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クリスマスは大歓迎

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第六章

「それで今から」
「帰られますか」
「そうします、いや準備して守っていたかいがあって」
 それでというのだ。
「何とか売上の目標を達成出来ました」
「それは何よりですね」
 宮地も笑顔で応えた。
「本当に」
「そうですね、やっぱり目標が達成されますと」
「何よりです」
 宮地に笑顔で応えた。
「本当に」
「そうです、じゃあ」
「それじゃあですね」
「今から家に帰ります、あと」
「あと?」
「ケーキは忘れないです」
 それはというのだ。
「実はお昼に買ってました」
「あっ、そうだったんですか」
「それで冷蔵庫の中に入れてたんです」
 休憩室のそこにだ。
「それも忘れないで」
「持って帰りますか」
「そうします、いや今日は本当に大変でした」
 大家はほっとした顔でだ、宮地にこうも言った。今彼は店の事務所にいてそこのゴミを集めに来た宮地と話をしているのだ。
「毎年クリスマスはこうですね」
「やっぱりケーキを売らないといけないから」
「はい、そうです」
 まさにそれでというのだ。
「戦場ですよ」
「そんな感じですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「何かと大変です」
「そうですか」
「ですが今年も何とかいけました」
 売上が達成されたことに喜んで話していた。
「よかったです」
「そうですか、それじゃあ」
「家に帰って、あとワインも買って」
 そちらも忘れずにというのだ。
「家に帰ります」
「そうされますか」
「一人で乾杯です、ですが何かです」
「何か?」
「クリスマスがないと」
 疲れは感じている、しかし目標を達成出来て満足している充足感の中でだ、大家は宮地にこうも言った。
「困りますね」
「売上の問題で」
「はい、それで」
 だからだというのだ。
「ないと困ります」
「そうですか」
「はい、本当に」
「よくクリスマスいらないって人がいますけれどね」
「それは違いますよ」
 スーパーの店員としてだ、大家は言った。
「本当に」
「商売が困りますか」
「バレンタインもですよ」
 もてない男が忌み嫌うもう一つのイベントもというのだ。
「チョコレート売らないといけないですから」
「だから」
「あって有り難いですよ、まあ理想は」
 こうもだ、大家は言った。
「家に帰ったら奥さんもいる」
「それがですね」
「理想です」
「そうですか、それじゃあ」
「そっちも頑張ります」
「そうされますか」
「これからは」
 こうしたことを言ってだ、そのうえでだった。
 大家は休憩室の冷蔵庫からだ、ケーキを取ってそうしてタイムカードの勤務終了のボタンを押してそれからだった。
 カードのスイッチを押して店の中に出て夕食の鶏肉のローストやワインも買って家に帰った。そのうえで今は一人のクリスマスを祝った。家に帰っても一人だったがそれでも満足してだ。鶏肉もワインも楽しんだのだった。彼にとっては最高のクリスマスだった。
 そして次の日朝からだ、大家は出勤してだった。徳武に会って言った。
「今日も宜しくね」
「はい、お願いします」
 笑顔で話してだ、そして二十五日も働くのだった。昨日の満足感を胸に。


クリスマスは大変   完


                      2016・11・26 
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