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IS 輝き続ける光

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嫌な出来事

IS学園入学から4日目。特に大きな事件は起こらずに平和な時が流れ続けていた。ある意味世界の中心ともいえるこのIS学園で問題が起きると言うのは大問題以外の何物でも無いが。相変わらず廊下から自分を見つめてくる女子を無視しつつ休み時間になれば咲夜と共に窓際で薬を吸うだけ。初日に比べれば空気はまともだがそれでもいい気分にはなれなかった。

「お二人とも一緒に昼食は如何でしょうか、本日新しいメニューが出るという話です」
「そうね御一緒させて貰うわ、いいわよね閃輝君?」
「ノーと言う理由などないですしね」
「では」
「わ、私もその一緒でいいか?」
「構わんよ」

強いて言うなればチェシャ猫であるセシリアとはかなり中が言い友人関係が築けていると言う点だろうか。妖怪という彼女は幻想郷から来た自分達が完全に信用出来る生徒と言える、あの八雲 紫が係っている以上下手事をすれば彼女の方が被害を被るのだから。加えて篠ノ之 箒ともそれなりに仲良くしている。

当初は係わり合いにならないつもりだったが咲夜に箒との会話のない用を話した結果流石にそれはいけないと怒られて謝った結果、それなりに交友を持つようになった。

そしてメールでの誘いを断って以来、千冬は露骨に閃輝を見るようになっていた。何処か噛み付くようなこちらを見張るような視線を送ってくるようになっていたが当の本人は意に返していなかった、今の閃輝にとって千冬は興味がない存在。従って相手にする意味ないのである。

「これより少し先に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決める。クラス代表者は対抗戦だけで無く、生徒会の会議や委員会などの出席などで……まあ学級委員と考えて貰っても良い。自薦他薦は問わない、誰か居ないか」

6時間目に突入すると千冬がこのクラスの代表を決めるといった、所謂学級委員を決めるという事でやりたい奴かやらせたい奴がいたら手を上げろといっている。まあ希有な存在である閃輝がいるこのクラスでそんな事を言ったら

「私は霧雨君を推薦します!!」「私もです!!」
「大人気ね」
「唯乗っかってるだけですよ」

当然と言わんばかりに閃輝を押す声が多数続出した。彼が一体どれぐらい強いのか、世界で唯一ISを動かせる男というのが非常に興味をそそる所なのだろうが本人からしたら迷惑に尽きる。

「はい、私セシリア・オルコットは自推致しますわ」
「自推含め、候補者は霧雨とオルコットか。他にいるか?」

黒板に候補者名を書き込んで念入りに他に誰かいないかと問う、誰も手を上げる様子もない。このままなら純粋に二人から選出する事になるのだがそんな時閃輝が手を上げて言った、

「セシリア・オルコットを推薦します」

と。これにはクラスの女子たちは驚いたような顔をしていた、何でそんな事をするのかと言いたげに。

「俺なんかより代表候補のセシリアが出た方が勝率は高いだろう。故に彼女を推薦します」
「あらあらそう言われては照れますわ、しかし私としては専属操縦士である閃輝さんの腕前も見て見たいですわね」
「なら後日申し込みをしておく、その時見せてやる」
「ならいいですわ♪先生私やりますわ」

なんだかこのままでは話がつかないから代表を決める戦いでもするのかと思って期待したのにあっさりと引き下がって代表に意欲を示すセシリアに女子達はげんなりした、なんでそこはもっと引っ張ったり彼を推薦しないのかと。決まっている、そこまでして早く見たい訳はないし頼まれていないからである。

「本当に良いのかオルコット」
「ええ、だって閃輝さんを推薦するのなんて彼が珍しいからって推薦してるだけの人達か男が女に敗北する所が見たいだけな方たちでしょう。そのような方々の思惑通りに乗るなんて癪ですので♪」

笑顔のまま言い放った言葉はクラス中の女子たちの心を抉って行った。どれも図星を突いているしその通りだった。少なからず居る女尊男卑思想の持ち主達の思い通りに行くなんて彼女からしたら友人を利用されるに等しい、胡散臭いと称される事もあるが友人を利用されるのはだいっ嫌いなのがセシリア・オルコットなのである。

「……いいだろう、このクラスの代表はオルコットに決定だ」
「後文句が居るなら私に直接どうぞ、真正面から叩きのめして差し上げますわ♪代表候補生に喧嘩を売る意味を理解しているのならどうぞご自由に」

笑顔を振りまきながら煽っているように言い放つ彼女の物言いに苦い笑いを浮かべてよくやるよという表情を向ける閃輝と咲夜。代表候補生に喧嘩を売る意味、それは単純に力や知識の差があると言うだけではなく代表候補生と言う立場。

将来の国の看板を担う事になるかもしれない候補生、それに喧嘩を売るとはその国に喧嘩を売るとも取れる。喧嘩を売った相手が彼女を貶めるような事を言った場合、最悪国の間に緊張が走ってとんでもない事になる。しかもセシリアはそれを前もって警告している、それを無視したら……どうなるのか解っているよな?それでも喧嘩したいなら来いよと言っているともいえる。

「セシリア、お前とんでもないこと言ったな」
「貴方結構腹黒いわね」
「お前、悪魔か?」
「あら皆さん酷いですわ、こんな清廉潔白な淑女に向けて腹ぐらいなんておよよよ……」

授業終了後にこの後一緒の部屋でお茶会をしようと誘いを平然とかけてくるセシリア、思わずその場の閃輝、咲夜、箒(三人)から一斉に突っ込みを受けた。何処かショックを受けたように顔を背けながらハンカチで目元を押さえる振りをする淑女(偽)。矢張りこいつはあの八雲 紫と同類だと再認識する二人と悪魔だと思う箒であった。

「嘘泣き乙。もっと上手くやりなさい」
「あら。これでも交渉上手な貴族仲間にも通じた手ですわよ?」
「やったのか!?お前何をやってるんだ……?」
「使える手は何でも使う物ですよ、勿体無い。適材適所と言う奴です」
「合って、いるのか……?この場合」
「俺に聞くな篠ノ之」

廊下を歩きつつ先程の嘘泣きに付いて話す、幻想郷にはもっと上手く泣く連中が多い。八雲 紫がその筆頭だろう。幻想郷でも一番の胡散臭さを持ち合わせている妖怪、そんな者の演技と比べればセシリアのはまだまだ学芸会レベルの物。

「霧雨、話がある」
「………」

部屋へと歩き続けている一同を止めた千冬、目的は閃輝一人。メールであるのならば逃げるの容易いが目の前で言われるのを逃げるのはきつい。こちらが用があると言っても教師と生徒と言う関係上教師の方が優先されてしまう。

「何でしょうか」
「ここでは話せん、応接室まで来い」
「解りました、先に行っててくれ」

素直に従う事にする、アイコンタクトで咲夜に心配しないでくれと送ると最初(はな)から心配してないから安心してと帰って来ると笑いが込み上げてくる、それを抑えつつ千冬の後に続いて応接室へと向かって行く。厳かで豪華な内装の応接室へと入った二人、千冬は軽くお茶を出して座るように閃輝に催促するがそれは無視される。

「用件は何ですか、先約が入っていた所を曲げてきてるんです。茶なんか良いので用件を」
「っ……お前の専用機についてだ」

キツく冷たい物言いに気押されかけるが直ぐに気を取り直して内容を話す、それは閃輝の専用機についてだった。世界初の男性IS操縦者と言うことで日本が直々にそれを用意するという話だったが閃輝はそれを鼻で笑った。

「専用機?既に俺は持っていますよ」
「なにっ!?」

指に嵌められている専用機、親友であるにとりと兄である闇夜の二人が拵えたPE。それが既に自分の相棒といえる存在になっている。

「俺がどういった立場にあるのか既にお忘れですか、俺は"ファンタジスタ"専属操縦士ですよ」
「な、ならば直ぐにそちらの物を返却し代わりに……」
「話になりませんね。会社の皆さんが作ってくれた者を返却し何所の馬の骨とも知れない奴が作ったのを今更使えと?馬鹿ですか貴方は。それにそれを認可するかは私の上司です、失礼します」

言いたい事を言いきったのかそのまま身を翻して扉へと向かおうとした身体が急に止まった。肩に感じる圧迫感、千冬に肩を掴まれている。

「なんですか。まだ何か」
「如何して……如何してなんだ!?何故そんな私を見てくれないんだ一夏!?」

泣き出しそうな声と表情の千冬、彼女からしたら死んだと思っていた家族が生きていてこうして会えたのに他人のように振舞って自分を無視している。それが辛くてしょうがない、だが本人は何も抱いていない。閃輝にとって千冬は唯のクラスの担任、それ以上でもそれ以下でもない。一夏と呼ぶ千冬に何を言っているんだと言いたげな顔をして口を開く。

「だから何を言っているんですか貴方は。私は霧雨 閃輝、一夏と言うのは貴方の弟か何かですか?ならば他人の空似です」
「そんな事があるはずがない!!お前は、お前は私の家族の一夏だ!!」
「私に、貴方のような姉はいませんよ。私にいるのは霧雨 闇夜という素晴らしい兄と霧雨 魔理沙という素敵な姉だけです」

今度こそ失礼しますと肩を掴む千冬を振り切って応接室から出て行く閃輝はお茶会の会場となっている筈の自分と咲夜の部屋へと足を進めた。あの教師の所為で嫌な気分でなってしまった、美味しいお茶で気分を直そうと言うのか向かう足取りは早かった。


「そいつらが、私の一夏、を変えたのか……?霧雨、闇夜、魔理沙ぁ……!!!」 
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