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仮面ライダー龍騎 ~幻想郷鏡界戦~

作者:東海列島
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第一話 「繋がった異世界」

 
前書き
仮面ライダー龍騎と東方シリーズの二次クロスオーバー小説です。

以前から東方シリーズの熱い解説・茶番・実況(ゴジラや仮面ライダーなど)の動画が好きで、そこから東方シリーズに触れました。

で、「不思議の幻想郷」のVita版を予約して買いまして……その頃に、好きなシリーズの一つ「仮面ライダー龍騎」とクロスオーバーさせ、かつ、理想の仮面ライダーメンツの展開を書きたいと思い始めました。

読み苦しく不定期連載ではありますが、よろしくお願いします。

他にもゴジラの小説も不定期製作してます。


 

 
「君達はこの僕が選定した選ばれし者達だ。この鏡の世界と幻想郷という場所で戦ってもらう……代価は力……報酬は最も叶えたい願いだ……」

独特な声で男の言葉が響く。

全体に銀色の鏡が連なる世界。

その場には十数名の青年達が集っていた。

困惑を隠せない者もいれば、現状を見つめ冷静に聞き入る者もいる。

「これからはその幻想郷及び鏡の世界、そして君たちがいた街……静岡市といったか……その世界を行き交いながらのバトル・ロワイアルをしてもらう。街中の鏡から行き交いはできる。ちなみに静岡市は僕が鏡世界を通じて偶然重なった。ある意味運命だね……では、力の元を与える……」

青年達にそれぞれ四角い黒のカードデッキが与えられ、各々の手に渡る。

誰もが「何だこれは?」と言わんばかりに裏表や中味を見る。

男の声が更なる説明を進ませる。

「力を与えてくれるカードデッキだ……同時に力が手に入れば、そのデッキが自とこれからの戦いの概念や知識を与えてくれる。故にこの戦いに関しての質問事項は皆無だ。だが、力を手にするには……ある契約が必要だ。その契約が済めばそれぞれ個々の個性的な力が与えられる。その契約とは……」




一ヶ月後




静岡市内において、同日に市内で十数名の男性が行方不明になった事件が取り上げられ続けていた。

それとほぼ同時期に市内において男女子供問わずして行方不明者が発生する事件も相次いでいた。

一ヶ月経過した今も起こり続け、日々少しずつ行方不明者が増加し、県内ニュース、地元ラジオはもちろん、全国ニュースでも取り上げられ続けていた。

そして、遂に行方不明になる瞬間を目撃した事件が発生した。

県警の警察が調査する所に野次馬がたかっている。

更にその周りでデジカメ片手に状況している青年がいた。

彼の名は和津沢(かずさわ)龍斗。

県内のユーチューバー兼フリーターの青年だ。

主に県内の至る所(グルメ、心霊スポット、廃墟、廃道ets)に突っ込む動画や、ふざけたレポート、ふざけた実験、真面目な探訪等々の動画がウケはじめ、人気上昇中のユーチューバーだ。

しかも同市内に活動している、あるユーチューバー同様のイケメンときている。

実はそれも相まって人気上昇中であるのも事実だ。

そんな彼は今回例の行方不明事件にスポットを向けていた。

動画撮影用のデジカメ片手に一人言同然に実況する。

だが、一目を気にしていたら務まらない。

突撃同然の覚悟で実況する。

「えー今ですね、もうニュースでも話題になっています、静岡市内の連続行方不明事件の現場に来てます!!ここはつい昨日に事件があった葵区のとある喫茶店前ですっ!!ま、編集して店はモザイクしてますけども……しかもですね、今回の事件で遂に行方不明の瞬間を見た人が出ました!!なんかね、突然店のガラスに引き込まれたっていう信じられないコト言ってるらしいんですが、見た人がなんと複数人いるということでですね……」

龍斗はハキハキと実況しながらデジカメを手に現場をスムーズにまわる。

その行動が不謹慎な事は承知だが、周りの人々も野次馬でありそちらの方が被害者関係者に不謹慎だといえる。

「ガラスに引き込まれたって……本当にアニメかなんかの話しだよな~……えー……もしかしたら!!何かが反射して写るかもしれないんで!!ぐるぐる回りたいと思います!!」

龍斗は事件があった喫茶店の周囲をデジカメを片手に周りだす。

だが、そう簡単に奇妙な映像が撮れるはずがない。

普段の突っ込むノリで、ガラスというガラスを撮りまわる。

「……と……まー、そうそうそんな……ね?撮れるわけ……ん!?」

アスファルトにアングルをずらすと、四角いモノが映り込む。

「なんか……落ちてます……もしや手掛かり!!?なーんて……」

龍斗は安易にそれを手にし、膝に置きながら中身を見始めた。

「これは……カード……です……なんかの、よくあるカードバトルゲームのカードのようですが……」

手にしたカードには、赤いドラゴンのイラストが書かれていた。

だが、次の瞬間、龍斗は奇妙な耳鳴りにみまわれた。

不快なまでに響く耳鳴りに龍斗は言葉を無くす。

「っ!?……!?!?………っ、なんか、奇妙な耳鳴りしはじめました……いや、マジです、マジです!!……なんだこれ!?!?」

実況にも、露に出る動揺。

ただならぬ実況と事件が重なる感覚が龍斗に過る。

更に次の瞬間、反射するガラスの中に、巨大なクモの姿が映り込んだのだ。

その姿はビデオカメラを通して撮影されていた。

「はぁ!?!?な、なん……!!!!がぁ!?!?」

そして反射ガラスのクモは、激しく動揺する龍斗に糸を伸ばし、あろうことかそのまま反射ガラスの中に引きずり込んだ。

その瞬間、龍斗が手にしていたカードデッキが光り輝いた。




幻想郷・人里周辺

同じ頃、幻想郷の人里において戦闘が繰り広げられていた。

「はぁ……はぁ……はぁ……っく!!!」

博麗神社の巫女・博麗霊夢は、調査先で突如として謎の魔物と戦闘を余儀なくされていた。

謎の魔物は、角を生やした人型のガゼルの魔物だ。

その魔物は凄まじい跳躍で霊夢に襲いかかる。

「グプルフゥ!!」

「ちぃ……!!!」

霊夢は躱す事の防戦で、手が一杯な状況だった。

彼女は、事ある毎に「異変」に見舞われた幻想郷を護ってきた屈指の巫女であり、幻想郷において名を知らない者はいない程の有名たる巫女である。

そもそも、幻想郷とは博麗結界の中にある現実世界と陸続きの異世界であり、人や妖怪が住まう世界だ。

幻想郷では、特に博麗霊夢を始め、何故か数多くの美少女達が住まう世界としても特筆する部分であり、それは人と妖怪を問わない。

物資などは、現実世界(人里)から忘れられたモノ等が耐えず入ってくる状況にある。

そのような事はさておきながら、霊夢は武器の一つである、霊符を三枚取りだして自身の霊力を籠める。

躱し続けた先に反撃の間合いを見いだしたのだ。

「あんたは一体なんなの!?!食らいなさい!!!離倒霊符!!!」

霊力を籠めた離倒霊符を撃つように投げ、謎の魔物へ直撃させた。

魔物は突き放されるように吹き飛ばされた。

更に吹き飛ばされた魔物へ多重に重ねた霊符を弾幕として撃つ。

「夢想・連爆符!!!」

重ねた霊符の弾幕が撃ち込まれ、連続爆発を起こしながら魔物を包んだ。

「はぁ……はぁ……やった!??」

だが、吹き飛ばされた魔物はただ吹き飛ばされただけに過ぎなかった。

ほぼノーダメージに等しかった。

魔物は平然と跳躍して霊夢に襲いかかる。

「ギリィア!!!」

「くっ!!!」

襲いかかる魔物の爪。

霊夢は、霊力のパワーを宿したおおぬさで受け止めようとした。

掌とぶつかり、霊力の力がスパークを発生させる。

「っ―――くぅっっ………!!!」



グググ……バキャキィィ!!!



だが、魔物は霊力を宿したおおぬさの尖端をギリギリと鷲掴みにし、その力でへし折った。

「ギャラアッッ!!!」

「あぐぅっ……!!?」

更に魔物の掌底打が霊夢を襲うが、咄嗟に霊符でガードした効果で、ダメージ衝撃は多少和らげていた。

だが、それでも突き飛ばされたその衝撃と痛みはこれまでに戦ってきたどの相手にも例がないほどのモノだった。

凄まじく重い一撃だった。

「かはっ……ぅく……なっ、なんてやつ………!!!っくぅ……!!!」

魔物は倒れこんだ霊夢に追い込みをかけるように飛び上がった。

直に攻撃を受ければ、最早絶体絶命。

霊夢は、咄嗟にスペルカードを取りだし、そのスペルカードの能力を発動させた。

「逃げるなんてシャクだけど……!!!」

目映いまでの光りが霊夢と魔物を照らし、その光りを拡大させた。

「ギャギリ!??」

目映い光りに眩みながらも、魔物は爪を突き立てて地面に着地した。

魔物は狂ったように周囲を見舞わす。

だが、既に霊夢の姿はなかった。

魔物は、霊夢を仕止め損ねた悔やみを吐き飛ばすかのごとく、狂うように身体を反らして空に吠えた。

そして魔物は、跳躍しながら凄まじい速度でその場を後にしていった。



……



ふと霊夢が目を覚ますと、布団の中に寝ていた事に気づく。

「……!?……え!?」

目覚めた霊夢の隣には、中国風な衣装を着た茨木華扇が待っていたかのように正座をして座っていた。

ちなみに彼女は仙人であり、動物と会話したり、包帯を巻いた右腕で怨霊を駆逐するなどの能力を持つ。

妖怪の山に隠れ家を儲けているが、現在は博霊神社に構えた別荘に滞在中である。

「目覚めましたか?霊夢」

「華扇……あれ!?あたし……確か倒れて……うあっ!??」

霊夢は急にきた身体の激痛に体を埋めてしまう。

「かなりの打撲傷を負っているんです!!無理はしてはいけません!!あなたは博霊神社の外れで倒れていたんです。博霊の巫女たる霊夢に一体何があったんですか!?」

霊夢を博霊の巫女と押す華扇。

普段は霊夢のプライドの代名詞くらいに誇りな名目だが、今回の件ばかりは重く感じていた。

「異変調査中に未知の魔物……モンスターと出くわした。今回の行方不明の異変は十中八九やつの仕業よ……けど、太刀打ちできなかった……異常な強さだった」

「霊夢……」

「正直、妖怪の類いではなかった……別の存在よ……痛い!!」

打撲が霊夢を痛感させる。

華扇は霊夢の両肩を添えるように布団へ戻す。

「とにかく安静です。どうしても状況が気になるならば他の方に協力を求めましょう」

「そうね……魔理沙や文に協力してもらおうかしら」

「彼女達なら空も飛べますし、特に文さんは幻想郷の新聞屋ですから何らかの情報も得られそうね……わかりました、彼女達に連絡してみます」

一、二つ昔前のガラケーを取りだし、魔理沙と文に連絡をした。

今の幻想郷では、かつてのケータイが普及しつつあり、誰もが持っているアイテムの一つであった。

連絡を受け、今からできうる限りの調査をしてきた霊夢の親友・霧雨魔理沙、哨戒天狗の友人・射命丸文は、異変事態を前に安静にせざるをえない霊夢を前に、彼女程の実力者を負傷させる存在に対し驚きを隠せなかった。

「霊夢がやられるなんて、信じられないぜ……異変事の力を宿した香霖堂店主以来だ」

「その香霖堂も今不在が続いてます……例の行方不明事件に巻き込まれた可能性も十分にあります!!!霊夢に負傷を負わす魔物……さらなる一大事件の匂い……!!!」

「とにかく……あの魔物は次元が違う危険極まりないやつよ……代わりの調査ありがとう。で、何か情報は得たかしら?」

霊夢は礼と共に情報を聞く。

「あぁ、今の所、角生やした人型の魔物、巨大なクモ、飛び交う人間サイズのフクロウ、カエルの魔物が目撃されているぜ。後、関係してるか知らんけど、どうも一ヶ月くらい前に向こうの世界から十数名の男達が新たに幻想入りしてきたらしいぜ」

「それでしたらあたしも知ってます。確かに彼らが幻想入りした時期と行方不明事件が発生し始めた時期が重なります。因みにあたしが得た情報は既に幻想郷では20名余りの住人が行方不明に……人、妖怪、霊、神問わず!!そして、どの場所にも共通するものがありました」

「共通するモノ?」

華扇が文に共通するキーワードを問う。

「はい、どの場所にも鏡もしくはガラス等の反射物がありました。加えて持ち物など……」

「一ヶ月で20人余り……幻想郷においてこのペースで事件が進めば……!!!」

魔理沙もどうなるかは言うまでもなく把握できた。

「幻想郷の過疎化……否、壊滅!!住人が激減すれば需要は自ずと苦しくなるし、過剰な弱肉強食がバランスを破壊するぜ。とにかく魔物がかんけーしてきてんのな……犯人はきっとやつらだな」

霊夢はため息をした後、予想を越える異変の影を確信しし、同時にこれ迄に幾度も幻想郷の異変の震源となっていた香霖堂が気になり始める。

「ねぇ、文……確か香霖堂もずうっと不在が続いてるのよね!?」

「え!?うん……そのために今は妖怪の郷のよろず屋が大繁盛している感じになってる……まさか、いえ、やっぱりこの事態は……!!!!」

共感しながら事態の予想を突いた文に続き、魔理沙が頭をかきながら漏らす。

「やれやれって!?また店主の余計な好奇心が招いたのか!?!?」

「これまでの事をつなげればおおよそは想像できます……ですが皆さん……今回の事件は前代未聞に危険です。くれぐれも慎重に!!」

華扇が三人に事の危険を促し、三人が頷くと、霊夢は文に香霖堂の調査の継続と情報を頼む。

「文、引き続き香霖堂の調査お願い」

「うん、任せて!!あ、後もう一つ共通する事項が!!現場周辺では妙な戦士が戦っていたと!!!」

「妙な戦士!??」

三人が口を揃えて文に聞いたその時、博霊神社の境内に轟音が響く。



ガゴォガガガガァ!!!



「!!!」

突然の事態に誰もが驚愕した。

「まさか……魔物……!!?」

「私は霊夢の側にいます!!!魔理沙さん、文さん、外の様子見をお願いします!!」

「わ、わかったぜ!!」

「はい!!スクープは逃さない……!!!」

魔理沙と文は轟音の方へと向かう。

するとそこには、 先程龍斗を引きずり込んだ巨大なクモの魔物がいた。

口基にはくすんだ青い色を纏った戦士が絡め取られていた。

「がぁあああ!!!!なんなんだ、ちっくしょー!!!!俺のデジカメ弁償しろ、クモ公!!!!くそぼけたれ!!!!」

声は明らかに龍斗のものだった。

命が危ういにも関わらず、デジカメを紛失させられたことをギャーギャーわめいている。

確かにユーチューバーにとってデジカメはある意味命の一つであるが。

「あれが……魔物と戦士!?!?なんかぁ……ぎゃーぎゃーわめいてるな……とにかく!!文、ここはあたしがやるぜって、ん……文?」

「あんな化け物……妖怪でも見たことない……!!!」

文は始めて見る異様な光景に新聞屋魂を忘れてしまう。

「しっかりしろ!!新聞屋!!くっ……!!!」

魔理沙は文を下げて、クモの魔物の前に出る。

すると、魔導弾幕器・八卦炉をクモの魔物にかざし、弾幕エネルギーをチャージした。

「はぁっっ……くらいな!!!マスタースパーク!!!」

バチバチとスパークする八卦炉の中央から波動ビームのような弾幕が発射された。

魔理沙が放ったマスタースパークの弾幕ビームが、クモの魔物に撃ち込まれる。

直撃音も空気や物を震わせる程の音を響き渡らせた。

「まだだ!!!連射連射ぁあああ!!!」

魔理沙は更にマスタースパークの弾幕を連射撃で見舞う。

直撃し、連続爆発を巻き起こす。

「へへへ……魔理沙様をナメるなよ~!!!」

だが、爆発の白煙を破りながらクモの魔物は跳躍した。

それでも魔理沙は追撃するように技を撃ち込み続ける。

はっとなった文はここでようやく新聞屋魂を取り戻し、早速カメラを片手に、密着取材に集中する。

その最中、魔理沙に襲い来るクモの魔物の反撃。

クモの魔物は、戦士に変身した龍斗を巻き付けたままその巨体を急降下させる。

そのパワーと重量に境内の地面が砕ける。

一時的なのか、ジャンプと同時に変身した龍斗に絡めた糸を噛みきり彼を地面に落とす。

「ギャワ!!!痛って!!!」

もちろんの事ながら、魔理沙はジャンプして躱し、文は背中の翼で舞い上がった。

だが次の瞬間、魔理沙に向かって糸が放たれる。

「しまった!?!」

魔理沙は不覚にも、糸に絡め取られてしまった。

「!?!くっ……ちっくしょ!!!」

魔理沙を捕らえた糸は凄まじき速さで彼女を口許まで引き込む。

「魔理沙……!!!くっ……!!!」

文は風技を出そうとするが、このタイミングでは絶対に捕食は免れない。

「いや、いやあああああああ!!!!」

取り乱し、悲痛な悲鳴を上げる魔理沙を容赦なく死の口許へと引きずり込んだ。

その時だった。



ダァドガァアアアアアアッ!!!


クモの魔物の腹に、巨大な角を持った何かが突っ込み、思いっきり巨グモをブっ飛ばす。


「キギュイ!?!?」


それは、別の魔物だった。

突然現れたそれは、二足歩行のガッシリとしたサイの魔物であった。

更にサイの魔物は、二、三発の打撃攻撃を加えると、魔理沙を加減して掴み、そのクモの口許から引き離した。

「こ、今度はサイ!!!!す、すごすぎー!!!!でも……あれは……味方……なの!?」

文は更に激化した状況に興奮する半面、サイの行動に疑問を抱く。

背中の翼を羽ばたかせ、とにかく今は上空からスクープ写真を撮り続ける事に集中した。

「お、俺、俺どーすりゃいーだー!?!ちっくしょ、とれねーし、なんなんだ、このかっこ!?!?」

わめいている龍斗の情けない様が目立つ。

「それにしても、あの戦士っぽい人……何かダサいな……」

その様が文にもダサい印象を与えてしまう。

だがその時、龍斗の傍ら方面から一人の厳つい男が歩いてきた。

感じ的には「鉄血のオルフェンズ」の昭弘・アルトランド風な印象を持ったガタイのいい男だ。

「まだ契約してないのか?お前」

「は!?契約!?!?な、なんなんだ!?!?契約って!?!?」

「?!!知らないだと……!?!まぁ、いい……」

「あ、おい!!!助けろ!!!!」

厳つい男は、ぐるぐる巻きの龍斗を通り去り、華扇を助けて彼女の糸をほどく。

「あ、あんたは一体!?!」

「あれはある力でなければ倒せない……下がってたほうがいい……」

「ある力だって……!?」

「あぁ。あれは鏡世界のモンスターだ。俺はそれと戦える力を持っている……」

厳つい男が魔理沙を助けている間にも、サイの魔物とクモの魔物が戦闘を続ける。

突進やクロー攻撃を繰り出し、サイの魔物が優性な戦闘状況だ。

「おい!!!!助けろっての!!!!」

「やかましい!!!レディーファーストだ!!!待ってろ!!!」

龍斗は、彼女ばかり助ける行動をした厳つい男にわめくが、そう言われてはぐうの音も出なかった。

確かにその通りだ。

魔理沙と文もうんうんと頷いていた。

「はい、すいませんしたっ」

魔理沙は厳ついながらも女子を気遣うギャップに何かキュンとなるモノをふと感じた。

「よし、取れた。さぁ、下がっていてくれ。これ以上は危険だ。後、鏡みたいな反射物の近くには行くな。あいつと同類のモンスターがうごめいている」

「わ、わかったぜ……ありがとうな」

「礼には及ばない。後は俺とあのサイに任せろ」

厳つい男はすっと立ち上がり、サイのモンスターに親指を向けて、変身した龍騎斗の方へと行った。

魔理沙は安全な所へ下がり彼の行動を見守る事にした。

いいアングル位置の為に、文は再び舞い降り、サイVSクモの戦闘模様を撮る。

「サイの魔物が優勢のよう……魔理沙、あの人は一体!?」

「んー?救世主だぜ。サイも仲間なんだってよ」

「よかった~……敵だったらヤバかったね……魔理沙、なんか顔赤いよ?まさか!?助けてもらったら……!!!」

「やかましい!!ち、違うぜ文!!気のせいだ!!気のせい!!」

そして、龍斗を助けた厳つい男は、博霊神社のガラス前に龍斗を連れ込んだ。

「なんなんだ、あれ!!!そして、この俺のかっこう!!!なんか知ってるみてーだし、教えてくれよ!!!」

「本当になんもわからねーのか?」

「ああ!!静岡市内で、このベルトについてるカードデッキ拾ったら、こんな、こんなんで……わっけわかんね!!!」

すると、厳つい男は頷いて納得し、説明を始めた。

「そーか……わかった。事の本懐は後にする。今からの知り得るコトを言う。まず、あれは鏡世界・ミラーワールドにいるミラーモンスターだ。因みにサイの方は契約カードで俺が契約したミラーモンスター、メタルゲラスだ」

「メタルゲラス……何かカッケー!!!デジカメありゃ、すげー動画とれたな……所で、あんたは!?俺はユーチューバーの龍斗だ!!」

「ユーチューバーさんかよ……マジか。俺は笹垣昭晴(あきはる)。名なんてまぁ、いい……百聞一見しかず。見てろ!!」

昭晴という男はガラス越しに反射する面にカードデッキをかざした。


♪BGM「果てなき希望(いのち)」


すると、反射するガラス越しにメカニカルなベルト、Vバックルが出現。

昭晴の腰にそれが装着された。

そして昭晴はカードデッキを引き下げ、右拳を力強くかざしながら叫んだ。

「変身!!!」

その瞬間にカードデッキをVバックルの中央に装着。

昭晴は瞬く間に銀色の甲冑の戦士に変身した。


《仮面ライダーガイ》


「すっげー!!!!どかっけーし、どやべーし!!!!うっおー!!!」

男心を刺激する状況に、龍斗は興奮を露にする。

昭晴は龍斗のはしゃぎをスルーし、単刀直入にここの姿は何かというコト言う。

「……これが、モンスターと契約し、ミラーワールドとこの幻想郷で戦う力を得た戦士……仮面ライダーだ……!!!」

「仮面……ライダー……!!!じゃあ……俺のこのカッコウも!?!」

自分の手をかざしながら、龍斗は今の自分の状況も仮面ライダーであることを改めて認識する。

すると、昭晴もとい、仮面ライダーガイは静にうなすわくけ左肩のショルダークラッシャー・メタルバイザーのバイザー部に、カードデッキから取り出したカードをセットした。

『ストライクベント』

音声が鳴った直後、仮面ライダーガイの右腕にメタルゲラスの頭を模した刺突手甲・メタルホーンが装備された。

左拳をぐっと突きだして構えると、左右にメタルネールのクロー攻撃を繰り出し続けるメタルゲラスに加勢し、走り出す。

「……っらぁああああ!!!」

気迫の籠ったメタルホーンの一撃が、ディスパイダーの脚の間接間を掻い潜り、強烈な刺突を食らわせる。

「キリギィ!!!ギチギチギチギチ……!!!」

仮面ライダーガイは、その場から離脱ジャンプし、間合いを取り直す。

ディスパイダーはメタルゲラスから仮面ライダーガイに攻撃対象を変え、鋭い足の尖端で襲いかかった。

「おぉおおお!!!」

仮面ライダーガイはその攻撃に向かい出し、メタルホーンのナックルで応戦し、繰り出される攻撃を捌き続ける。

「らぁっっ!!!ふん!!!はぁあ!!!しゃあっ……また……懐が……がら空きに……なる……ぜっっ!!!」

一瞬の攻撃の隙を突き、仮面ライダーガイは懐に突っ込む。

そしてメタルホーンの一撃をディスパイダーの顔面にドォズンッと突き刺した。

「ギ、ギ、ギ……!!!?」

仮面ライダーガイは、悶絶するディスパイダーの顔面に、更にナックル、アッパー、フックを連続で叩き込んで圧倒。

加えてメタルバイザーのホーンタックルの一撃を加える。

仮面ライダーガイはそこから間合いを一旦とり、メタルゲラスと挟み撃ちにする体制に持ち込んだ。

「ゴォオオオ!!!」

そして、ディスパイダーの腹にメタルゲラスのホーン攻撃が、ディスパイダーの顔面に仮面ライダーガイのメタルホーンの助走を加えた刺突が、挟み込むように大ダメージを与えた。

「ギギギギ~……!!!?」

「っしゃ!!!俺も加勢してやる!!!カードだな!!!」

魔理沙と文が固唾を呑んで見守る中、龍斗は戦闘の手本を見た事で、男の闘争心が掻き立てられ、同じようにカードデッキからカードを取り出して左腕のバイザーに挿入した。

『ソードベント』

すると、一振りのソードが上空より召還された。

「よっしゃ!!!いくぜ!!!」

龍斗は、ソードを振るいかざしてディスパイダーへと突撃した。

「だりゃああああああ!!!しゃああああああ!!!」


ギャイン!!!


ディスパイダーの脚へ刀身がぶつかり、火花を散らせる。

「おらおら!!!おらおらおらおらおらっ、しゃああああああ!!!」

剣撃の乱舞をディスパイダーへと見舞うが、一向に斬れる様子はない。


バキャイン!!!


「がぁあああああ!!!」

龍斗はデコピンを打つかのようなディスパイダーの攻撃の返り討ちに合い、吹っ飛ばされながら博麗神社の瓦屋根に激突して落下。

地面へと叩きつけられた。

「がぐっ……!!!くっ……そっ!!!つ、つえー!!!」

メタルゲラスと共闘しながら仮面ライダーガイは龍斗に忠告する。

「馬鹿ヤロー!!!契約モンスターがいなければな、その力は発揮できないんだよっ!!!こいつは、モンスターの力を得て初めて意味持つんだ!!!」

仮面ライダーガイとメタルゲラスに圧倒されたディスひほパイダーは、俊敏にワシャワシャ身体を動かし、その巨体をジャンプさせて離脱させた。

「ちょうどいい間合いだ……!!!」

仮面ライダーガイは境内の奥に着地したディスパイダーを確認すると、多少セットしづらいが新たに取り出したカードをメタルバイザーにセットする。

『ファイナルベント』

「ファイナルベント」の音声が鳴ると、メタルゲラスと共に仮面ライダーガイがメタルホーンを引き構えながら駆け出す。

その構えは、さながら「るろうに剣心」の斎藤一の牙突だ。

凄まじいパワーで加速ダッシュする仮面ライダーガイとメタルゲラスの双方のメタルホーンが、エネルギーを纏って光る。

向かって右側に仮面ライダーガイが移動し、メタルゲラスと並んだ。

そして、強烈かつ強大なパワーが付加された突きと頭突きが同時にディスパイダーを穿つ。

「はぁあああああああ……っっらぁああああっっ!!!」



ダガギャァアアアアアアアアア!!!!



仮面ライダーガイのファイナルベント・トラスト・ライノブレイクが、ディスパイダーを凄まじく大爆散させ、砕け散らせた。

「おぉおおお!!!斃した!!!!」

「凄っげ……てか……カッコいいー!!!」

「スクープの枠組み越えちゃった……!!!!」

仮面ライダーの龍斗、魔理沙、文も仮面ライダーの力を目撃し、驚きを隠せなかった。

直後、大爆散したディスパイダーから光るエネルギーが舞い上がる。

それをめがけ、メタルゲラスが飛び上がり、自慢のメタルハンドで鷲掴みにし、口に含んだ。

燃え盛るディスパイダーの残骸をバックに、仮面ライダーガイが歩いてくる。

正に勝利を収めた勇ましい姿だった。

その頃、幻想郷の紅魔館においても戦闘が巻き起こっていた。

紅魔館のガラスが連続で割れ砕ける。

紅魔館内の鏡という鏡が割れ、一部の鏡から霊夢と戦闘していた同類のミラーモンスター・ギガゼールが飛び出す。

二、三体が群れて、幻想郷とミラーワールド間を駆け巡っていた。

更には人型のシマウマのようなミラーモンスター・ゼブラスカルも二体飛び出した。

それらのミラーモンスターに連続で銃弾が撃ち込まれ、ダメージを及ばせる。

その銃手は、機械のようなアーマーを纏った緑の仮面ライダー《仮面ライダーゾルダ》であった。

しかも彼の片腕には気を失った紅魔館のメイド・十六夜咲夜が抱かれていた。

ミラーモンスター達に召還銃・マグナバイザーの銃弾をランダムでミラーモンスター達に浴びせ続ける仮面ライダーゾルダは、咲夜をそっと壁に寝かせ、彼女を護るように再び銃口を向ける。

ゴーグル部のサーチアイを作動させながらマグナバイザーの銃弾がミラーモンスター達を再び狙い撃った。


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