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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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外伝~”碧の巫女”キーア・バニングスとの邂逅~

その後準備を整えたロイドはアッバスに頼んでメルカバを地上に着陸してもらい、ロイド達は地上に降り立った。



~ウルスラ間道~



ロイド達が地上に降りるとメルカバはステルス機能を発動しながら空へ舞いあがり、姿を消した。

「いったん上空に戻るのか?」

その様子を見たロイドはワジに尋ね

「ああ、地上に留まったままだと感知される危険があるからね。さてと――――」

尋ねられたワジは頷いた後一歩前に出て”星杯”が描かれたロケットを前に出し

「―――空の女神の名において聖別されし七耀ここに在り。」

詠唱をした。すると魔法陣がワジの目の前に現れ

「あ………(マーブル先生と同じ……)」

「ふむ、星杯の法術か。」

「これが七耀教会の”法術”………」

「ケビンさんやリースさんのとはまた別になりますね?」

その様子を見たロイドは呆け、ツァイトは呟き、エオリアとリタは考え込んでいた。

「大地の琥耀、空の金耀―――その融合をもって(おお)いなる”目”より逃れる小さな聖域を改めて成せ。」

そしてワジが詠唱を終えると地面から魔法陣が現れ、光を放ち続けた!

「これは………」

「力場の”隙間”を固定してくれる”法陣”さ。僕ら以外には見えないおまじないもかかっていてね。まあ、しばらくの間なら何とか持ってくれるだろう。」

「な、なるほど……しかしワジ……本当に教会の関係者なんだな。今までの言動を見てるといまいち実感がなかったけど。」

ワジの説明を聞いたロイドは頷いた後苦笑しながらワジを見つめた。

「フフ、お堅いのが趣味じゃないってのは別に変わっちゃいないからね。―――それで、どうする?やっぱりウルスラ病院あたりに行ってみるかい?」

「ああ、様子を見に行こう。」」

そしてワジの提案に頷いたその時

「ロイド……………」

女性の声が聞こえてきた。



「え………」

「あら……結構スタイルがいい人ですね。」

「ヒュウ♪ひょっとしたらあのセシルさんと並ぶんじゃない?」

声を聞いたロイドが驚いて声が聞こえた方向に振り向いたその時、そこにはイーリュンの司祭服を着たポニーテールにしている”キーアと全く同じ色”の碧色の髪を腰までなびかせ、法衣を身に纏っていながらも大きく膨らんで見えている胸の女性がロイド達を見つめ、女性の胸の部分を見たリタは目を丸くし、ワジは口笛を吹いた後興味深そうな表情をし

「~~~~~~っ~~~~」

「わわっ……!?」

ロイドを見た女性は目を伏せて唇を噛みしめた後走ってロイドに抱き付き、抱き付かれたロイドは戸惑い

「まあ……」

「アハハ!さすがはロイドだよ!もしかして過去に付き合っていたり、将来結婚の約束をしていた女性とか?」

その様子を見たエオリアは目を丸くし、ワジは笑った後口元に笑みを浮かべ

「なっ!?エリィと付き合うまでそんな仲になった女性はいないし、そんな約束もした事ないぞ!?」

ワジの言葉を聞いたロイドは驚いて声を上げ

(おおおおおおおおおおおっ!?いきなりの展開!さすがはロイドだ!)

(……………?……この娘………一体何者………?容姿や髪の色、さらにはこの娘からさらけ出されている独特の気配といい、”キーアに似すぎている”わ……!)

ギレゼルは興奮し、ルファディエルは眉を顰めた後信じられない表情で女性を見つめ

「………………………!」

「……………?」

ツァイトは目を見開き、リタは首を傾げて女性を見つめ

「服装を見た所、イーリュン教の人のようだけど……ロイド君達の知り合いかしら?」

エオリアは不思議そうな表情で女性を見つめていた。

「ごめんね……………みんなに………ロイド達に辛い想いをさせて………」

一方女性は辛そうな表情で呟き

「あ、あの!一体どなたでしょうか!?俺とは初対面ですよね……?」

ロイドは戸惑った様子で女性に尋ねた。すると女性はロイドから離れ

「あー、ロイドったらヒドいー。ずっと”キーア”の傍にいたのに、成長したら顔もわからないの?」

女性は頬を膨らませた後、”キーアがいつも浮かべていた笑顔と同じ”無邪気な笑顔を浮かべてロイドを見つめ

「え―――――………ま、まさか………!」

女性の言葉を聞いた後女性の顔をよく見たロイドは呆けた後信じられない表情をし

「あ、ありえん……!その娘は”キーア本人”だ……!」

ツァイトは驚きの表情で女性の正体を叫んだ!



「ええっ!?」

「キーアちゃんだったんですか………道理でキーアちゃんとそっくりな魂の波長を感じるわけです………」

ツァイトの言葉を聞いたエオリアは驚き、リタは信じられない表情で”キーア”の面影を残しながらも美しい容姿をしている女性―――キーアを見つめ

「おいおい……こりゃ一体どういう事だい?」

ワジは戸惑った後真剣な表情でキーアを見つめた。

「キーア!もしかしてクロスベル市から抜け出してきたのか!?」

一方ロイドは嬉しそうな表情でキーアを見つめて尋ね

「ううん。”この時代のキーア”はオルキスタワーにずっといるよ。」

尋ねられたキーアは首を横に振った後、複雑そうな表情で答え

「”この時代”………?」

キーアの言葉を聞いたロイドは不思議そうな表情をし

「それに今のキーアちゃん、大人にしか見えない上、どうしてイーリュン教の法衣……それも司祭が着ている法衣を着ているのかしら?」

エオリアはキーアの服装を見て尋ねた。

「――――まさか。君は”未来のキーア”なのかい?」

そしてある事に気付いたワジは信じられない表情でキーアに尋ね

「………うん。―――キーアは今から約10年後のキーア。今のキーアの年齢は20歳で立派な大人だよ。」

尋ねられたキーアは頷いた後優しげな微笑みを浮かべ

「………………………」

キーアの答えを聞いたロイドは口をパクパクさせ

「………信じられんがその娘―――”キーア”の言っている事は真実だ。その娘からはキーアの匂いと全く同じ匂いがするしな……」

ツァイトは驚きの表情でキーアを見つめ

「むー……匂いだなんて、失礼だよー。キーア、これでも身だしなみにも気を使って、今ではエリィ達みたいに香水も使っているし、お化粧だってしているんだよー?」

ツァイトの言葉を聞いたキーアは頬を膨らませてツァイトを睨み

「で、でもなんで未来のキーアちゃんが………それ以前にどうやって未来から過去に来たの??」

エオリアは戸惑った表情でキーアを見つめた。

「ミントの力を借りたの。」

「ミントの!?」

そしてエオリアの答えを聞いたロイドは驚き

「そういえばミントちゃん、時空を操る竜でしたね………それなら納得ですね。」

「何だと!?あの変わり者の竜の娘が時空を操るだと!?」

「”黄金の百合”が時空を操る竜………一体どういうことだい?」

リタが呟いた言葉を聞いたツァイトは驚きの表情で声を上げ、ワジは呆けた表情で呟いた後リタに尋ねた。そしてリタはロイド達に”影の国”でわかったミントの正体―――”刻”を司る竜―――”真竜”やフェミリンスが何故エステルと契約したかの経緯、さらにはエステルやフェミリンスの事情をよく知らないワジの為にエステルの正体も説明した。


「も、もう何が何だか………正直、頭がパンクして考えられない………」

「やれやれ………まさかそんなとんでもない事実を”千の護手”が黙っていたとはね。せめて僕達―――”守護騎士”達には教えて欲しかったよ………生きている存在が時空を操る事にも驚いたけど、まさかあの”ブレイサーロード”や”剣聖”が空の女神(エイドス)の血を引いている上………おとぎ話だと思っていた『赤家の冒険家の冒険日誌』が実話でその主人公と、最初の物語――――『イース篇』に出てきた女性がエイドスの両親だなんてねえ……………教会が知ったら大騒ぎするのは間違いなしだね。」

説明を聞き終えたロイドとワジは疲れた表情で溜息を吐き

「しょ、正直夢物語を聞いている気分ね………セリカさんからカシウスさんやエステルちゃんが空の女神(エイドス)の末裔だって話を聞いた時も正直、夢でも見ているのかと思ったわ………」

「まさか時空を自由自在に駆ける事ができる上、”対象者の時の流れを自由自在に操る事が出来る”存在がいるとは………」

エオリアは驚きの表情で呟き、ツァイトは信じられない表情で言った。

「けどこれならキーアちゃんに色々と聞きたい事やこれから起こる事とか聞けるんじゃないですか?何せ”未来”から来ているのですから当然、現在のキーアちゃんの状況や今後起こる出来事も知っているでしょうし。」

「!!……キーア、色々と聞きたい事がある。話してもらえないか?」

そしてリタが呟いた言葉を聞いたロイドは目を見開いた後真剣な表情でキーアを見つめて言った。

「……………………………ゴメンなさい………未来の出来事を話す事や”この時代のキーア”の状況、そして”キーア”が何を考えていたのか話す事はできないの。……キーアがこの時代に来るとき、絶対に話さないという約束をミントとしているの………”過去の人達”に未来に影響を与えるような事を話す事は禁じられている事だし……………」

ロイドの言葉を聞いたキーアは複雑そうな表情で考え込んだ後、申し訳なさそうな表情で答え

「………けど、それならどうしてわざわざ未来から来たんだい?”未来のキーア”が僕達の時代にいる時点で既に歴史の流れは大きく変わっていると思うけど。」

キーアの答えを聞いたワジは真剣な表情でキーアに尋ねた。

「………それが”歴史の流れ”だから。キーアがこの時代に来た理由の一つは歴史の流れを守る為。」

「ふむ……という事は今私達の目の前にいる”キーア”が”この時代のキーア”だった時も”未来のキーア”が現れたという事だな……」

キーアの答えを聞いたツァイトは重々しい様子を纏って呟き

「それに………キーアは”償い”をしたかったの………たくさんの人達に迷惑をかけてしまった罪の”償い”を……………」

「キーアちゃん……………」

「………………………もしかして未来のキーアがイーリュン教に入信しているのも、その”償い”が関係あるのか?」

辛そうな表情で言ったキーアの言葉を聞いたエオリアは静かな表情でキーアを見つめ、ロイドは複雑そうな表情で黙り込んだ後尋ねた。

「うん……………それにね。キーアはロイド達の力になりたかったの。ロイド達、ずっとキーアを守ってくれたから、今度はキーアがロイド達を守りたいの……!」

尋ねられたキーアは頷いた後静かな口調で答え、決意の表情でロイドを見つめた。

「キーア………………」

キーアの答えを聞いたロイドは驚き

「キーア、イーリュン教の信者だから攻撃はできないけど、みんなの傷を回復したり守ったりすることはできるよ!キーアは”イーリュン教の信者”として……そして”キーア”の力をジャマして、無効化する事くらいしかロイド達に力を貸せないけど………キーア、ロイド達を手伝ってもいいー?」

キーアは説明をした後不安そうな表情でロイドを見つめて尋ねた。

「……………そんなのこっちからお願いしたいぐらいだよ。よろしくな、キーア。」

「うん………!ロイド、大好き!!やっぱりどの時代のロイドも優しくて、カッコイイよ♪」

そして静かな笑みを浮かべて言ったロイドの言葉を聞いたキーアは嬉しそうな表情で頷いた後ロイドに抱き付き

「(や、柔らかいし、いい匂いがする………ハッ!)キ、キーア!今のキーアは立派な大人の女性なんだからそう無暗に人に抱き付いたりしてはいけないぞ!」

キーアに抱きつかれたロイドはキーアの豊満な胸を押し付けられた時の感触や、キーアが付けている香水の香りに一瞬顔を赤らめたがすぐに我に返って慌ててキーアを離し、真剣な表情でキーアを見つめて言い

「アハハ、相変わらず親バカだけど……内心もっと抱きついて欲しかったと思っているんじゃない?」

ロイドの言葉を聞いたワジは笑った後口元に笑みを浮かべてロイドを見つめ

「ワジ!」

見つめられたロイドはワジを睨んで叫び

「キーアちゃん、胸が凄く大きいものねぇ………私、完全に負けちゃっているわ……」

エオリアは法衣を纏っていてもはっきりと膨らんで見えているキーアの胸と自分の胸を見比べて苦笑していた。

「えへへ。今のキーアの胸の大きさ、”今の時代”のセシルと大体同じくらいの大きさだよー。」

「ええっ!?」

「ヒュウ♪将来有望とは思っていたけど、まさかここまで化けるとはねえ?」

そして嬉しそうな表情で言ったキーアの話を聞いたロイドは驚き、ワジは口笛を吹いた後興味深そうな表情をし

「フフ、ティオちゃんが今のキーアちゃんを見たら、大ショックを受けた後恨めしそうな目でキーアちゃんの胸を見そうですね。」

「何を言っているのよ!ティオちゃんはあの慎ましい胸が可愛いのよ!?」

リタは苦笑し、エオリアは真剣な表情で叫んだ。

「それと、”今のキーアは”みんなみたいに”家族”の名前があるんだよ♪」

「あら………」

「へえ?まさか既に結婚もしているのかい?」

嬉しそうな表情で言ったキーアの言葉を聞いたリタは目を丸くし、ワジは興味深そうな表情をし

「なっ!?キ、キ、キーアが結婚………!?しかも20歳で!一体どこの馬の骨が俺達の大切なキーアを奪ったんだ!?それに何で未来の俺やエリィ達はみすみすとそんな事を許しているんだ!?」

ロイドは混乱し

(くかかかかかかっ!完全に溺愛している娘に恋人がいると知らされた父親の反応じゃねえか!)

(まあ、本物の娘同様にあんなに可愛がっていたから仕方ないかもしれないわね……)

ロイドの様子を見たギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは苦笑し

「えへへ………―――――”キーア・バニングス”。それが”今のキーア”の名前だよ♪」

キーアは無邪気な笑顔を浮かべて改めて名乗った。



「………………………」

キーアの名前を聞いたロイドは全身が石化したかのように固まり

「え”。」

そして呆けた声を出した。

「まあ………」

「ほう………?」

一方リタは目を丸くし、ツァイトは興味深そうな表情をし

(おおおおおおっ!?衝撃の事実!まさか未来のロイドにはロリコンの属性も追加されるのか!?)

(…………………さすがにそれはないと思うわよ………?大方ロイドが養子にしたのだと思うけど……………)

ギレゼルは興奮し、ルファディエルは大量の冷や汗をかいて呟いた後表情を引き攣らせながら呟き

「アハハ!これはとんでもない事実じゃないか!いや~、まさかロイドがロリコンだったなんてねぇ?なんせ幼い頃からあれだけ好かれているのだから、落とすのもさぞ簡単だったろうね♪今までそのつもりで育てていたとは……さすがはルファディエルさんの愛弟子だけあって策士だねえ?」

「見損なったわよ、ロイド君………まさかそのつもりで今までキーアちゃんを育てていたなんて………」

ワジは声を上げて笑った後からかいの表情でロイドを見つめ、エオリアは蔑みの表情でロイドを見つめた。

「人聞きの悪い事を言うな、ワジっ!!それと誤解しないで下さい、エオリアさん!俺は純粋に”保護者”としてキーアを育てているんですから!!」

ワジやエオリアの言葉を聞いたロイドはワジを睨んだ後慌てた様子でエオリアに説明し

「でも実際キーアちゃんはロイドさんのファミリーネーム―――”バニングス”を名乗っていますよね?その事についてはどう説明するつもりなんですか?」

「養子だ、養子!俺がキーアと結婚するなんて絶対にありえないから!」

リタの疑問を聞いたロイドは必死の表情で叫んだ。

「………………………やっぱり”この時代のロイドも”オトメ心がゼンゼン、わかっていないね。出会った時からずーっとロイドの事を大好きなキーアだってロイドと結婚する可能性は十分あるのに。」

一方ロイドの叫びを聞いたキーアは真剣な表情でロイドを睨んだ後、頬を膨らませてロイドを睨み

「アハハ!”この時代のロイドも”という事は10年後のロイドも性格はこのままってワケだ?」

「やれやれ………何年経っても鈍感は治らないのだな……」

キーアの言葉を聞いたワジは笑った後口元に笑みを浮かべ、ツァイトは呆れ

「キーア!?キーアの”大好き”は”家族としての”意味で、キーアは俺の養子なんだろう!?」

キーアに睨まれたロイドは驚いた後必死の表情で尋ねたが

「キーア、未来の事を教えたらダメだから、これ以上は教えてあげなーい。」

キーアはロイド達に背を向けて歩き出し

「ちょっ!?待ってくれ、キーア!そこまで話しておいて、肝心な事を話さないなんて、ひどすぎないか!?頼むから肝心な事を教えてくれ……!」

キーアの行動を見たロイドは慌てた様子でキーアを追って行き、その様子を見たワジ達は顔を見合わせて苦笑した後、ロイドとキーアの後を追って行った。



なおその後ロイドはキーアに”バニングス”を何故名乗るかを何度も聞いたが、キーアは一切答えず、見かねたルファディエルに杖で思いっきり頭を叩かれて我に返るまでのロイドは混乱し続け、その様子をギレゼルは腹を抱えて笑いながら見続け、ワジ達も笑っていた…………… 
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