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提督はBarにいる。

作者:ごません
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EX回17 鎮守府の秋祭り~会食編④~


 肉でガッツリか。鶏モモ肉があるし、アレでいこうか。調味料の分量はモモ肉2枚分だから、枚数増えただけ倍量でね。

鶏モモ肉2枚(400~450g)に、溶き卵1/2個、醤油、みりん、酒を小さじで2杯ずつ。更に生姜の絞り汁とおろしにんにく少々。これを混ぜ合わせたらモモ肉によく揉み込んで5分位漬け込んでおく。これで下味は完成。次は鶏モモ肉を揚げた後に漬ける甘酢ダレを準備。同時進行でゆで卵も作っておく。もう何を作っているか解ったよな?そう、チキン南蛮だ。何でチキン南蛮かって?何となく、日向の顔をみてたらつい、な。(日向って地名は宮崎県だからだろうか?)甘酢ダレは超簡単、酢、みりん、醤油を大さじ3ずつ混ぜるだけ。これで甘酢ダレは完成した。お次はタルタルソースだな。今回は二種類作って好きな方をかけてもらおう。

 まずは和風タルタルソースだ。マヨネーズ大さじ5強に、白いりゴマ大さじ1、茹で卵1個、レモン汁を適量、更にここからが和風要素、キュウリの浅漬け、しば漬け、ラッキョウを各50gずつ、細かく刻んでいれる。他にも高菜とか野沢菜とか、歯応えの良い漬け物なら合うと思うぜ。これを混ぜ合わせたら和風タルタルソースの完成。

 次は酒飲み御用達、ピリ辛風味のタルタルソースだ。こちらはマヨネーズ大さじ4に、茹で卵2個、セロリ1/2本、玉ねぎ1/4個、酢小さじ2、塩と黒胡椒少々、わさびを好きなだけ(加減はしろよ?)。後は刻み海苔を混ぜ込んで完成。ちょいと味見。……うん、この鼻に抜ける感じが酒に合うんだよな、うん。

 後は揚げていく。下味を付けた鶏モモ肉に、片栗粉を少しずつまぶしていく。下味の汁気が無くなってきたらOKだ。一気に片栗粉を加えると、衣がもたっとしてしまうから注意が必要だ。

「あら、竜田揚げ?なら私が作ったのにぃ~。」

 食い付いて来たのは新米君の方の竜田、もとい龍田。そういえば竜田揚げは龍田の主計科長が編み出したって説があるんだったか。

「残念ながら竜田揚げではないよ。途中までは工程一緒だけどな。」

 そうやって会話を交わしつつ、俺はフライパンを2つ用意する。これが揚げ物全般を失敗しないようにする方法だ。つまり、二度揚げ。一方は中温(165℃)にセットし、もう一方は高温(180℃)に設定。こういう細かい温度管理はIHクッキングヒーターとかなら楽なんだがな。どうにもアレは俺にとって使い勝手が悪い。

 衣を付けた鶏モモ肉を、先ずは中温の油のフライパンに投入。ジュワワワワ……、と揚げ物独特の良い音がする。一度目の揚げは肉の芯まで火を通す事が目的だからひっくり返しながらじっくりと揚げる。目安としては、表面がうっすら狐色になって油が跳ねるパチパチという音が小さくなったら一旦揚げる。そして表面がジュウジュウ言わなくなってから、今度は高温のフライパンに入れる。インターバルを置いた理由は、余熱で鶏モモ肉に火を通す為だ。数を作る場合には、油の温度が下がりやすいから時々揚げるのをストップして油の温度を調整するようにな。二度目の揚げは衣をサクッとさせるいわば仕上げの揚げだ。衣を焦がさないように揚げたら、熱い内に甘酢ダレにサッと潜らせる。冷めてしまうと甘酢ダレを吸わないし、長時間浸けておくとチキンが固くなってしまう。だからサッと潜らせるだけで良い。

 後は千切りキャベツ、貝割れ菜、ミニトマトなんかを付け合わせにして盛り付け。タルタルソースは別の小鉢に盛ってセルフで掛けて貰おう。

「はいお待ち、『チキン南蛮』だ。タルタルソースは好きな方をかけて味わってくれ。」

 リクエストをくれた夕立は、ハフハフ言いながらがっついてくれている。そうか、そんなに美味いか。他の連中も満足げに食べている。どうやら、満足してもらえたようだ。



 さて、そろそろお開きだろうな。外の屋台村も大分片付いたようだし、新米君達もそろそろ休まないと本来の目的地に辿り着けないだろうし、な。……その言葉が本当なら。

「さて、今日はそろそろ店仕舞いとするか。…新米君達も部屋を用意したからそっちでゆっくりと休んでくれ。風呂は自由に使ってもらって構わんからな。」

「何から何まで…、ありがとうございます。」

 そう言って新米君は、軍帽をとって深々と頭を下げてきた。なんだ、礼儀正しい好青年じゃないか。

「いやいや、困った時はお互い様ってね。しかも同業だ、また何かあったら何時でも尋ねて来てくれ。」

 そう言って俺は新米君を送り出した。彼に続くようにご馳走さまでした、おやすみなさい、と口々に挨拶をして店を出ていく艦娘達。なんとも礼儀正しい。日頃の教育が見て窺える。それを追うようにして飛び出していった青葉が、廊下で伸びていたがまぁ大丈夫だろう。 
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