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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)

作者:あちゃ
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第73話:パズルのピースが合致すると嬉しい

 
前書き
メリクリ!
あちゃサンタから、リュカ伝更新のプレゼントだよ。 

 
(グランバニア城)
ユニSIDE

リュカ様がウルフ閣下等を連れて芸高校(芸術高等学校)へ絵画を購入してきてから3日……
大量に購入された絵画を飾る作業に、メイド等総出で事に当たった3日間。
城内も華やかさを増して良い感じだわ。

そんな華やかになったグランバニア城に、今日から宮廷画家が3人出仕してきた。
女性2人に男性1人。
各人に専用の創作部屋もグランバニア城2階に設けられている。
未だ学生と言う事もあり、出仕は午後4時以降からだが、各々からのやる気は伝わってくる。

基本的に城内での作業がメインになる為、リュカ様とウルフ閣下から直接紹介されています……今まさに。
「まず、この男の子は、ラッセル・クリステンセン君。僕はラッセンって呼ぶけどね」
相変わらずのリュカ様だ……意味が私には解らない。

「そして背の小さい彼女……エウカリス・クラッシーヴィちゃん。僕はサビーネって呼ぶ」
何故なんだろう? 先程のラッセルさんは、何となくラッセンって呼ばれても良いけど、エウカリスとサビーネって全然違くないですか?

「最後にピクトル・クントスさん。85・55・88だよ」
「ちょ……陛下!?」
何の事前説明も無く渾名らしき事を言われても対応に困る。
ピクトルさんは恥ずかしそうに胸を押さえているが……?

……85・55・88?
何か聞き覚えのある数字ね?
何だったかしら?

「彼女の名はユニ。グランバニア王国宰相兼国務大臣付城内務秘書官で、君達の直属の上司になる。何か困った事が起きたら彼女に相談してね。ユニじゃ対応出来そうになかったらウルフ宰相に……それ以上の事だと僕になるけど、出来れば面倒事を持ち込まないでね」

「と言う訳で、今日は絵を描いてもらったりする気は無いので、ユニさんに城内を案内してもらってよ」
「城内の案内なら家主の僕がするよ」
簡単で意味不明な事の多い紹介が済んだ所で、ウルフ閣下から3名への城案内を申しつけられる……だが、それをリュカ様が自ら行おうとしてきた。

「オメーには仕事が山のように残ってんだろ。若い新人が3人も入ってきたからって、浮かれてんじゃねーよ。城案内なんて雑用は部下に任せておけば良いんだよ」
その通りですわリュカ様。雑用は私ども部下等にお任せ下さい。そしてリュカ様は、リュカ様にしか出来ない重要な政務をお願いします。

ウルフ閣下とアイコンタクトすると、彼はリュカ様を押すように執務室の方へ戻り、私は新人3名を促すように城内を案内し始めた。





初めは緊張してたのか口数が少なかった3人だが、城内を見て回ってる間に私から気さくに話しかけたのが功を奏したらしく、城案内終盤には楽しくお喋り出来るほどまで仲良くなれた。
「……さて、最後に案内するのは皆の創作部屋よ」

グランバニア城2階に設けられてる宮廷画家用の創作部屋……
元々は兵士等の仮眠室や娯楽室等だった場所だが、今はそれぞれを別の場所に移転させてる為、空き部屋となっていた部屋だ。

「それぞれ干渉されたくないだろうと思って、そんなに離れては無いけど間隔を空けて部屋割りしてあります。それと勝手に各自に部屋を割り当てちゃってますから、文句は言わないようにね」
我が儘なガキじゃないのだから『私はこの部屋が良い!』とか言って喧嘩しないだろうけど、遠慮しあって部屋割りが決まらないのも困るから、勝手に決めさせてもらったわ。

「何から何までお気遣いありがとうございます。俺としては美女二人と同室が良かったんですけどね」
聞き慣れてる軽口を叩くのはラッセル君。こんな性格だからリュカ様に気に入られて採用されたのだろう。

「コラー、あほラッセル! 私は陛下の愛人になる為に宮廷画家になったんだぞ! 私に手出ししたらダメなんだからね!」
私と同じくらいの胸囲しか無いから愛人になるのは無理だろうと思われるエウカリスさん。これまた凄い性格だわね。

「ねぇピクちゃん! 一緒に愛人になって安楽な人生送ろうね」
「い、いや……私は陛下の愛人に何て気は……」
唯一リュカ様の愛人になれそうなスタイルのピクトルさんの性格は比較的真面そうだ。
大丈夫かしらねぇ……この性格じゃグランバニア王家と付き合うのは拷問だと思うけど。

「いやぁ~……しかしピクトルはスタイル良いんだねぇ! 先刻(さっき)陛下が言ってた“85・55・88”は、君のスリーサイズだろ? 何で陛下が知ってるんだ?」
ああ! あの数字は彼女のスリーサイズかぁ……

「リュカ様は特別な瞳の持ち主で、女性のスリーサイズなら見ただけでズバリ当ててしまわれる方なのですよ」
「凄い人なのねぇ……じゃぁ私のサイズも知られちゃってるのかしら?」
そうなのよ、凄いお人なのよリュカ様は!

私も何時ぞやに中庭ティータイム中に、教えて戴かなかったら知り得なかった情報ですもの。
……………そう言えば“85・55・88”って、そのティータイム中にリュカ様から聞いた数字だったわね。
確かウルフ閣下の暗証番号が“85・55・88”だと推測なさった数字だったわ。

……え!?  この数字ってウルフ閣下の浮気相手のスリーサイズを、その事実を知ってるリュカ様が嫌がらせで暴露した数字よね!?
……うそ!? だってピクトルさんがラッセル君にスリーサイズを再度言われ、恥ずかしそうに胸を押さえてるのよ!

そう言えばリュカ様が購入してきた絵画の中で、彼女が描いたとされてるグランバニア城の絵は、城から南東に位置する小高い丘の上から描かれたモノだったわ。
あの場所ってウルフ閣下が毎週土曜日にスタジアム建設の進捗状況を描き残してる場所と同じよね!

って事はよ……3人の部屋割りをウルフ閣下が決めたのにも意味があるんじゃないかしら?
彼女の創作部屋は、人の出入りが確認しづらい場所……
3人の部屋を離したのも、室内で何をやっててもバレないようにする為じゃないの!?

あの小僧……公私混同も甚だしい!
姫様達に言い付けて……やりたいけど、浮気してる事に気付いた私にリュカ様は、秘密にしておくようにと注意喚起してたわ。
だから大人しく黙っていようと思います。

新人3人も自分達の部屋に興味がいっぱいで、キャッキャ言いながら私の前から散っていきました。
しかし如何すれば良いのでしょう……
凄い事を知ってしまった私は、如何やって普段通りに仕事をすれば良いのでしょう。

誰かに言いたい……
誰かに言って秘密を共有したい!
でも言って良い相手って誰?

「ユニ」
そんな事を考えながら執務室まで歩いていると、物置部屋からビアンカ様が顔を出して私の事を呼び止めた。

「は、はい。何でしょうかビアンカ様」
「今、良いかしら?」
ビアンカ様は私に内密な話をしたいらしく、人気の無い物置部屋へ招き入れる。

「この間はごめんなさいね……お仕事の邪魔をした挙げ句、精神的な苦痛までも体験させちゃって」
“この間”というのは、やっぱりウルフ閣下とのいざこざ事件の事だろうか?
「い、いえ……私達は別に……」
と言うしか無い。“いい迷惑でした”なんて言える訳無いのだから、“別に”と言うしか無い。

「良いのよ無理しなくて。私も貴女達に圧力をかけてウルフ君への牽制に利用しようと考えてた訳だから……本当にごめんなさいね」
あぁ、なるほど。道理で退出したがっても許して貰えなかった訳だわ。

「あの後ね、リュカに怒られちゃったのよ。『ウルフを困らせるだけなら兎も角、その周りのスタッフに迷惑をかけるなんて言語道断だ』って……」
「そ、そんな……あれは誰が見てもウルフ閣下の方が悪い訳ですし……」
生意気な上司って厄介ね。

「ユニは優しいからそう言ってくれるけど、あの日からリュカが私とシてくれないのよ……」
「……シてくれない?」
「夜の相手をよ」
「マジですか、それは!?」

「マジなのですよ、これが!」
あ、あのリュカ様がビアンカ様との営みを拒絶するなんて……
そんなにウルフ閣下の仕事の方が大切って事なの?
あの男に何をそんなに遠慮してるの!?

「ビアンカ様は悪くないですよ! 私、リュカ様に説明してきます!」
「良いのよユニ……流石に昨晩、私がリュカに文句を言ったから。そしたら言われたの……先刻(さっき)の台詞を」

「で、でも……」
「でね、迷惑をかけたスタッフ達に謝ってきなさいとも言われたの。だから謝ろうと思って……でもね、あいつ(ウルフ)の前では嫌だったの。だからこんな人気の無い場所に呼んじゃって(テヘ)」
カワイイー! 年上なのに、何でこんなに可愛く見えちゃうの?

「タイミングを見計らって他のスタッフ達にも謝りに行こうと思ってるから、ウルフ君には言わないでね」
「ビアンカ様、そんな事をなさらなくても大丈夫です! 私が他の者達に伝えておきます。ビアンカ様のお気持ちを、あのアホ(ウルフ)が居ない時に伝えておきますから!」

「え、でも……」
「良いんです! ビアンカ様は全然悪くないんですから……そ、そんな事より凄い情報があるんです」
リュカ様にも怒られて、凄く気になさっているビアンカ様の心を軽くしたくて、私は先程仕入れた特ダネを披露しようと思い立つ。

「ビアンカ様はウルフ閣下が浮気してる事を存じ上げてると思いますけど……その相手が、この度宮廷画家として雇われました!」
ふっふっふっ……そうよ、ビアンカ様にだったら言っても問題ないわ。

ネチネチいびる情報をビアンカ様と共有し、いい気になってるあの男の鼻っ柱をへし折ってやるんですよ。
さぁビアンカ様、一緒にあの小僧の悪口を言い合いましょう!
……って、どうなさいましたか?

「ユニ……貴方その事を私以外の誰かに言ったの?」
「い、いいえ滅相も無い! 私だって馬鹿じゃありませんから、王家のスキャンダルを軽々に喋ったりはしません。何より、この事に気付いたのは今し方の事ですから、ビアンカ様以外に話す機会もありませんでしたわ」

ビアンカ様は急に怖い顔になって私の仕入れた情報を牽制してくる。
この情報に何があるのかしら?

ユニSIDE END



 
 

 
後書き
クリスマスに相応しい内容に仕上がったと、有識者の方々が仰ってくれました……………夢の中でね! 
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