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役職?召喚魔術師ですがなにか?

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原作開始?

「どうして俺はここにいる…」

どうも皆様昨日ぶり。
私、今の現状に理解が追い付いておりません。

「どしたの?何か見つけた?」

そう聞いてくるのは昨日俺のキャンプに突撃してきやがった三人のウチの一人、ティオナ。
そうです。私、ロキファミリアのやつらと一緒に地上へと向かっているのです。
なんでも、「帰るなら一緒に行こうよ」とのことで、「一人で行くからいい」と言ったのにも関わらず、腕を引かれて連れ出された感じでございます。

「君にはベートやアイズが世話になっているからね。コレくらいはしないと」
とは団長であるフィンの言葉。
有り難迷惑って知ってる?

「団長、お飲み物は如何でしょうか?」
「あ、ありがとうティオネ。頂くよ」
「はい!」

ティオネもティオネで、昨日の聖戦士との談義を忠実に記憶し、行動に移している。
曰く、良妻とは、夫の一歩斜め後ろに立つ者である。と言う格言があるらしい。
お前それ何処の情報だ。

「君、ホントに何もしてないんだよね?」
「違うっつーの」

急に激変したティオネの原因に俺を疑っているフィン。
強ち間違いじゃないが、実際に俺じゃないのでしらばっくれる。
そう言えばベート君が見えないが別行動だろうか?

「ベートは後ろの方で下級冒険者達の警護をしてるよ。
ホント、すごく変わったよね」

まぁ、変わるときはガラッと変わるから。ティオネみたいに。

「ファミリア内の下級冒険者からは結構人気もあるんだよ」

成る程、頼れる先輩ってやつだな。

「全員構え!」
「あれは、ミノタウロスの群れ!?」

急に騒がしくなり、その原因の方を向けば、牛の格好をした…と言うよりも、正しく牛人間が群れをなして身構えていた。

「そう言えばミノタウロスを見たのは初めてだな」
「いってる場合か!レベル2以下は下がれ!後退しつ物資を警護しろ!」
「ベート!それ団長の台詞で…でしょう!」
「良いんだティオネ!戦えるもの全員で一気に殲滅する!」

迅速な指示により、レベル2以下は後退。
前へと出たのはレベル3以上の冒険者だ。

「って何で君も下がるの!?」
「いや、俺レベル2だし」
「あんたは例外だろうが!」

いそいそと後ろへ行こうとしたらベートとティオナに止められた。解せぬ。

「はいはい。召喚、クイーンズ・ナイト」

お馴染みのように魔方陣から現れ、一回り周囲を眼で確認して状況を把握したのか、盾から剣を抜刀した。

「標的はミノタウロス。確かめてはいないが、海馬印のミノよりは弱い。落ち着いて戦え」
「了解。アイズ、行きますよ!」
「んっ」

この3年間。正確には2年とすこしだが、ほぼ毎日のように修行してきたクイーンズ・ナイトとアイズは、師弟の絆が出来ている。
初めてとも言える共闘に、アイズの返事には歓喜の色が伺えた。

「クイン、飛んで!」
「はい!」
「リル・ラファーガ!」

アイズの風による魔法がミノタウロスを纏めるように薙ぎ倒し。

「アイズ、伏せなさい!」
「んっ!」
「はぁっ!」

クイーンズ・ナイトによる闘気の一閃がミノタウロス達を両断していった。

「二人とも、すごーい!」
「ええ。素晴らしい連携ね!」

その動きは、長年ロキファミリアに属しつつ、コンビとして働いてきたヒリュテ姉妹も認めるほどの物であった。

「ヴオォ……ヴォオオオオオッ!」

突如、一体のミノタウロスが泣いたかと思うとーーー!

「あ、逃げた」

残っていた数匹のミノタウロスは一目散に走り去った。

「不味い!」

…上層に向かって。

「タケル!あれを止められるか!?」
「へっ!?あぁ、えーっとあああもぉーーー!罠、六亡星の呪縛×3!それから…えっと…」

思い出せ!呪縛呪縛…足留め…!

「魔法、粘着テープの家ぇ!」

瞬間、上層へ続く階段の手前で、人が3人程入れるかぐらいの家が出現し、ミノタウロスを飲み込んだ。
しかし目測通り、3体を飲み込んだところで消滅してしまい、再びミノタウロスは階段を駆け上がっていく。

「あのままでは他のファミリアが襲われる!」
「闘えるものは急いで追いかけろ!サポーター達はペースをあげて追いかけてこい!」

こうしてロキファミリアは逃げ出したミノタウロスを追いかけていくのだった。

「ちっ!」

遅れて走り出した俺も、上層に向かって駆け出した。











「ほあああああああ!?!?」

どうして、と言う疑問が尽きない。
僕、ベル・クラネルが今いるのはダンジョンの五階層。
そんな場所に、本来出るはずのないミノタウロスが現れ、こうして追いかけられているのだ。

「何でっ、ミノタウロスがここにぃ!?」

走り出してからどれ程たっただろうか?
一昨日から姿を見せなくなったタケルさんを心配しつつ、こうして稼ぎに来たのが間違いだったのか。
それとも僕がオラリオにきた夢目標の出会いを求めたのが間違っていたのか。

「いぃ!?行き止まり!」
「ヴゥウゥ…」

手間取らせやがって。
そう言うように唸りながら近づいてくるミノタウロスは、完全に道を塞いでいた。

こんなところで終わってしまうのか。
ダンジョンの恐ろしさを真に理解したベルは、追い詰められた兎のように震えるしかなかった。そしてーーー

「誰か…助けーーー」

"ガキィンッ"

降り下ろされたミノタウロスの腕は、一瞬で現れた一人の女性の持つ美しい盾に止められた。

「……え?」
「もう、大丈夫ですよ。怪我はありませんか?」

美しかった。
凛とした中にある貴族のような雰囲気。
何よりも安心させるように向けられた微笑みが、ベルの身体を硬直させた。
そしてベルは思う。

お爺ちゃん。出会いはここにあったんだ…。

先程までの緊迫した危機を忘れ、そんなことを考えたベルは…

"ブシャァァッ!"

鮮血を浴びると言う天誅を受けた。
……助けてくれた女性と一緒に。

「あ…」

ミノタウロスを細切れにした、してしまった少女は、真っ赤になった女性をみて、短い声をあげた。

「…アイズ」
「は、はい……」
「次の修行の時は覚えておきなさい…」

もう、何がなんだか解らなくなったベルだった。






「何とかなったか」
その後、ミノタウロスを討伐し終えたロキファミリアの面々は、ファミリアのホームへと戻っていた。
勿論の事、俺も一緒にいる訳だが、安堵できるような状態ではなかった。

「ギルドへの説明は任せてくれ。
タケル、手伝ってくれてありがとう」

そう言ったのはフィンだった。
しかし、気を落としたタケルには、あまり効果のない言葉だった。

「ああ。俺も戻るよ」

消え入りそうな言葉を残し、俺もまたソーマファミリアのホームへと戻っていった。
 
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