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赤翔玄-剣を握りし果てに-

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第0話 英雄の気質-この手に剣を強く握り締めて-

 
前書き
 前作、Lion Heartは上手く更新出来る様な状態ではなく、やはり、虎牢関辺りで、未来を見据える蜀の北郷軍の動向を上手く書けなくて、もう、途中で更新を諦めました。
 今作は何とか、不定期更新にしろ最後まで粘って書きたいですね(願望)
 今作の見所?と言いますか、読み所は安っぽい人間ドラマですかね。もしかして、読まれる方によっては気分を害する文章かもしれませんが、まぁ、それはすいませんとしか、私からは言えませんので先に言います、どうもすいません。
  

 
 ――この手に"剣"を握り締めたのは、一体、何時の頃からだったか……すっかりと忘れてしまった。そう、気が付いたら自宅で“筆”を握る時間よりも、圧倒的に外に出て疲れ果てるまで“剣”を振り回して過ごしている時間の方が多かった。
 当時は酷いもので剣の型など知らぬ、素人丸出しの体を痛めそうな無茶苦茶な“英雄演武”。まぁ、簡単に言えば在り得ない我流の剣と言った所か…………両親からは馬鹿にされるは……近所に住む人々には馬鹿にされるは……僕は酷く寂しい少年時代を過ごしたとある面では思う。
 不思議な事に、毎日、毎日、両親に馬鹿にされ咎められても、近所に住む人々に馬鹿にされても平気だった。確かに、悔しい、見返してやりたい、反論したい、将来はこんな風になる為に、今、一生懸命努力しているんだ、邪魔しないでくれと最初は思っていた。でも、毎日、毎日、将来の何に足しになっているか分からない様な周囲には馬鹿に見える事を継続する事で、ある変化が僕の体に起こったんだ。
 僕の体の変化に気付いたのは家の近所にある大きな川に、近所に住んでいた幼馴染達と一緒に泳ぎに言った時だ。服を脱いで全裸になって泳ごうとすると、幼馴染達が傍に寄って来て体をベタベタと触るのだ。何事かと思えば幼馴染達の身体つきを見れば一目瞭然だった。幼馴染の皆の体は僕の体に比べると“ガリガリのひょろひょろ”だと、当時の僕はそう思った。僕は、毎日、毎日、伊達に剣を振り回していた訳ではなかった。剣の技術は兎も角、しっかりと僕の肉体は鍛え上げられていたのだ。
 それも見栄っ張りの僕は父の“一般的に使用される剣”を、毎日、毎日、くたくたになるまで振り回していたのだ、当たり前である。
 今、思えばよく体を壊さなかったと僕の肉体の頑丈さに驚くばかりだ。

 時が流れるに連れ、周囲の大人達が俺を見る目が変わった。
 「あの子は未だに剣を振り回しているのか、そろそろ、現実を見たらどうだ。お前の子供にしてはできが悪いぞ」と事ある事に父に偉そうに語る近所に住む小父さん。
 「私の知っている、昔のあの子はもっと賢そうな子に見えたけどね~」と家にいる母親に聞こえる様に井戸端会議する小母さん達……。
 俺の”現実”とは、一体、どういう事なんだ、小父さん? 貴女達の知っている昔の俺とは、一体、何なんだ小母さん達?
 俺は初めて、自分の置かれている状況に苦しくなって“剣”を握り締める事を止めそうになった。いや、もう”剣”を握る事が嫌になったんだ。
 自宅の自分の机の上にある“筆”を手に取って……俺は真面目に彼等の言う“現実”とやらに向き合った。
 気が狂いそうな毎日だった。今まで自分のやってきた何もかも……そう、全てを否定し、彼等の言う事に耳を傾ける事だけに集中し、彼等の言う”現実”に真正面から取り組む俺……。そんな机に向かっている姿の俺を見て泣く両親の姿を見た…………それは、一体、どういう意味で泣いているのか、と……素直に聞けない情けない程に弱い俺……。

 俺の心は間違いなく、おかしくなった。

 毎日の食事は美味しくない、眠たくもならない、それらの代わりに心の空虚さが増す毎日。
 立派な大人になる為の階段を上っている内に、確実に踏み外す、本当の〇〇……。
 もう……駄目なのか……何が駄目なんだ……自分の事を、まるで、他人事の様に感じてしまう。
 俺は”自分”の為に生きる道を踏み外し、”世間体”の為に生きる道を選んだ事に嫌でも気付かされる毎日……そう……毎日……毎日……。
 俺はあの偉そうな小父さんや、あの井戸端会議に必死な小母さん達の為に諦める様な”人生”でいいのか?
 いや……違う……俺は……俺は……俺は……。

 もう駄目だ……俺は何かの限界に達し、父の剣を片手に家を飛び出した。
 俺は、俺を取り巻く全ての負の感情を撒き散らす様に“剣”を乱暴に振り回した。
 怒り、憎しみ、悲しみ、焦り、その様々な内から湧き出る感情は、一体、何処から来ているのか分からない。
 俺は翌日の朝日が昇る、その瞬間まで“蜉蝣”の様な精神を燃やし尽くす勢いで、形振り構わず、剣を振り回した。

 ――やるじゃないか、坊主。その歳にしては頑張り過ぎだ、体壊すぞ? 後、自然は大切にしろ、折角の竹林が滅茶苦茶だぞ。竹林の間から、ちらりと見える満月――もう、それだけで美味い酒が飲めるのだからな……おい、坊主、聞いているのか?

 あの時は本当に笑った。
 あの有名な“江東の虎”が少数で在ったけど護衛の兵士を連れ、近所の竹林で暴れていた“俺”を捕縛しに来たんだから…………もう、色んな意味で心がスッキリして、ただ、笑うしか無かった。
 しかもさ、褒めてくれたんだ…………”世間体”を完全に無視した、誰から見ても”馬鹿丸出し”の大騒ぎを一人起こしておいて…………笑う以外に何があると言うのさ。でも……本当に笑うしか無かったのは疲れ果てて、そのまま、竹林で気を失った後、目覚めたら俺は“江東の虎”の私兵の一人になっていた事だ。
 もう、好きにしてくれ…………俺は“人生”とは何なのか、本当に意味が分からなくなった。
 きっと、“人生”って言葉にあまり意味なんてないと俺は思った、考えるだけ無駄だって……。
 だってさ、”世間体”を気にして生きる道を選んだ奴が、”世間体”を無視して、近所の竹林で”馬鹿丸出し”で大暴れして気を失えば……次の瞬間には、憧れの“江東の虎”の私兵になれました、だなんて間抜けも良い所だからさ。






 “江東の虎”孫文台の傍で戦う事で俺は今までにはない悩みが増えた。
 初めて人を斬り殺した時に、在り得ないぐらいに手が震えた。
 そして、「よくやった」と皆に褒められている自分…………戻さずにはいられなかった。しかし、誰も俺の姿を見て笑う人間はいなかった。
 むしろ、「その歳でよくやっている」と褒められるくらいだった。

 ――大切な者を奪われない様に“なれろ”、“敵”と決めた相手を容赦なく絶対に斬れる様になれ。

 凄く乱暴な有り難い言葉を貰った事は今でも憶えている。でも、この時の俺はその意味を上手く理解する事は出来なかった。
 しかし、俺は直ぐに理解する事になった。
 後に“許昌の乱”と呼ばれる会稽郡の"宗教反乱者"である“許昌”が句章で反乱し、自らを“陽明皇帝”を名のり、彼女の娘の“許韶”とともにあたりの県を煽動したのだ。俺達は約千人程度の武勇に優れた者を募兵し、官軍の兵と協力し反乱軍を鎮圧した。結果は悪くない、むしろ、良かったくらいだ。
 しかし、俺個人の戦の内容は最悪も良い所だった。“宗教反乱者”……名前はどうであれ、敵は敵だ。なのに、俺は目の前で逃げ腰になって怯える非戦闘員は斬る必要もないと思って見逃した結果、懐に隠していた小刀を見逃し、大切な仲間を一人、無駄死にさせてしまった。当然、戦場報告の際にその事を伝えると頬を思いっきりぶん殴られて、人間ってこんなにも殴られて転がれるんだと思えるくらい強烈な奴を貰った。
 目が覚める以上に、本当に死ぬかと思った。でも、こんなに痛い思いをしても俺が無駄死にさせた大切な仲間は帰って来ない……俺は私兵になって初めて、ただ、辛くて泣いた。

 ――お前の甘さによって、一人の命を無駄にした。この事実は未来永劫、変える事は出来ない。だが、逆に言えば、たった一人の命で済んだんだ。嫌な言い方かも知れない、人の命を軽んじる言い方かも知れない……だが、数字上で見ればそう言う事になる。深く考えるな、お前が死んでしまった大切な人間達の代わりに必死に頑張れば良い。ただ、それだけだ。

 この日、俺は“江東の虎”の偉大さを改めて知った様な気がした。俺からしたら凄く有り難い言葉だけど、きっと、彼女からしたら、ちょっとした言葉を掛けただけなんだと思う。このちょっとした言葉を掛けられる人間がそう何人もいるとは思わない、部下の気配りも“英雄”になる一つの条件なんだろうか?
 この日より、俺は無謀にも大き過ぎる“江東の虎”の背中を追い、彼女の側近である四将……程普、黄蓋、韓当、祖茂の様に、将来は“偉大な英雄を支える柱”の一柱になりたいと思った。こんな事を皆の前で言えば、また、あの時の様に皆に馬鹿にされるかも知れない。でも、今ならどんなに馬鹿にされても前に進める気がするんだ。だって、俺、今さ、やりたい事を必死にやっているから――。





 庭の東屋から遠目に見える兵士達の調練姿。
 そして、東屋にいる一人の少女が調練する一人の兵士を指差し隣にいる女性に尋ねた。

「母様、あの若い兵士が“項翔玄”?」
「あぁ、そうだ……朝っぱらから憂鬱な調練だと言うのに、あんなに嬉しそうに人の倍の訓練量を平気でこなす馬鹿は“あいつ”しかおらん。それも生真面目な祖茂の部隊との合同訓練でだ。……たまに、あいつが正気か、どうか、知りたくなる時がある」

 額に手を置き、理解に苦しむと言わんばかりに悩ましい表情を娘に見せる孫堅。それに対して孫堅の娘、長女、孫策は神妙な顔つきで母親に言った。

「項翔玄……不思議な男ね。どうして、あそこまで必死に努力するのかしら?」
「さぁな――――だが、あの男は“英雄”の階段を着実に上っているのは確かだ」
「“英雄”……」
「あぁ」
「彼の背中……誰かの背中に似ている様な気もしないわね?」
「残念ながら孫呉において“英雄”と呼ばれる者は一人しかいない。それを参考にして生きているのなら、嫌でも似て来るだろう?」
「……顔、赤いわよ」
「流石に自分で“英雄”などと口にすれば誰でも赤くなる! ではな、しっかりと冥琳と勉強に励むんだぞ、雪蓮」
「はい、母様――――項翔玄、次代の英雄の……姿か……」

 
 

 
後書き
 今作も”呉”……呉はIFを突っ込んだら面白いんですよね。
 その面では確かに蜀も面白いんだけど、私が蜀を物語の中心として描くと”とても親切な人達”と同じ様な劉備に仕上がってしまいます。あっ、このネタ分かりますかね? 裏社……ゲフンゲフンです。

 三国志って本当に不思議な物語です。魏・呉・蜀の三大国で争う物語にしては、情勢は曹操と袁紹の官渡の戦いで決していたんですから……袁紹は本当に運に見放された男だ。

 後、董卓って”酒池肉林”の大馬鹿野郎で書かれていますが、あの男も今川義元と同じく有能な人間だった見たいですね、性格は兎も角……。董卓って一人の欲望に塗れた人間としては非常に魅力的ですが、同じ時代には生まれたいとは思いませんね。
 某ゲームの三国志で武将プレイ時に家宝を強制没収して来ますし(笑)

 正史でも演技でも残念な武将はいますよね、馬超とか……。
 私の中では某ゲームの△チャージの「とぉあああぁぁぁっ!」の人の方が安定感が合って良いんですけどね、最近ではR1の武器の切り替えモーションになったのかな?まぁ、あれも三国志演義ですから、彼の活躍はゲームでは一段と光りますので、ゲームでは彼は滅茶苦茶好きですね。
 馬超の命を狙う美味しい立場の凛々しい表情をした王異も中々の面白いキャラだと思いましたね。初見で見た時に”ライトニングさん”かと思いましたが違いました(笑)
 彼女は彼女で使いやすいけど、無双が糞だとはオモッテイマセンヨ。それも彼女の個性ですから(笑) 
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