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大統領 彼の地にて 斯く戦えり

作者:騎士猫
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第二十二話 それぞれの一日

特地説明会終了後、大統領直属武装親衛隊長官 ラインハルト・ハイドリヒ大将の命令で本土各地に駐留している武装親衛隊が行動を開始した。


【武装親衛隊長官特別命令書】


一、自由党に所属する全ての人間、及びその自由党に関係する人間を可及的速やかに拘
  束せよ。又それと並行して各物証類の押収も行うこと。

二、抵抗する場合、又は逃走する素振りを見せた場合は対象者に限り発砲を許可する。
  ただし自らの命に危険が生じると判断されない場合は射殺は不可とする。

三、一定以上の功績を上げた場合、イタリカへの慰安旅行二泊三日の旅をお届けする。


一、二についてはハイドリヒが記したものであるが、この命令書を見たペルシャールが隊員達に”一層奮闘努力”してもらえるように三のご褒美を付け加えたのである。
イタリカでは、フォルマル伯爵家のメイド達が同地に駐留する兵士に法律に違反しない程度の”ご奉仕”を行っており、ペルシャールはそれを小耳に挟んでいたのである。
ちなみにこのご奉仕はメイド長であるカイネが何かの交渉の際に少しでもこちら側の立場をよくするために駐留部隊が到着した当日から始めていたものであったが、中世のように女一人で政治を変えれるほど現代の政治は甘くなく、加えて武装親衛隊の中でも特に国家への中世が熱い人物が部隊長を務めていたため、その試みはたった一日も経たないうちに挫折してしまったのである。しかしここでやめるわけにもいかないので仕方なく続けていたのだが、娯楽の少ない中で唯一の娯楽である”ご奉仕”を兵士たちはとても気に入り、たった数日でファンクラブまで出来上がっている始末なのであった。

そんな訳でその情報が兵士間で広まり、本土中のSS隊員がいつも以上に奮闘した結果一人の漏れもなく、関係者全員が武装親衛隊によって拘束されたのであった。
一部の民間人は”武装親衛隊がヒャッハ―な人たちと化して自由党のオフィスを襲っていた””武装親衛隊の戦車に自由党関係者が追いかけられていた”等とその時の惨状を詳しく述べている。
自由党は関係者を全員拘束されたことで事実上解散となり、軍を批判する主な組織は消滅した。

ちなみにこの功績でイタリカ行きが決まったのは実に800人に上った。武装親衛隊全体でみればごくわずかな数字だが、特地からすれば下手な町一つ分の人間が来る訳なので受け入れに大変苦労することになる。当然全ての責任は言いだしっぺの法則に則ってペルシャールが負うことになり、すでに1メートルを超えていた書類はさらに増えたそうな。

そんな感じでペルシャールが書類の山に埋もれている頃、テュカ、レレイ、ロゥリィの3人はそれぞれ数名の護衛とともに出かけていた。

テュカは彼女自身の希望で弓を買うために武器ショップに行った。
武器ショップの店員はテュカの細い腕を見てあまり力を使わずに射てる弓を薦めたが、テュカは自信で数種類の弓を試した結果、コンパウンドボウを選んだ。
ちなみに店員はテュカがコンパウンドボウを試射した際、あの細腕でよく弦を引けるなととても驚いたという。後にテュカ自身知ったことだが、彼女が選んだコンパウンドボウは並の男性でも弦を引くことが難しいと言われている物だったのだ。

レレイは国立図書館に来ていた。この地球の歴史、科学、文化等の本を自分で選び、机の上に山のように積み重ねて真剣な表情で読み漁った。ただ読むだけでなく、他の分野と関連付けてそのすべてを自身の知識にしていった。
その際護衛に就いていた兵士はレレイの学習能力の高さに心底感心したそうである。

ロゥリィは特地説明会でハルバートを振った際、あまりの威力に周りの議員まで吹き飛ばしてしまったことを反省して、取り回しの良い小型の格闘武器を手に入れるためにテュカ同様武器ショップに来ていた。護衛でついて来た兵士に助言を受けつつ、彼女自身も色々試した結果、リーチが長く、比較的軽くて切れ味もいい日本刀に決めた。それも2本である。何でもイタリカ攻防戦の時ペルシャールが二丁拳銃で戦ったのを見て自分も真似したくなったかららしい。
その後、演習所で教導隊の隊員達と模擬戦を行い、ハルバートを模した演習用の武器を使って教導隊36名全員を壁にめり込ませるという一方的な戦いを演じた。
これを見ていた観客の兵士たちは”ギャグ漫画みたいな光景を見れるとは思ってなかった”と苦笑いしながら話したという。

3人はそれぞれ思い思いに1日を過ごし、仮大統領館に帰ってくると、

「えっと……?」
「治療したほうが良い…?」
「止めを刺したほうが良いのかしらぁ~?」

そこには背凭れにもたれ掛って死んだ目をしたペルシャールがいた。

その後ハイドリヒ率いる武装親衛隊によってペルシャールは(強制的に)蘇生され、テュカ達に助けを乞いながら奥の部屋に連行された。


既に全員が眠りについた深夜、執務室奥の部屋からペルシャールの泣き叫ぶ声が仮大統領館に響いたと言うが、真実を知っている物は誰もいない。
一説にはハイドリヒがペルシャールに強制的に決済をさせたという話が出たが、いつの間にかそれを最初に語っていた兵士が行方不明になったため、その後は誰も触れないようにしたそうである。
 
 

 
後書き
本当はこの話で特地に帰る予定だったのですが、次話に伸びてしまいました。

感想やご指摘、評価できればお願いいたします。

あと本話の”ご奉仕”と言うのはメイド喫茶的なサービスの事であって決してアレなご奉仕では有りませんのでご心配なさらぬよう。 
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