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朝の騒動

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第三章

「あの鳥みたいな名前の」
「由利香ちゃんはあんな人と付き合ったら駄目よ」
「お金持ちでも東大出ても」
「人はお金や学歴じゃないのよ」
「人間性ってことね」
「そうしたことで付き合う人を選ぶとね」
 それこそというのだ。
「後が大変よ」
「後悔するのね」
「そう、だからね」
「ああした人とはなのね」
「付き合ったら駄目よ」
「わかったわ、とにかくね」
「落語ね」
「それをセットしたらどう?」
 朝の目覚ましにというのだ。
「そうしたら?」
「そうね、いけるかもね」
 母も娘の話を聴いて言った、考える顔になって。
「それも」
「名案でしょ」
「正直お水でもぶっかけてやろうかともね」
「思ってたのね」
「ひょうきん族みたいにね」
 古い番組を話に出した。
「それか駅員さんの当直の時の」
「背中から盛り上がる?」
「あれをセットしようかともね」
「思い詰めてたのね」
「結構ね」
 実際にというのだ。
「考えていたのよ」
「それもいいわね、けれどね」
「落語ね」
「それでいってみたら?好きなものを起きる時に聞いたら」
 それでというのだ。
「起きるかも知れないから」
「ええ、やってみるわ」
 母もこう答えた。
「それじゃあね」
「じゃあまずはね」
「早速やってみるわね」
「思いたったらなのね」
「というかもう朝は忙しいのよ」
 だからだというのだ。
「馬鹿息子を起こすのにかける時間が勿体無いわ」
「お兄ちゃん成績はいいけれどね」
「馬鹿息子よ」
 朝起きないからだというのだ。
「はっきり言って」
「じゃあ私から見れば馬鹿兄貴なのね」
「そうなるわね」
「朝起きないとそうなるのね」
「手間がかかるとよ」
 それでそうなるというのだ。
「馬鹿息子よ」
「じゃあ私お兄ちゃんより成績悪いし悪戯ばかりするから」
「馬鹿娘よ」
 由利香はそちらになるというのだ。
「あんたはね」
「私はそうなるのね」
「ええ、しかし本当に剣は」
 母は彼に話題を戻した。
「起きないわね、お父さんも起きないけれど」
「お兄ちゃんお父さんよりずっと起きないからね」
「遺伝が悪く進化したのよ」
 父親のそれがというのだ。
「それもかなりね」
「それでそのお兄ちゃんを起こす為によ」
「これからはなのね」
「そうしましょう」
「目覚ましは落語ね」
「何でもまずやってみることじゃない」
 こうも言った由利香だった。
「考えるよりも動く」
「あんたいつもそう言うわね」
「だってやってみないとどうなるかわからないし」
 それにとだ、由利香は自分の母にさらに話した。 
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