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レインボークラウン

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第三百七十四話

              第三百七十四話  打ち砕かれた日常
 平穏な舞鶴にだ、突如としてだった。
 まずは航空自衛隊のレーダーでだ、異常が確認された。
「神戸方面から巨大な飛行物体の反応です!」
「神戸!?またあの博士か!」
「おそらく!」 
 もう予想されていた。
「博士です!」
「すぐに海自さんの総監部に報告しろ!」
「了解!」
 こうしてだった、すぐに。
 総監部に情報が伝えられた、それで即座にだった。
 海上自衛隊舞鶴基地は総員戦闘配置に着いた、防火隊も整列する。どの艦艇も海に出て攻撃体制を整えた。
 その舞鶴の海にだ、博士は要塞に乗って悠然として出て来て言った。
「はっはっは、もう迎撃態勢は出来ておるか」
「博士だ!」
「博士の兵器だぞ!」
「照準合わせ!」
「撃て!」
 その博士が動かす要塞にだ、舞鶴にいる全艦艇からの攻撃が行われた。だがその攻撃を受けてもだった。
 要塞はびくともしない、ある護衛艦の艦長は空に浮かぶ要塞を艦橋で見て歯噛みした。
「くっ、相変わらずだな」
「強いですね」
「これだけの攻撃を受けてもな」
 それでもとだ、副長に言うのだった。
「びくともしないな」
「無駄に凄いもの造ってますね」
「本当に相変わらずな」
「どうしますか、艦長」
「どうするもこうするもない」
「それでは」
「再び攻撃を行う」 
 こう言って再びだった、攻撃を行うが。
 博士の要塞は微動だにしない、そしてだった。
 博士は要塞の操縦室からだ、自衛隊の人達に言った。
「見事、だがそれではわしを倒せんぞ」
「倒すまで攻撃だ!」
「市街地への攻撃を許すな!」
「一般市民の方々には避難をしてもらえ!」
「我々が踏み止まって時間を稼ぐんだ!」
 その間に逃げてもらいたいというのだ、その言葉を聞いてだ。42
 博士はまた笑ってだ、こう言った。
「その心意気やよし、では帰ろう」
「何だ?帰る?」
「気まぐれか?いつもの」
「はっはっは、君達との戦いは止めてじゃ」
 そしてと言ってだった、博士は要塞を日本の北西部にある例の独裁国家に向けてそのうえで言った。
「またあの国に遊びに行くか」
「あれっ、またか」
「またそうするのか」
「気が向いたら再び来させてもらう」
 何でもないといった口調で言ってだった、博士は悠然と舞鶴を後にした。戦いが終わったとまだ信じられない自衛隊の人達を置いて。


第三百七十四話   完


                     2016・9・2 
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