| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

信じる力

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第六章

「それでは」
「この戦いも勝つ」
 ティリーは強い声で言った、そしてだった。
 スウェーデン軍とほぼ同時に軍を動かした、こうして戦いがはじまり。
 まずは砲撃戦からだった、両軍砲撃を行うが。
 スウェーデン軍は一度ではなくだ、何度もだった。
 砲撃を行った、王の指示の下。
「いいか、敵のテルシオにだ」
「何度もですね」
「砲撃を行う」
「そうしますか」
「そうだ、そしてだ」
 王はさらに言った。
「歩兵達は射程に入ればだ」
「銃ですね」
「それで撃ちますか」
「余が言った通りにだ」
 砲撃、今行われているそれと同じくというのだ。
「射程に入ればだ」
「何度もですね」
「撃つ」
「そうしますか」
「そうだ、敵とはぶつかるな」
 即ちテルシオにはというのだ。
「撃つのだ、いいな」
「わかりました」
「それでは」
 将兵達は王の言う言葉に頷いた、そして。 
 実際に王の言う通りだった、射程に入ると。
 銃撃を行った、それは一度でなくだ。
 何度も撃った、銃兵達は交代にだった。
 立って撃ちしゃがんで撃つ、そうして何度も撃ち砲撃と同じくテルシオを撃ち寄せ付けない。最早テルシオは意味がなかった。
 これを見たパッペンハイムは騎兵隊を率いて攻撃にかかった、そして彼が得意とするカラコールで攻めるが。
 撃った列が後ろに下がり別の列が出るその時にだった。
 スウェーデン軍の騎兵隊は抜刀して突撃し切り込んだ、それでパッペンハイムが率いる騎兵隊も退けた。
 戦いは最早一方的だった、皇帝軍は総崩れとなりティリーは幕僚達に助けられる様にして戦場を離脱した。皇帝軍は多くの戦死者と捕虜それに武具を残した潰走した。
 スウェーデン軍は勝った、彼等は勝ち名乗りを挙げて口々に言った。
「これも陛下のお陰だ」
「陛下の言われる通りにしたから勝てた」
「まさに陛下あってのことだ」
「陛下の言われることは正しい」
「間違っていることはない」 
 こう言うのだった、感じたのは彼等の王への敬愛だった。
 このことを聞いてだ、リシュリューはパリで言った。
「スウェーデンは私が思っていた以上に強い」
「まさか勝つとは」
「あのティリー将軍に」
「負けると思っていましたが」
「それが」
「勝ったな、新しい戦い方も注目すべきだが」 
 こう言うのだった。
「しかしそれ以上にだ」
「スウェーデンのまとまりですね」
「王への絶対の忠誠と信頼」
「そして王の資質」
「その二つが大きいですね」
「優れた王がいてだ」
 そしてというのだ。
「民、将兵がその王の下一つになっていればな」
「強い」
「何よりもですね」
「そうだ、信じる心は大きい」
 リシュリューは確かな声で言った。
「国家にとってもな」
「ではスウェーデンはこれからもですか」
「強い」
「グスタフ=アドルフ王がある限り」
「そうだ、我々もそうしたところは学ぼう」
 フランスもと言うリシュリューだった、そうした話をしつつスウェーデンを助けていった。彼等の目的の為に。
 この時のスウェーデンはグスタフ=アドルフ王という優れた王を戴き将兵や貴族、民衆のその王への絶対の忠誠と信頼の下発展し戦争にも勝っていった。信じる心、その心がどれだけ大きいのか。この時のスウェーデンは後世の者達にも教訓を残したと言えるだろうか。彼等の姿をそのまま見せることによって。


信じる心   完


                       2016・5・18 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧