天本博士の怪奇な生活
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41部分:第四十話
第四十話
第四十話 カード
その残る二匹は。何とどちらもドラゴンであった。
「何で最後がこんなんなんだ」
小田切君はまたしても溜息を吐き出す。
「よりによってドラゴンなんて」
「ではこれまでのガゼル軍団や虎や鳳凰はどうなのだ?」
「何かさっきから思ってたんですけれどどっかで聞いたモンスターですね」
「気にするな」
「左様ですか」
納得できないが無理矢理納得することにした。今そのドラゴン達が目の前にいるからどうしてもそうせざるを得なかったからである。命の危機なのだ。
「さて、と」
博士は唸り声をあげるドラゴン達を前に身構えた。
「それでは早速契約するとするか」
「どうするんですか?」
「うむ、それでな」
ここで小田切君に顔を向けてきた。
「小田切君」
「はい」
嫌な予感がしたがその声に応えた。
「変身してくれ」
「あの、変身って」
いきなり何を言われたのか理解不能になった。
「何を仰ってるんですか、博士」
「だから変身じゃ。よいか」
博士は話しをはじめた。
「契約したのじゃ」
「ですね」
「そのモンスターの力を使ってな。変身できる」
「で、どんなふうになるんですか?」
「例えばじゃ」
ここでライオンと蛇と蝙蝠と山羊のカードを出してきた。
「この四つを使えばキマイラになれる」
「キマイラにですか」
ギリシア神話に出て来る恐ろしいモンスターである。ライオンと山羊の頭に蛇の尻尾、そして蝙蝠の翼を持ち火を吹く。物凄い強さである。
「他にも鷲とライオンで」
「グリフォンですね」
「そういったものに変身出来る。さあやってみよ」
「私がですか」
「他に誰がいるのじゃ?」
博士は質問に質問で返してきた。
「ここにいるのはわしと君だけじゃぞ」
「あのですね、博士」
小田切君は呆れた声で言い返す。
「今ここで変身しても」
「変身せんならせんでいいぞ」
博士は突き放して言ってきた。
「ただしじゃ」
そしてまた言う。
「変身せんかったらドラゴンの餌じゃぞ」
「餌じゃぞって」
「ちとテストで戦ってくれ。期待している」
「テストでって。ドラゴン相手にですか」
「大丈夫じゃ。カード次第では勝てる」
「次第ってちょっと博士!」
「ガオオオオオオオオオン!」
話している間にもドラゴン達がやって来る。小田切君は止むを得なく戦いに入るのであった。
第四十話 完
2006・12・4
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