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ラブストーリーは突然に

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第四章

「何とか入ったけれど」
「単位まずいの多いんだ」
「講義がわからなくて」
「文学部だよね」 
 瑠璃子さんはだ。
「そうだよね」
「ええ、そうよ」
「それで何学科かな」
「国文学科よ」
 そちらだというのだ。
「それでも近現代史志望よ」
「夏目漱石とか森鴎外よか」
「そういうのよ」
「そんなに難しいんだ」
「何かね」
「ええと、僕は法学部だからよくわからないけれど」
 それでもとだ、瑠璃子さんに話した。
「わからないのならね」
「それならよね」
「誰か、やっぱり教授の誰かにね」
「聞くのがいいのね」
「そうだよ、わからないことを聞くのもね」 
 それもとだ、僕は瑠璃子さんに話した。
「学問だし、あとネットも使って」
「インターネットね」
「部屋にあるよね」
「お部屋にあってつないでもらってるけれど」
 不安な返事だった、聞いたその瞬間に。
「使えないの」
「えっ、そうなの」
「どうして使うの?」
「ええと、お店にもネットがあるから」
 お店の奥にだ、お店のホームページを作っていてそこで更新しているのだ。店長さんや正社員の人が更新している。
「ちょっと借りて話すよ」
「教えてくれるのね」
「だって今時ネットが使えないと」
 僕は内心本当に大学生でまだネットが使えない、使ったことがないのかと驚きながらそのうえで瑠璃子さんに話した。
「何も出来ないからね」
「そうなの」
「文学もね」
 このことは多分、と思いながら話した。
「ネットで調べるとわかりやすいから」
「そうだったのね」
「じゃあ時間がある時にね」
「ネットのこと教えてくれるのね」
「店長さんに断ってね」
 そのうえでとだ、瑠璃子さんに話して店長さんにも許しを得てだった。お店のネットを使って瑠璃子さんに説明したりもした。
 お店のことにはセンスがあって運動神経もいい、けれどだった。
 学業やそうしたことはかなりあれでだ、その辺りは僕もフォローして。
 そうしているうちにだ、僕は瑠璃子さんのお部屋に入る様にもなっていた。そこから仲はさらに進んでだった。 
 付き合う様になっていた、それでだった。
 僕は瑠璃子さんにだ、閉店後一緒に帰りながら言った。もう真夜中だ。
「まさかね」
「まさかって?」
「いや、僕達付き合ってるけれど」
 それでもと言った。
「こうなるなんてね」
「思わなかったのね」
「瑠璃ちゃんに会って」
 彼女を仇名で呼んだ。
「まさか付き合うなんてね」
「それ言ったら私もよ」
 瑠璃子さんも言ってきた。
「福井から出て来てよ」
「それでだよね」
「そう、まさかね」
「バスケのサークルで会って」
「そう、それでね」
 しかもだ。 
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