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おたく☆まっしぐら 2016年の秋葉原

作者:本郷明
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タイムトラベラー 宮園 萩音

 
前書き
お許しくださいクロ○ェット様! 姉いる設定にしてみたりw

ついに本郷君の状況を知るものが現れる! 

 
家でアニメを観ている本郷、胡坐をかくその上にユーフェミアがちょこんと座っている。
アニメは少し古い作品であった。本郷は気分によっては一日中アニメを観ている。
SNSが普及しているこの世の中で、彼は自分のことを発信しない。
それに費やす時間よりも一分一秒でも作品を見つめていく。
ユーフェミア「明ぁ……喉渇いた」
明「自分で飲め、奨学生」
本郷はむげもなく視線すら合わせず拒否、
ユーフェミア「それ長い!」
明「確かに銀英伝は162話もあるからな」
一日で観られないと思われるだろうが、漢となると時間を跳躍していく。
ユーフェミア「ううっ……いつ終わるん?」
明「ほぼエンドレスだな」
再放送されて結局最後まで追えず、また初めからはよくあることだ。
ユーフェミア「終わらないやんか! 終わらないやんか!」
明「だから……」
本郷が辟易し始めたとき、ドアをノックされる。
静まり返る室内、本郷は少し妙だと思った。
明「警察なら……すでに名乗ってる」
この町の秋葉原警察はG○Aよろしく、犯罪の目あれば銃もって突入してくるほど仕事熱心なところ。
名乗らない上にドアを開けてこないことは妙であった。
ユーフェミア「アタシ、なにもしてないやん」
面倒そうに枕を抱きしめる彼女に、本郷も頷くしかない。
明「そうだな……」
本郷は扉の前に立つ。ドアスコープごしに相手を見ると、そこにはスーツ姿の女性がいた。
オープン
???「あっ……」
今時珍しい綺麗な黒髪の流れる姿に驚嘆しながら、本郷はいぶかしげまじまじと見つめる。
明「……なにか?」
???「あのその……探していました!」
物語の冒頭のようなことを言い出す彼女に本郷の心は少し躍る。
明「……宗教は信じてないんだ」
???「す、すいませんんっ! そういうつもりはなくて……あの、わたし」
女はすかさず名刺を取り出す。そこには宮園 萩音という名前が書かれていた。
明「それじゃあ、なんの用だ?」
萩音「えっと……その秋葉原どころか、この世界が終わっちゃおうとしているということを伝えに。あなたの元いた世界のように」
本郷は目を閉じた。
ようやく話が分かる人間がやってきたのだ。

明「それで」
客人によく冷えたペットボトルのコーラを渡す。うるさくするユーフェミアにも同じくコーラを渡す。
萩音「すいません。ありがとうございます」
明「端的に聞こう。どこまで知ってる?」
萩音「わたしの知ってることでよければですが、スイマセン」
明「わかった。聞こう」
萩音「それなのですが……そちらのお方は」
ユーフェミア「?」
明「吸血鬼だそうだ」
本郷はそのままの意味でいったのだが、萩音の反応は意外なものとなっていた。
萩音「そうですね。この時代であればいてもおかしくはないですね」
ユーフェミア「それはどういう意味や?」
萩音「全世界に千人程度いたことは人類の統合データに保管されております、すいません」
明「おい、この世界では現実的なこと以外はありえないんじゃないのか?」
萩音「血を吸う習慣のある吸血症という言葉が出来て、あるウイルスが原因ということが判明し、数十年後にワクチンができます」
ユーフェミア「それじゃ……アタシの存在って……」
萩音「ある意味、稀有な難病という感じでしょうか。すいません」
少しどんよりとした様子で彼女はコーラを飲み始める。相当落ち込んでいるようだ。
明「未来から来たというがいつ頃から来たんだ?」
萩音「2085年の夏からですね。妹はほんの少し昔の世界に行きましたが」
どうやら妹がいるようだが、そんな雰囲気は感じない。
明「で、どうやったら俺の居た世界がなくなったって分かるんだ?」
萩音「観てもらったほうが早いですね。映像展開。個別 本郷明」
薄暗いワンルームの一室。
瞬時にして半透明のフィルムでも張られたかのように映像が流される。
そこには秋葉原で数多くの経験が映像として現される。確かに本郷の姿であった。
萩音「2006年の9月29日。これが変動要因となりました」
明「それはなぜだ?」
一呼吸おく。その時間は少し長く感じられた。
萩音「こちらでのあなたはゲームの中の存在だからです」
飲み干したコーラを置き、宮園は本郷の目をじっとみた。
明「俺がゲームの中の住人ということか?」
萩音「はい。ただ、何らかの要因でこちらに飛ばされてきたということは確認できたのですが、その原因は分からないのです」
明「じゃあ、俺はどうしたらいいんだ?」
萩音「このままこの世界で過ごしていてください。わたしたちもまったく分からないので。すいません」
明「結構アバウトだな?!」
萩音「ただ、どちらにせよ。あなたの存在が私達の世界を大きく変える力を持っていると私の組織の上のお方たちが判断しているので」
明「……そうか」
萩音「この辺りで暮らしていますので、またご連絡いただければ。はい」
本郷のスマホが振るえ、彼女のアドレスが表示される。
萩音「この時代の原始的なプログラムとネットワークであればコレくらいはたやすいのです。すいません」
にこりと笑うと彼女は部屋から出て行った。
明「なんというか話し口調から察することができないほど優秀なやつなのかもしれないな……」
本郷はコーラを飲み干す。
落ち込んだユーフェミアは胡坐をかく明に抱きついてくる。股間に彼女の吐息がかかるが、彼は漢だ。
いけない気持ちにはならない。
ユーフェミア「……明、アタシは特別じゃないのかな」
明「今は吸血鬼だろ。堂々としていろ。ただの中二病ではないんだから」
本郷は彼女の髪を撫で続ける。
現実問題、彼のいるこの世界も問題が溢れているのだ。 
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