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~異世界BETA大戦~ Muv-Luv Alternative Cross Over Aubird Force

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侵攻

 
前書き
不定期更新ですが、なるべく早くに投稿していく予定です。
今回からBETA対エレミア星系諸国軍の話になります。 

 
エレミア歴1033年6月7日‐恒星標準時16時35分 
オルキス領 惑星レーニア航宙管制ステーションOS-6

10φcm程にしか見えない惑星レーニアをバックに、この宙域を管制する航宙ステーションが遊弋している。
このステーションは、通常航行で往来する船や亜空間ゲートを使用する船の管制を行う、いわば灯台のような役目を持った施設である。
ここエレミア星系には全部で36の亜空間ゲートがあり、そのうちのひとつをこのレーニア星宙域にあるOS-6で管理している。

オペレーションルームでは、航路管理局の管制官が詰めており管理業務をおこなっていた。
――――――突如亜空間ゲートから物体が発現するアラートが鳴り、俄かに慌ただしくなる。

「ん?この時間にゲート通過の申請なんか出ていたか?」責任者が部下に尋ねる。
「いいえ、明日の0430(4時30分)標準時に第347警備戦隊が通過するまでは、先ほどのラファリエスの商船群で本日は最後のはずです」端末ですばやく記録を呼び出し、確認結果を報告した。

3Dレーダーモニターの亜空間ゲートを示す位置に有質量物質の発現を表す灰色の光点が点滅している。
だが、それはやがて赤い点滅に変わり不適切な物体の発現もしくは質量超過‐巨大な物体を示す緊急警報が発令される。
「!!モニターを見て下さい!この大きさ、隕石か小惑星のようなものでしょうか?」
上官がモニターを見ると、そこには普段通行している船や船団の大きさを遥かに超える大きさのひとつの光点がゲートから出ようとしていた。

「―――ッ!なんて馬鹿でかいものをゲートに通しやがったんだ!!」
「エレミア戦役で使われたデトロワのボルザック級超大戦艦かラファリエスのヴァルダーナ級要塞艦ぐらいですかね?」オペレーターの一人が、5年前の戦争で使用された巨大戦艦を想像して言った。だが良く見ると優にその数倍はある。「いや、そんなものじゃ効かない・・・・半径2000m以上はあるぞ」

その間にも別のオペレーターが端末を操作して軌道を解析していた。
「対象、ゲートアウトしました!質量1Eg(10の15乗)!?速度4.3キューブ、徐々に加速しています、進路は・・・・・・!このままですとレーニアの軌道に乗ってしまいます!!」
「これはまずいな、・・・・・・速やかに交通省と国防省へ報告しろ!」


エレミア歴1033年6月7日‐恒星標準時17時25分 
オルキス大統領府 大統領執務室‐

オルキス大統領 エルディン・ホールはいらだった表情を隠そうとせず、軍司令部からの3Dビジョンで、軍参謀部のレダーク准将より突如起こった想定外の状況報告を受けていた。

「うむ、それで現在もその小惑星らしきものはレーニアへ向かって来ているのかね?」
「はい、このまま推移しますとレーニアの重力圏まで8時間ほどで到達します。その後は30分程で地表へ巨大な隕石となって落下する事になるでしょう。」

「地表へ落下した場合に想定される被害の規模はどれくらいかね?」大統領は不安げな表情を隠さずに尋ねた。
「おそらく、ラーダリム大陸ぐらいの規模(地球で言うオーストラリア大陸とほぼ同等)が消失するでしょう。そしてもっと深刻なのは、その余波でレーニアは急速に温室効果が進み、過酷な環境へと激変すると予想される事です。」

「最早選択の余地はないな・・・。准将、速やかに小惑星の破壊、もしくは進路の変更対処を命ず。」
「はっ!大統領閣下。しかしながら小惑星の大きさを鑑みますに、通常兵器での破壊は難しいでしょう。ただし我が軍のIPBM(惑星間弾道ミサイル)はオルキス本星にしか配備されておらず、今からの発射ですと間に合いませんので、一番近距離にいる艦隊に迎撃命令を出します。
そしてその艦隊に配備されているAD兵器(アサルトドローン‐大威力で効果範囲の広い大型ミサイル兵器)使用を以て対処する事となります。」

「うむ、致し方あるまい。頼むぞ、准将。」
「はっ!それでは準備がありますので、これで失礼を致します。」

3Dビジョンの通信が終わると、大統領は窓の外‐空を見上げた。
もちろん肉眼で見える事はないが、大気圏のはるかその先の宇宙にあるという災厄をもたらす物体を想像し、何とも言えない不安感を感じていた。

その頃オルキス統合宇宙軍 機動第1艦隊は現在惑星レーニア軌道まで通常航行であと2時間という場所を進んでいた。
当初レーニアへ寄る予定はなかったのだが、先日回収した未確認物体と生物のサンプルをレーニアにある連邦総合研究センターへ預けることになったのである。

旗艦オルフェーリアの艦橋は、機能的なデザインを施された室内を後方の高所から見渡せる場所にある艦長席にユウナが着席し各担当オペレーターと頻りにやりとりを行っている。
俺の席はユウナ席の左。
そして、その後ろ一段上には司令官席がありディー中将が着席、その後方には主席幕僚将校が佇立していた。

そうこうしていると通信スタッフが報告に訪れて、ユウナへ記録クリスタルを渡す。
ユウナは一瞥すると「司令!国防省作戦本部より至急電が入っています!」とディーへ報告した。
「うむ、つないでくれ給え。」
ユウナが切り替え操作を行うとディーのデスクに3Dビジョンで1人の人物が映し出される。

「ディー中将閣下、総参謀本部のレダーク准将であります!」レダークは敬礼しながら名乗った。
「ご苦労様、レダーク准将。緊急という事だが?」
「はっ、さきほど恒星標準時16時35分にレーニアのゲートから直径2000m以上もある巨大な隕石のような物体がゲートアウトし、レーニアの軌道へ向かっています。」
「巨大な隕石・・・・?」艦橋にいた数人がつぶやく。

「このまま進行しますとレーニアへ落下します。かなり甚大な被害となるでしょう。」
「なるほど、本星からIPBMで破壊するとしてもこの距離ではゲートを使っても間に合わない・・・か。」
「はい、ですので一番至近距離にある閣下の機動第一艦隊へ迎撃命令が出ています。」
「そうか、了解した。本艦隊はこれより巨大な隕石物体の迎撃に向かう!」ディーは経緯について確認するとすぐに命令を発した。
続いて送られてくる隕石物体のデータを各スタッフがそれぞれのセクションに応じて情報精査を始める。
俺の端末にも詳報が送られてきたので、ざっと確認しよう。

「ところでレダーク准将、通常であれば総司令からの伝達のはずだが、ドレクソン元帥はお忙しいのかね?」ディーは通常とは違う手続き進行にやや疑問を感じ、レダークに確認した。
「ディー中将、状況説明を怠っており、真に申し訳ございません。実はこの通信の少しまえに他の惑星政府からも次々と巨大隕石接近の報告が多数寄せられまして、各国軍首脳部と情報交換を行っている次第でございます。」レダークは申し訳なさそうにディーへ状況報告をした。

「他の宙域にも出現したのかね?全部でいくつくらいなのかな?」
「このレーニア宙域のものを含めると35です。」
うーん、ゲートとほぼ同数・・・・・ってことはゲートのむこうに発信地があるという事だな。
いったい誰がこんな巨大な隕石を飛ばして来る?それでメリットがあるのは?むむむ・・・・。
だが聞く限り、すべての有人惑星に向けてるわけじゃないけど、今のところこんな事をしてメリットがありそうな国も無いしな。
しかも単なる偶然にしては、まずありえない確率なんだけどなー。

そんな事を考えているうちにディーとレダークの会話が終わる。
「うむ、よくわかった。准将、ありがとう!」
「はっ!それでは失礼します。」ディーの謝意にレダークは敬礼で応えながら通信を切った。

・・・・・あれ?!この巨大な隕石物体、どっかで見たことあるな?と思ったらこのあいだ回収したBETAの着陸ユニットの復元図ソックリだよ!・・・・・・・・あー、そういう事か!
「司令!意見具申、よろしいでしょうか?」これは是が非でもつぶさないと!
「カミナガ少佐、続けたまえ。」
「はっ!ありがとうございます。先日我々が探査および捕獲した小惑星状の未確認物体ですが、今回の巨大な隕石物体と関連があるのではないかと愚考いたします。」
「それはどういう事かね?」ディーは(自分でも思うけど、予備知識がなけりゃ一見突飛とも思える俺の意見に)訝しげに尋ねた。

「はっ、実は捕獲した小惑星状の未確認物体は破壊された跡が多くあり、元々の形は全く別の形状であったと推察されます。」ダイスケはモニターに先日捕獲した未確認物体の修復予想図を示した。
「うむ、確かに破壊の原因とみられる放射性物質の反応も出ていたな。」ディーは少し前に未確認物体は原子核爆発で破壊されたのではないかとする艦隊分析班の報告書を読んでいたみたいだ。

「ご覧のとおり、未確認小惑星の修復予想図と巨大な未確認隕石物体の形状はかなり酷似しています。さらに未確認隕石物体の構成物をサンプルとして回収・照合出来ればはっきりするかと思います。」

「そうだな・・・よし、先行して調査班を送ってサンプル回収を行う!情報部主任と直衛部隊は同行し、解析の補助と護衛につきたまえ。」
「はっ!了解!」

俺はすぐにタケルちゃんに出撃命令を伝え、ブリーフィングルームへ急ぐ。
今回は俺の隷下にある直衛部隊12機全機で出撃する。
 
 

 
後書き
BETAの着陸ユニットが大量に湧いてきました!
エレミア星系大混乱です。 
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