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平成ライダーの世界

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第二十章

 先に名前を出した矢車ですが彼はある意味において組織の残酷さとそれから切り捨てられた人間はどうしていかないといけないのかを描いたキャラではないでしょうか。そうした意味で影山もまた同じです。
 彼等はどちらもザビーになっています。しかしザビーに見放されそのうえでゼクトを追われています。影山に至っては恩人であり先輩である矢車を追い落としておりこの時の影山は組織の中で卑屈に生きる存在でありました。
 ゼクトという組織は非常に冷淡な組織です。田所のような人もいますがそれを統括する三島の人間性が非常に影響しているのか人を平気で切り捨てるところがありました。パーフェクトハーモニーとは結局組織の歯車となることだったのでしょう。矢車はそれを理想としていましたが彼はゼクトがどういった組織であるのか知りませんでした。その結果ザビーから見放されるとあえなく姿を消すことになりました。
 その矢車の後でザビーになりゼクトの実働部隊の指揮官となった影山にしても結局自分のことしか考えず挙句に天道に攻撃され三島に切り捨てられました。そこで仮面ライダーキックホッパーとなっていた矢車に拾われ仮面ライダーパンチホッパーとなりました。
 おそらく二人はそれぞれホッパーになる運命だったのでしょう。ホッパーはどうやらカブトの暴走を止める役割もあったようです。それはどうも完全に書かれていなかったようなので設定として充分に生きていたのかどうかは疑問です。ですが二人がホッパーになるべき者達であり本質的にザビーとは縁がなかったのではないでしょうか。
 平成ライダーにおいてもそれぞれの人物がなるべきライダーがいます。例えばファイズですと乾はファイズであり草加はカイザ、三原はデルタです。これは運命的に決まっている因果だと思います。キバにおいても同じでイクサは名護啓介がなるべきものです。
 そうした運命的に決まっていることとしてこの二人はホッパーになるべきでありましたしなりました。二人がライダーとして歩みはじめたのはホッパーになってからではないでしょうか。
 そしてです。二人はここで義兄弟となり絆ができました。終盤においてこの二人の絆はかなり強いものであることを知らせる描写が多々ありました。その最期でもです。
 おそらく影山は生き返ったのでしょう。生きて今もスサノオと戦っていることは間違いありません。そうした意味で草加や神代と同じです。ライダーはスサノオと永遠に戦い続ける運命であり死ぬことが許されないからです。こう書くとジョーカーの様ですが若しかするとジョーカーは仮面ライダーの裏返しなのかも知れません。死ぬことのない永遠に戦い続ける存在、しかも存在としてイレギュラーなのですから。影山は最期自分がネイティブになったことを嘆いていましたがそこでライダーになっています。これは人間として、ライダーとして死にたいという彼の意思表示に他なりません。人間もライダーも心によってなるものですから。彼もまた一度目の死のその時にこのことがわかったのでしょうか。
 矢車と影山は今も二人で戦っている筈です。スサノオはあくまで強大であの手この手で多くのライダー達を相手にしています。しかし彼等はもう道を、光を見出しています。もう闇の中にはいないのです。彼等は自分達の光を見つけています。それは絆ではないでしょうか。
 今度は風間のことを述べさせて頂きたいと思います。彼はメイクアップアーチストであり描写は井上氏好みの非常に癖のあるキャラクターです。はっきりと言えばキザです。
 ですがそのキザの中に味を入れるのが平成ライダーです。従って彼も非常に味のあるキャラクターになりました。
 まず彼は女性に非常にもてます。その外見と職業から当然そうなるものでした。しかしそのことにはあまり喜んでいるふしはありませんでした。それよりも常に傍にいる少女ゴンと共にいることを大事に思うようになっていきました。
 ゴンは当初孤児かと思われましたがやがて家族と再会しその元に戻ります。風間はこの時に別れを受け入れました。これでこの話は終わるかと思われました。
 しかし後で彼はそのゴンと再び行動を共にすることになりました。この時に彼はそのゴンと手を握り合いそのうえで仮面ライダードレイクに変身しています。カブトの世界でも仮面ライダーとは即ち絆を持っている者、彼もまたそうした意味で仮面ライダーであるのです。
 彼は後に間宮玲奈と巡り合います。彼女もまたワームでした。しかしそのワームである彼女を心から、真剣に愛するようになります。
 この時に彼はその時ひよりとのことを心に一人抱き葛藤している天道に対して己の辛い胸の中を告げます。惚れた女がワームだった、その苦しみがわかるかと。それに対して天道は彼に顔を向けてはいませんがわかる、と答えました。初期の天道ならこうは答えなかったでしょう。ですが彼はこう答え風間のその辛い心を受けられました。
 彼はその心を天道に話しそのうえで彼女と対します。彼女は自分を殺してくれと言います。しかし風間はできない、どうしてもです。しかし結果として殺さざるを得ませんでした。その後で彼女の亡骸を抱え愛していたことを告げるシーンは井上敏樹の真骨頂でしょう。非常に印象的なシーンでした。
 彼もまたワームもまた人間である、その心が人間ならば人間であることを知りました。非常に辛い経験でしたがこれは彼が真の意味で仮面ライダーになるという為には避けられないことだったかも知れません。実際に彼はヒーローショー等で真のライダーになっています。そこでもう一度彼女との闘いがありましたが。悲しい話ですが彼もまたそれを乗り越えたのです。
 今度は映画版の三人について私見を述べさせてもらいます。
 仮面ライダーへラクスこと織田秀成、仮面ライダーケタロスこと大和鉄騎、そして仮面ライダーコーカサスこと黒崎一誠です。この三人もまた絆に関わる者達だったと思います。
 まずは織田はゼクトを抜けネオゼクトを旗揚げしています。それに対して大和はゼクトにこだわり黒崎はゼクトにその全てを捧げています。彼等はそれぞれ己の理想に従っていますがそこにはです。確かな絆が見受けられます。 
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