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魔法少女リリカルなのは innocent ~海鳴に住む鬼~

作者:88打
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鬼、知れ渡る

~明星高校 中庭~

「……と言う訳です……はい……」

「そうですか……はぁ」

中庭のベンチで正座している俺と向き合うように立っている賢斗はため息をついた

「あのですね?先輩の行為は確かに正しいかもしれません。ですが、変に悪目立ちして今後の活動に支障が出ないとも限りません」

「はい……全くもってその通りです……」

「今後このような事があれば、下手に首を突っ込まないで運営にいち早く連絡すること……いいですか?」

「はい……」

もうどっちが後輩かわかんねぇなこれ……

「悪目立ちならもうしてるよ~」

「「え?」」

静は先程の掲示板のページを見せた。掲示板には次々とコメントが書かれている


~~~~~~~~~~

・正義の鬼、爆誕w

・鬼退治(鬼が退治されるとは言ってない)

・鬼(が)退治(する)

・つか、5対1で勝つとかあり得ねぇww砲撃殴って潰してるしww

・↑内四人はN+だから(震え声)

・↑砲撃使ったのRランクの人だったんですがそれは……

・↑ライトニングタイプは別に近接メインだし、よゆーよゆー(白目)

・見た目正義の味方と言うか、魔王みたいだけどなww

・↑おいバカやめろ退治されるぞ

以下このようなコメントが続いている
~~~~~~~~~~

「マジかよ……」

「仮面付けてて素顔が見えなかったのは幸いだね~」

「素顔までばれたらますます活動に支障が出るよ」

最近は少しの情報でも、割れれば何でも分かる時代だ……恐ろしい……

「とりあえず、今週末まで様子見ですかねですかね……」

「そうだな……」

今週末までに騒ぎが収まるか、とりあえず様子見にすることにした





~赤子庵~

学校から帰宅し、店の手伝いを終えた俺は自分の部屋に行こうとした

「幹太~ちょっといい~?」

すると、お袋に呼び止められた

「どしたの?」

「さっきのお婆ちゃん。バッグを忘れてったみたいなの~悪いけど届けてきてくれる?」

店のテーブルに小さな手下げバッグが置いてあった

「わかった、商店街の手前の家だよな?」

「そうそう、お願いね……あ!そうだ、冷蔵庫もう空なのよね~」

それほど遠い場所ではないので歩いて行くことにした。お袋に頼まれて帰りに商店街で買い物をすることになった……






~海鳴市 商店街~

お婆ちゃんにバッグを無事届け終えた俺は現在、商店街で買い物をしている

「……たっくお袋め……わざと忘れてたんじゃねぇよな……」

買い終えた俺の両手には食材がパンパンに詰まったビニール袋があった

「にしても……少し疲れたな……そうだ!」

俺は近くのベンチに腰をおろし、持っていた紙袋を開ける。実はお袋にお使いのお礼として渡されたのだが、中身を見てないので何なのか分からなかった

「………………」

中身はたい焼きだった……家の店の焼き印が入っている

「……まぁ、腹減ってたし……いいけどよ……」

俺は袋の中にある三つのたい焼きの一つを取った

「んじゃ………いっただきまー…………」

何やら視線を感じる……辺りを見渡すが周りの人は皆買い物に夢中で店の方を向いている

「気のせいか……あれ?」

さっきまで持っていたはずのたい焼きがない……

「おっかしーなぁ……ん?」

隣に置いてあった紙袋が何やら動いている……少し不気味だが、手を突っ込んで確かめてみよう……

「んだこれ?……柔らかい……つか……生暖かい」

俺は袋の中の物を取り出してみる

「お前…………」

「……………………」

中にはたい焼きをくわえた猫……ではなく、グランツ研究所にいるチヴィット……その内の一匹がいた。赤紫色の服に茶色い髪、猫の耳と尻尾がある

「コイツ……あの三匹中じゃ物静かな方だけど……何考えてんのか解らねぇんだよなぁ……」

そもそもコイツらって研究所の外に出るんだな……

「………………」

何やら訴えるような視線を俺に向けてくる

「……何だよ」

コイツの目線は紙袋の方に向いていた

「まだ食うのか……」

もう二つ食ったろうに……

「まぁ、そんなに家のたい焼き気に入ってくれたんなら……店の人間としては嬉しいけどな……ほらよ」

最後の一つを差し出す

「!!」

たい焼きをくわえて一目散に去ってしまった

「これで、次の配達の時は大人しくしてくれると有難いんだけど…………そういや……」

俺は先週配達に行ったときのグランツさんの言葉を思い出した

「実は……最近新しいチヴィットが増えてね、もしかしたら会う事もあるかもしれないからよろしくね」

……三匹で手一杯だったのに、さらに増えるのか……

「……いかん、少し寒気が……早く帰るか」






~ 自室 ~

たい焼きを奪われた俺は空腹の最中自室の机でひたすらある作業に没頭していた

「……………………よし!完成!」

俺の手には毛糸で出来たゴマフアザラシがいた。あずきに頼まれてた物がやっと完成した

「幹太~ご飯だよ~」

調度いい所にあずきがやってきた

「あずき、前に言ってたやつ出来たぞ」

「え!ホント!」

あずきに編みぐるみを手渡す

「わぁー!かわいいー!」

大変気に入ったご様子だ……

「ありがとう!幹太!」

「おう……それよりも、早く飯行くぞ……腹減った」

「はーい!」

後に店に来た子供たちにより追加注文が殺到することを、この時の俺はまだ知らない





~明星高校 中庭~

俺は今、チームの皆と中庭で昼飯を食べている。ちなみに俺は弁当を毎日自作してくる。お袋は店の準備があるので、昼飯は俺が作る

「あ!幹ちゃん先輩のおかず美味しそう!もーらい!」

「あ、こら!」

静が俺の豚のしょうが焼きを横からかすめ取る

「ん~おいひ~」

「……そんなに美味しの?」

「「…………」」

静のリアクションに他の三人も興味をもったようだ……

「はぁ……少しだけだぞ?」

「あ……ありがとうございます。じゃあ、しょうが焼きを……」

「すみません…卵焼き…頂きます」

「すまんのぉ先輩……ポテトサラダを少し……」

三人が各々俺の弁当のおかずを取っていく

「本当だ……このしょうが焼き美味しい……」

「焼く前に、少し湯がくのがポイントだ。冷めても脂っこく無くなる」

肉の厚さも厚すぎづ薄すぎづがベストだ

「この卵焼き……ふわふわしていてとても甘いですね……」

「塩と砂糖の他にマヨネーズを入れてみた」

そうすると、冷めてもふわふわになる

「このポテトサラダもウマイのぉ」

「マヨネーズを入れる前に、お酢を入れると味が引き締まるんだよ」

それと、よく間違える人がいるけど。じゃがいもはお湯に入れて火を通すのではなく、水に入れてから一緒に火を通す。潰してから水気をよく切り他の野菜も薄切りにして水気を十分にとる

「流石、料理科の生徒は違いますな~……卵焼きもらい!」

「させるか!」

これ以上取られたらたまったもんじゃない

「でも、本当に料理上手いですよね……幹太先輩」

「まぁ……一応、実技試験で俺……主席だったし……」

「「「「え!!」」」」

「……なんだよその顔は」

この学校では中等部から高等部に移る際、選択した科目に関連する試験が行われる。別にそれで進学出来ない訳ではないが成績のいい生徒には学費が免除される

「それはそうと……お前らは何の学科に入るんだ?」

コイツらももう三年生なので、そのくらいは考えているだろう

「僕は……えっと……デザイン科に……」

「デザイン科か……」

少し以外だ……

「賢ちゃん、絵上手なんですよ~」

「へぇ~」

今度見せて貰おう

「私はスポーツ科に……元々、この学校にはアーチェリーの特待生として入ったので」

「お前特待生だったの!」

選んだ学科よりそこに驚いた

「ワシは機械科じゃ……家が鉄工所での……」

「あぁ……家業のためにか……」

俺と似たようなもんだな……

「私は音楽科ー!」

うん、知ってた……むしろそれ以外だったら驚きだわ……

「つーか……早く飯食わねぇと昼休み終わっちま…………って、あーー!」

俺の弁当箱から綺麗におかずだけが無くなっていた

「大変美味しゅうございました……」

「静……てめぇ……」

「てへぺろ☆」

「てへぺろじゃねぇー!」






~海鳴市 商店街~

「あぁーくっそ、腹へった……」

学校も終わり、帰宅途中の俺は空腹に苛まれていた

「静の奴……ついでにとか言って飯まで食いやがった……」

途中どこかで買い食いでもするかな……

「あっ……しまった、財布……家じゃん……」

仕方ない、真っ直ぐ帰るとしよう……

「ん?」

何かに服の裾を引っ張られている

「お前……」

「…………」

そこには昨日会ったチヴィットがいた

「悪いけど……今日はたい焼き持ってないんだよ……また次の配達の時に……」

「………………」

するとソイツは手に持っている紙を俺に渡してすぐに去ってしまった

「なんだったんだ?」

俺は渡された紙を見る

「コロッケ一個……無料券」

商店街で使える物だ

「猫の……恩返し……?」

取り合えず、交換しにいこう

「ムグムグ…………うめぇ」

空腹は最大の調味料だな……

「そういえば……俺、アイツらの名前……ちゃんと知らないな……」





~明星高校 職員室~

俺は今、職員室に呼び出しをくらった。勘違いをしないでほしい、何も問題を起こしたから呼び出された訳ではない。椅子に座っている担任の話を聞く

「幹太……お前確か、今度のイベントの実行委員だよな?」

「はい」

イベントとは、俺の在籍している料理科が年に何度か行うもので、近所の子供達と餅つきしたり、他校の生徒と協力してボランティアをしたりする。頻度は違えど、この手のイベントは他の科でも行っている。とくに、音楽科や料理科は他の科に比べて特筆してイベントが多い

「次のイベントって確か……」

「夏を乗りきれ、皆でカレー作り……だったな。夏野菜を使ったカレーを地域の皆様に食べて貰うイベントだ」

「そんな名前でしたっけ?」

「まぁ……名前については突っ込むな……それでだな、今度のイベント場所についてなんだが……」

明星高校は海鳴市の端にある高校なのでイベント事で人が集まるのには向かない。また在校生は多いものの、各々が色々な学科に入っているため、学科によっては人手が足りない……現に料理科は23人クラスが二つしかなく、大抵の場合は他校の生徒に協力して貰うことが多い

「今回はエルトリア・G・Hに協力して貰うことになった」

「え!?女子校……ですか?」

「この時期だと、どこも夏の大会だとかで忙しそうだ……幸いあそこは部活ではなく学業を重んじる学校だからな……敷地も広いし、問題ないだろう」

「いやいやいやいや……」

問題大有りだよ……

「いいだろ?女子の前でかっこいい所見せて来いよ。お前は料理科1年の代表なんだからな、しっかり頼むぞ」

「はぁ……」

大丈夫だろうか……

「それでだな、今からソコに行って学校の人と打ち合わせに行ってくれないか」

「え!?今からですか!?」

「悪いな……先生これから職員会議だし、2年は道具と材料の準備があるし、3年は受験があるからな……」

「大丈夫ですかね……」

「一応、細かい所はこの資料に書いてある。参考にしてくれ」

と言って、1㎝厚の紙束を渡された

「解りました……」

「あぁそれと、うちの学校って分かるように……今回は制服に着替えてくれ」

「あ……じゃあ一回家に戻ります。親にも言っとかないといけないので……」

「よろしく頼むぞ」

俺は急ぎ家まで戻った 
 

 
後書き
~赤子庵 メニュー紹介~

・たい焼き:パリパリの薄皮の中には具が頭の先から尻尾の先までぎっしりと詰まっている中身は(小倉・豆乳小倉・ゴマ)の三種類。季節によって種類が増える


~(前回やり忘れてた)オリジナルスキルカード紹介~

・黒破流星:鎖で捕縛した相手を巨大化した鉄球で押し潰すスキル。味方を巻き込まないように注意しよう

・破砕拳:砲撃で使うレベルの大量の魔力を拳に集中させて相手を殴るスキル。使った後、反動で少しの間動けなくなる

・鬼人化:常時魔力を消費する代わりにプレーヤーのステータスを全て上昇させるスキル。使用中はプレーヤーは周りに紅いオーラを纏っている。また、このスキルの上位版が存在する 
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