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提督はBarにいる。

作者:ごません
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参った!と唸らせる魚。

 さて、お次は鯵に取りかかろう。大きい鯵は鱗とゼイゴを包丁で丁寧に落とし、頭を切り落としたら腹を開いて膓を取り出したら、三枚に卸す。何匹かは三枚卸しにせずに、鱗とゼイゴ、ヒレとエラを落とすに留めておく。

 三枚卸しにした方も、たたく分とそのまま使う分とに分ける。まずはたたく方から二品作っていこう。

 鯵の身を叩く。包丁二刀流でなるだけ素早く、細かくしていく。細かくなってきたら一度全体をかき混ぜるように練り、身の大きさにばらつきが出ないように更に叩く。鯵の叩きが出来たら半分に分け、片方にはみじん切りにした長ネギと大葉に茗荷、おろし生姜、味噌とごま油を加えて更に叩きながら混ぜる。

「ま、鯵と言ったらコレは外せんわな、『なめろう』だ。」

「ん~、やっぱ生の鯵ならコレが定番だよねー。」

「まぁな。皿を嘗めるまで食べたくなる、その気持ちも解らんでもない。」

 美味い美味い、と伊勢と日向はなめろうと日本酒を交互に流し込んでいく。しかし、空母と戦艦はホントに良く食うわ。さて、残った半分の叩きも仕上げるとしましょう。

 こっちに加えるのはひきわり納豆。小粒でも良いが、更に細かくするからひきわりの方が時間短縮になる。納豆を加えたら更に叩き、納豆が細かくなって粘り気が出てきたら小口切りにした万能ネギを加えて更に混ぜる。皿に盛って中央を凹ませ、そこに卵黄を落としたら完成だ。

「意外な組合せ、『アジ納豆』だ。醤油をかけて召し上がれ。」 

「さ、流石にコレは……」

「く、くさそう……。」

 食指の伸びない江風と海風。美味いのになぁ、コレ。

「いらないんなら、俺が一口っと。」

黄身を崩して醤油を垂らし、かき混ぜたらパクリ。うん、アジの旨味と納豆の旨味を、卵がまろやかに包んでくれる。最高だね。

「か~、美味いなぁやっぱ。」

 俺もぐい飲みに月の輪を注いで煽る。米が原料の日本酒だから、余計に合うんだよなぁ、この組み合せ。あ、海苔で巻いて食っても美味いぞ。韓国海苔でも焼き海苔でも味海苔でも、好きな奴で巻いて食べると良い。

 俺が美味そうに食べているのに釣られたか、ようやく箸を付ける江風と海風。

「う、美味いっ‼」

「ホント、ビックリする位合いますね!」

 どうだ江風。少しは見直したか?

「ま、まぁこの位じゃまだまだ……」

 ぬぅ、強情な奴め。ならば今度は生じゃなくて火を通していくぜ。



 三枚卸しにした鯵の皮目に、大葉をくっ付けて天ぷらの衣を付ける。後はコレを揚げればアジの天ぷらの完成なんだが、揚げている間に上にかけるタレを作る。

 ベースは醤油。そこにみじん切りにした生姜とニンニク、それに鷹の爪を加える。鷹の爪は刻んでも良いし、種を取り除いてそのまま入れてもOKだ。香り付けに柚子を絞ったらタレの完成。醤油の代わりにポン酢を使えば柚子の絞り汁は要らないぞ。

 カリッと揚がったアジの天ぷらの上に、さっき作ったタレをかけたら出来上がり。

「お待ち。『アジの天ぷら~薬味ソース掛け~』だ。」

「♪~、アジの揚げ物と言えばフライが多いですけど、天ぷらも美味しいんですねぇ♪」

「まぁ、割りと簡単だから料理上手な春雨ならすぐ覚えられるさ。」

「ふぇっ‼?」

 ビックリしたせいで気管に入ってしまったのか、盛大にむせる春雨。

「時雨や夕立からも聞いてるぞ?麻婆春雨が絶品らしいじゃないか。今度俺にも作ってくれよ。」

「は、はい……。喜んで……」

むせかえったのがそんなに恥ずかしかったのか、帽子で顔を隠してしまう春雨。

『ねぇ日向、提督って結構なタラシだよね?』

『あぁ、しかも無意識にやってるから相当質が悪い。』

「あん?何か言ったか?」

「「いや、なんにも?」」

 変な奴等だな、全く。 
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