目だ!これ!
成人まで成長して、剣の技能レベル99に明らかに到達している化物とか相手してられるか!撤退だ!
追いかけて来られたら、獣人達がバサバサ斬られる!こっちはまだ……三歳児なんだぞ!
矢を迎撃できた事から、危険を察知できるスキル持ちだし!

「皆!逃――」

『こらこらwwwww獣人の士気が崩壊しちゃうだろwwww』
『指揮官が言っちゃ駄目なセリフだおー!』

「皆ぁー!モーニャンの暖かい飯を食べに帰るぞー!走れー!
美味しい料理が待っているぞー!
僕に付いてこれた奴はご飯が多めになる!」

「「やったー!飯だぁー!」」

こうして、僕たちは道なき道を通り、モーニャン達がご飯を作っている場所へと帰った……。
幸い、あの化物は追撃してこなかったようだ。
……幸先が多難だなぁ……。
あの化物が1匹だけだったら良いが……2匹以上居たら、もう手に負えないぞ……。
僕の技能スキルは、戦闘特化というより、生産スキルを重視して取っているし……。
まだ三歳児ボディだから、そんなに無茶をさせられない……。

『武術の達人と同じ事ができる三歳児がいる件について』
『向こうも同じ事を思っていると思いますぞ……』

あと、不思議だと思った事があるな。
何故かホワイトが重い沈黙を保ったままだ。
とりあえず、安全な場所に行って食事が終わったら、尻尾をモフモフしてやろう。
この銀色の気さくな尻尾が、これまた、たまらんのだ。
ちゃんと手入れしてあって、抱きついてモフり甲斐がある。


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獣人「「この子供、将来、とんでもないスケベーに育つわ!」」
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