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火砲・ミサイル解説解説(日本編)その1

 
前書き
自衛隊が使用する火砲やミサイルなどについて1・2の双方で記載します。
引用文献は
wikipedia
「FH70」
「96式自走120mm迫撃砲」
「99式自走155mm榴弾砲」
「M110 203mm自走榴弾砲」
「MLRS」
「93式近距離地対空誘導弾」
「11式短距離地対空誘導弾/基地防空用地対空誘導弾」
「03式中距離地対空誘導弾」
「96式多目的誘導弾システム」
「中距離多目的誘導弾」
「ハイドラ70」
「TOW」
「ヘルファイア」
「88式地対艦誘導弾」
「カエサル 155mm自走榴弾砲」
「アーチャー自走榴弾砲」
「火力戦闘車」
「75式自走155mmりゅう弾砲」
「87式自走高射機関砲」

MEDIAGUN DATABASE「ヒューズ TOW 」


航空軍事用語辞典「AGM-114」

「武器と弾薬 悪夢のメカニズム図解」P48

「最強:世界の戦闘車両図鑑」P134~138

「最強:世界のミサイル・ロケット兵器図鑑」P23、P28、P31、P105

ーーーーーーーーー

戦車研究室の研究室(第2次世界大戦後~現代編):自走砲
「96式自走120mm迫撃砲」
「99式自走155mm榴弾砲」
「M110A1/A2 8インチ自走榴弾砲」
「アーチャー155mm自走榴弾砲」
「カエサル155mm自走榴弾砲」
「75式自走155mmりゅう弾砲」

自走ロケットシステム
「M270 MLRS自走多連装ロケット・システム/MGM-140 ATACMS地対地ミサイル・システム」

対空ミサイル・システム
「93式近距離地対空誘導弾」「11式短距離地対空誘導弾/基地防空用地対空誘導弾」「03式中距離地対空誘導弾」

対空自走砲「87式自走高射機関砲」


文章は全てこれから引用しました。登場する兵器は、少しアレンジされています。 

 
「155mmりゅう弾砲(FH70)」(500門)

種別:榴弾砲

口径:155mm

重量:7000~8700kg

全長:9.8m(牽引状態)12.4m(射撃状態)

砲員数:8名

砲架: 開脚式。1,800cc水平対向ガソリンエンジン装備。
最大自走速度:20km/h

最大射程:30km(通常弾)45km(RAP弾)

発射速度:3発/15秒(最大)3-6発/分(持続射撃)


155mmりゅう弾砲ことFH70は、西ドイツ、
イギリス、イタリアの3ヶ国が共同開発した155mm榴弾砲である。要求仕様は、分離可能なAPU(Auxiliary Power Unit:補助エンジン)を有し、通常弾で24km、ロケット補助推進弾で30kmの射程、最大連射速度は15-20秒で3発、持続連射速度は毎分2発とされた。弾薬は、
NATO標準の155mm砲弾に対応しつつ、新開発の長射程弾も計画された。


これに基づき西ドイツ(当時)とイギリスは協同して研究開発を行い、1968年に細部仕様が決定された。イタリアは1970年から、この計画に参加した。1978年に製造が開始され、
西ドイツ・イタリアの旧式榴弾砲とイギリスのBL 5.5インチ砲を更新していった。


砲身後端の下部に砲弾装填用トレイと半自動式装填補助装置を搭載している。
このトレイに砲弾を乗せた状態で砲撃すると、砲身の前進運動と連動してトレイが持ち上がると共に尾栓が開き、素早い装填と高い連射速度を実現している。
尾栓と装填補助装置は、砲撃と連動しない状態にしてすべて手動で操作することも可能。


砲架には1,800ccのフォルクスワーゲン製(日本のFH70は富士重工業製)水平対向型ガソリンエンジンと手動変速機を搭載しており、短距離であれば自走が可能であるため、発射位置までの牽引を要しない。このため、展開・撤収が従来の砲と比べて比較的早いという利点がある。


ただし、速度は時速16km程度で、また、操縦士以外の操作要員や砲弾を運搬することはできないため、長距離の移動には大型軍用トラックで牽引する必要がある。陸上自衛隊ではFH70の牽引に、74式特大型トラックをベースとした中砲けん引車を使用している。


射撃に必要な方位角の火砲への入力(射向付与)には砲部に搭載されたパノラマ眼鏡と付近に設置した方向盤(Aiming Circle、方位磁針により正確な方位角を測定する装置)を使用した反覘(はんてん)法により行われる。


射向付与後はコリメーターや標桿等を設置し、事後の射撃の照準点とする。照準はすべて人力であり、手動の旋回ハンドル2個を使用して行われる。1km先の目標を射撃する際に方位角を1ミル(円周は6400ミル)誤ると弾着が1mずれるため、
照準手には高い練度が必要とされる。


運用、整備(メンテナンス)の容易さと価格の安さから陸上自衛隊でも155mm榴弾砲M1と105mm榴弾砲M2A1の後継として、155mmりゅう弾砲の名で制式採用されており、
開発国での制式名FH70を略称としている。1983年以来、
三菱グループに所属する日本製鋼所によるライセンス生産によって配備され、
現在の陸上自衛隊の主力火砲の位置に付いている。


同火砲を採用した国の中でも陸上自衛隊は最も調達数が多く、現時点では500門を配備している。しかし、導入開始から30年近く経過しており、旧式化しているため火砲定数削減と合わせて順次退役が進められている。これに伴い防衛省は2013年度からFH70の後継となる装輪式の火力戦闘車の開発を行った。しかし、配備は未だ進んでおらず、
しばらくは採用が継続しそうだ。






「96式自走120mm迫撃砲」(200両)

種別:自走迫撃砲

全長:6.7m

全幅:3m

重量:23.5t

乗員数:5名

主武装:120mm迫撃砲 RT(60発)

副武装:12.7mm重機関銃M2(1200発)

最高速度:60km/h(不整地)

エンジン:デトロイトディーゼル8V-71T
2ストロークV型8気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル

航続距離:500km


96式自走120mm迫撃砲は、陸上自衛隊の迫撃砲を装軌車として自走砲化したものである。陸上自衛隊唯一の機甲師団である北海道の第7師団では、装甲化されている普通科(歩兵)部隊に追従する必要上、
迫撃砲部隊も機甲化されており、従来は60式装甲車の派生型である60式自走107mm迫撃砲及び60式自走81mm迫撃砲が配備されていた。


しかし、60式は制式化から30年以上が経過し、老朽化が著しいことから、普通科重迫撃砲中隊に配備が始まっていた120mm迫撃砲 RTを搭載する自走迫撃砲が開発されることになった。
車体は日立製作所が生産を行っている。


シャーシは92式地雷原処理車からの流用であり、73式装甲車・87式砲側弾薬車ともコンポーネントを共有している。配置は、前部左側が機関室、右側が操縦士席となっており、操縦士席の後方に車長席がある。車体後方は戦闘室となっており、主兵装である120mm迫撃砲を搭載する。


操縦室の最前部には操縦手席があり、
その後方には車長(砲班長)席が設けられている。車長席の後方は、戦闘室に続く通路となっている。本車の乗員は車長、操縦手、砲操作員3名の合計5名となっている。車体後部は主武装である120mm迫撃砲と砲操作員、弾薬等を収容する戦闘室となっている。戦闘室上面の一番前寄りには左右開き式の大きなハッチがあり、自衛用の副武装である12.7mm重機関銃M2の銃座が取り付けられている。


戦闘室の上面と後面は120mm迫撃砲を射撃する際には大きく開放するようになっており、戦闘室上面開口部の前半部は前方に跳ね上げる形式のハッチ、戦闘室上面開口部の後半部と戦闘室後面開口部はヒンジで連結されたハッチとなっており後方に折り畳むようになっている。ハッチを後方に折り畳んだ際には、この部分を砲操作員の作業用プラットフォームとして利用するようになっている。


96式自走迫撃砲が携行する120mm砲弾の弾数は60発となっており、車体後部戦闘室の左右袖部に搭載され、ここにはカンヴァスのカバーが掛かるようになっている。ターン・テーブルの後方には装填時等に使われる足場があり、使用しない時はX型の脚を折り畳んで収納することができるようになっている。


96式自走迫撃砲は牽引式の120mm迫撃砲と比べて迅速な陣地変換が可能で、高い装甲防御力を備えている。また本車は装軌式車体を用いているため装輪式の自走迫撃砲に比べて路外機動性に優れており、
射撃プラットフォームとしての安定性も優れているため精度の高い射撃が可能である。現在第7師団を含めた機甲部隊に配備が進んでいるが、
その数は僅か12個中隊分しか存在しないなど、諸外国の自走迫撃砲と比べればかなり数が少ない兵器となっている。






「99式自走155mm榴弾砲」(320両)

種別:自走砲

全長:11.3m

全幅:3.2m

重量:40t

乗員数:4名

主武装:52口径155mm榴弾砲(50発)

副武装:12.7mm重機関銃M2(1200発)

最高速度:50km/h(不整地)

エンジン:三菱6SY31WA
4ストローク直列6気筒液冷ディーゼル

航続距離:400km


99式自走155mm榴弾砲は、日本の陸上自衛隊が75式自走155mmりゅう弾砲の後継として開発した自走榴弾砲である。99式自走榴弾砲の主砲の口径は75式自走榴弾砲と同じ155mmだが、砲身長は75式自走榴弾砲の30口径から52口径に延長されており、
最大射程も35kmと75式自走榴弾砲の1.5倍以上に延びている。


車体は89式装甲戦闘車の車体を流用し、
転輪を上下各1つ加えて延長している。
車体前部の右側に操縦席があり、3基のペリスコープが備えられている。その左側には機関室が配置されており、89式と同じディーゼルエンジンを搭載する。機関室の上面は、排気口と給油口になっている。車体後部は戦闘室となっており、
その上に日本製鋼所が製作した大型の箱型砲塔が載る。


砲塔はアルミ合金製で、上面左右に昇降用ハッチがあるが、
側面にも左右2枚ずつの扉を有する。砲塔の配置は、右側に前から砲手、車長が座り、左側に装填手が座る。砲塔後部のパネルはボルト留めになっており、自動装填装置の整備時には取外すことができる。
長射程弾(ベースブリード弾)使用時の最大射程は約50km。


主砲にはトラベリングクランプが2組付いており、移動する際はこれによって砲を固定する。駐退復座機構の油圧を制御することで、砲身を後座して格納した状態にすることが可能になっている。52口径という長砲身のため、駐退復座機構の油圧をコントロールして砲身を引き込める機能が付いている。


このため車体前部には2種類のガン・ロッキング・アームが取り付けられており、
それぞれの状態で使い分けられるようになっている。砲身先端には、ドイツの「Pz.H.2000」155mm自走榴弾砲のものに似た多孔式の砲口制退機が取り付けられている。


また、99式自走榴弾砲は自動装填装置を採用している。75式自走榴弾砲では砲弾のみが自動装填され、装薬は砲員が手作業で装填していた。
しかし、99式自走榴弾砲では装薬が布の袋に収まった薬嚢式ではなくユニット式になり、自動的に装填されるようになっている。巨大な砲塔の後部には自動装填装置が収められており、また、砲塔右後部のハッチ前に本車への給弾専用に開発された99式弾薬給弾車(120発保有)を連結することで、自動で弾薬を補給し、
継続的な発射速度を向上させる事が可能。


自動装填式であるが、装填は任意の角度で行うことができ、
主砲を一定の角度に戻して装填する必要があった75式に比べて、迅速な装填を可能にしている。さらに、砲弾のみ自動装填であった75式に対し、砲弾と共にユニ・チャージ式の装薬も自動で装填され、
最大で毎分6発以上、3分間で18発以上の発射速度を有する。


アメリカ陸軍の自走榴弾砲であるM109A6は、機械的な補助はあるものの砲弾、
装薬、火管の装填がすべて手動であり、
99式は技術的に進んでいるといえる。


特に装薬の装填も自動化した自走榴弾砲は世界的にも珍しく、ドイツのPzH2000やイギリスのAS-90でも実用化には至っていない。このように世界と比べても高性能だが、一両あたりの調達価格が9億6000万円と高額なため、
年間の調達数は数両に留まっている。
なので配備が進まないので装輪式の火力戦闘車で一部を代用する予定だ。


FCSについても高度に自動化されたものが搭載されており、
新野戦特科射撃指揮装置(新FADAC)とのリンクが可能とされている。この新FADACを使えば、射撃指揮所のボタン操作だけで自動照準、自動装填、自動発射が可能といわれている。


さらに高度な機能として、射撃指揮所の遠隔操作による自動標定、自動照準、
自動装填、自動発射が可能とされる。従来は有線電話を介して音声で伝えられたりしていた諸元が、データリンクを介して瞬時に伝わるようになるのである。


砲塔上面前部右側には固定式のペリスコープの突起と、パノラマ式照準眼鏡の格納塔を突き出すための小ハッチがあるため、ここに照準手(砲手)が搭乗するものと思われる。その後方には12.7mm重機関銃M2の銃架が取り付けられたハッチがあり、ここが砲班長(車長)席と思われる。反対の左側のハッチ下には、砲手(装填手)が搭乗するものと思われる。
操縦手席は車体前部右側にあり、前部左側は機関室となっている。


ちなみに榴弾の着発有効区域は

「81mm迫撃砲」縦深:15m横幅;20m大破片の飛翔距離:130m

「105mm榴弾砲」縦深:20m横幅:30m大破片の飛翔距離:175

「120mm迫撃砲」縦深:20m横幅:35m大破片の飛翔距離:250m

「155mm榴弾砲」縦深:30m横幅:45m大破片の飛翔距離:355m

「203mm榴弾砲」縦深:30m横幅:75m大破片の飛翔距離:475m








「203mm自走りゅう弾砲」(120両)

種別:自走砲

全長:10.7m

全幅:3.1m

重量:28.35t

乗員数:5名(+8名)

主武装:M201A1 203mm 37口径榴弾砲(4発)

装甲厚:12.7mm

最高速度:40km/h(不整地)

エンジン:デトロイトディーゼル8V-71T
2ストロークV型8気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル

航続距離:530km


M110 203mm自走榴弾砲は、アメリカ合衆国で1950年代に開発された203mm榴弾砲 (8インチ砲) 装備の自走榴弾砲である。
同時に開発されたM107 175mm自走カノン砲は共通の車台を使用し搭載砲が異なる兄弟車種である。
M107との車体の共通化の要求に加えて、
航空機で空輸する事を考慮されているため非常に小型に設計されている。走行装置はM113装甲兵員輸送車の設計を流用したものだ。


体前部左側に機関部があり、中央部から後部にかけて砲を剥き出しのまま搭載している。そのためNBC防護などは考慮されていない。車体が小型であるため、弾薬は2発しか搭載できず、射撃に必要な13名の要員のうち8名は随伴する弾薬輸送車輌に搭乗している。
このため自走砲架とも呼ばれる。発射時の反動から車体を固定するため、車体後部には大型の駐鋤が装備されている。


日本ではM110A2を採用して1983年からライセンス生産が行われ、1984年度末から「203mm自走りゅう弾砲」の名称で陸上自衛隊方面総監直轄の特科大隊、北部方面隊の第1特科団、西部方面隊の西部方面特科隊隷下の特科部隊などに配備が進められている。砲身はアメリカからのFMS(有償援助)で取得し、砲架を日本製鋼所、車体を小松製作所が分担して製造している。運用の際には87式砲側弾薬車が随伴し、弾薬の運搬と補給を行う。



M110A2自走榴弾砲では、新たに開発されたRAP(ロケット補助推進砲弾)を発射した場合、その最大射程は35kmにも達する。使用する砲弾の種類も多種多様となっており、榴弾、噴進弾、核砲弾、中性子砲弾の発射が可能となっている。日米双方において大口径砲の役割をMLRS自走多連装ロケット・システムに肩代わりさせることになり、現在は退役が進められている。だが、今回のゲート先の特地に派遣する際には、こうした旧式兵器は紛失しても惜しくないので最後のご奉公として導入されている。






「MLRS」(256両)

種別:自走多連装ロケット砲

全長:7.2m

全幅:3.5m

重量:25t

乗員数:3名

主武装: 227mmロケット弾16連装発射機(再装填時間:8分)

最高速度:65km/h(不整地)

エンジン:Cummins VTA903
4ストロークV型8気筒水冷ターボチャージド・ディーゼル

航続距離:550km


MLRS(多連装ロケットシステム)は、
旧式化したM110 8インチ自走榴弾砲に代わって、アメリカ陸軍の長距離火力支援兵器の主力として開発された自走多連装ロケット砲。主にMLRSと呼ばれる。
アメリカ軍の制式名称はM270。アメリカ以外では計画参加国に加え、日本や韓国、イスラエルなど13ヶ国で採用され、
1300輌以上が生産・運用されている。


MLRSの開発は、1971年にアメリカ陸軍が広域制圧兵器に対する研究を開始したことから始まった。
この背景には、ヨーロッパで戦端が開かれた場合戦車数で大きく差が付くNATO軍を、従来の長射程榴弾砲よりも広範囲の面積を一度に制圧できる、長射程の火力支援兵器で支援する事を目指して開発が開始された。


1991年の湾岸戦争において米英軍は201両のMLRSを初めて実戦で使用し、期待を超える絶大な破壊力を見せ付けた。イラク軍はその一斉射撃を「スティール・レイン」(鋼鉄の雨)と呼び、その攻撃を恐れた数多くのイラク軍兵士の投降に繋がったとされている。
イラク戦争においても投入された。


MLRSの一個大隊は、
指揮装置・自走発射機(陸上自衛隊では16両)・弾薬車などで構成されている。
自走発射機は「AVMRL」(装甲車搭載ロケット・ランチャー)と呼ばれるもので、
M2ブラッドレー歩兵戦闘車のアルミ合金製車体をベースに開発され、車体前部には装甲が施され3名の乗員(右から車長・砲手・操縦士)が乗車するキャビンがある。窓には、
発射時の噴射炎や弾片・小口径弾から保護する装甲ルーバーが備わっており、
キャビンは発射時の有毒ガスの侵入を避けると同時に、NBC兵器防護のための気密構造になっている。


砲手席にFCS(射撃管制装置)コントロール・パネルがあり、
これを操作する事で装填モジュールの発射角度や、信管の設定を行う。キャビンの後部と下に動力系がある。車体後部には、M26ロケット弾なら8発、ATACMSなら1発を収容し発射筒を兼ねるグラスファイバー製のLPと呼ばれるコンテナを2つ収める箱型の旋回発射機を搭載している。
このランチ・ポッドはロケット弾搭載型なら円筒形のロケット弾発射筒8本が内蔵されており、アルミフレームで支えられている。


キャビンの内部には左から順に操縦手、
射撃手、車長の席が設けられ、発射統制ユニット、遠隔発射ユニット、統制表示パネル、航法装置から成るFCS(射撃統制システム)を備える。車体後部に搭載されているロケット弾の旋回発射機は左右各97度ずつの限定旋回式となっており、
0~+60度の仰角を取ることができる。


ロケット弾の発射間隔は約4.5秒で、全弾発射後はコンテナを入れ替えて再び発射可能となる。数種類あるこのロケット弾の弾頭の多くは、
クラスター爆弾のように高度1000m程でキャニスターが小爆発によって分解し、
中の多数の子爆弾を地上にばら撒く。
これらの子爆弾の爆発によって200m×100m程度の範囲の保護されていない兵員や軟装甲の車輌を一度に殺傷・破壊する能力を持つ。


日本では、1992年から陸上自衛隊の野戦特科部隊に配備が進められている。日産自動車宇宙航空事業部(現在のIHIエアロスペース)が車両のライセンス生産を行ない、情報処理装置を東芝が開発した。
防衛省は、「敵侵攻部隊が日本に侵攻するには上陸作戦を実施せねばならず、
侵攻部隊は洋上において航空自衛隊、
及び海上自衛隊が迎え撃ち、これを阻止する」と考え、敵侵攻部隊による日本本土への上陸作戦を最終防衛線としている。MLRSは、敵が上陸作戦を実施している浜辺へ、山陰などから射撃を行なって制圧するための装備とされている。


諸外国同様に自走発射機(自衛隊での装備名称は「多連装ロケットシステム 自走発射機M270 MLRS」)、指揮装置(同「多連装ロケットシステム指揮装置」)、予備弾薬車(同「多連装ロケットシステム弾薬車」)で構成されており、自走発射機はアメリカ他と同じ装軌式車両をライセンス取得の上陸上自衛隊向けに細部の仕様を変更したものが生産されている。


日本で生産された車両は前部のライト類の形状が異なり、
右側のライト下に有線通信用端子が備わる。アンテナはデータ無線通信用と音声無線用アンテナからなる。指揮装置には大隊指揮装置、
中隊指揮装置、小隊指揮装置、各指揮装置データ伝送装置の各種があり、シェルター式のものを73式大型トラック(1/2tトラック)に積載して運用される。弾薬車には74式特大型トラック(7tトラック)にクレーンを装備した車両が用いられている。


MLRSはロケット弾なら16発、ATACMSなら2発が発射可能で2種は混載できない。1両のMLRSで投射される弾量はロケット弾16発で約2128kgとされる。旋回発射機には迅速な再装填を可能とするクレーンが内蔵されているほか、
ランチャー上にホイストが内蔵されており、コンテナの交換に3分、第一波攻撃から第二波攻撃には8分かかる。


「M26 227mmロケット弾」は全長3.94m、
発射重量308kg、弾頭重量159kg、最大射程32km、弾頭に644個のM77子爆弾(対人・対物用)を収容している。MLRSは大量の子爆弾を目標上空にばらまいて一網打尽にするやり方で、誘導の無いロケット弾の不正確さをカバーしているのである。


16発のロケット弾がばらまく子爆弾の数は、10304発に達する。しかも、1発の子爆弾(重量230g)は約200m×100mの範囲を制圧することができる。車両等を直撃した場合には、厚さ40mmのRHA(均質圧延装甲板)を貫徹できる。また子爆弾にはドイツのダイナマイト・ノーベル社製のAT2(対戦車地雷)もあり、ロケット弾には28発入っている。


これは一種の空中散布地雷であり、厚さ140mmのRHAを貫徹する炸裂力を有する。
現在、MLRSはさらにシステムの近代化が続いている。改良されたM26A1 227mmロケット弾は、45kmの最大射程を実現している。ただしロケット・モーターを大きくしたため、子爆弾の収容数は518発に減らさざるを得なかった。


さらに低価格のGPS(Global Positioning System:衛星位置測定装置)を装備してより正確な飛翔を制御する「誘導MLRS」と呼ばれるロケット弾の開発も行われている。また自走発射機も「M270A1」と呼ばれる改良型が登場している。M270A1自走発射機ではFCSが近代化されると共に、
発射機のメカニズムの改良でロケット弾の再装填時間が、
従来の93秒から16秒へと大幅に短縮されている。




(MGM-140 ATACMS地対地ミサイル・システム)

現在アメリカ陸軍と陸上自衛隊が戦場で使える射程距離100km超級の地対地ミサイルは、MLRSのM270自走発射機から発射されるMGM-140 「ATACMS」(陸軍戦術ミサイル・システム)ただ1つとなっている。そして、このずんぐりした形状の地対地ミサイルは1991年の湾岸戦争において32発が初めて実戦デビューし、100km以上奥地のイラク軍ミサイル陣地や補給・指揮施設をことごとく破壊したという。


ただし、ATACMS大隊(24両のM270自走発射機)はミサイルの射程が普通の砲兵に比べて5倍以上も長いため、単独では任務が果たせない。何しろ、敵の居所が分からなければ攻撃のしようが無いからである。そこでATACMS大隊は、E-8対地電子情報偵察機や人工衛星からのGPSなどの長距離偵察手段によって、正確な目標情報の提供を受けて作戦を遂行する。


湾岸戦争で使われたATACMS地対地ミサイルは、「ブロックI」と呼ばれる。ミサイルのサイズは全長3.97m、直径0.61m、発射重量1,672kg、
弾頭重量561kg、そして最大射程は150~180kmに達する。
M270自走発射機には、M26 227mmロケット弾の代わりにATACMSミサイル2発が装填される。目標に対する誘導は、慣性誘導システムにより行う。


ブロックIの弾頭には、M74子爆弾が950個収容されている。
この子爆弾はテニスボールより一回り小さいが、炸裂により880個の鋭利で高熱の破片が飛び散り、
半径15m内の人や施設を加害する。また、
1発のATACMSミサイルが炸裂した場合の加害範囲は500m×500mに及び、ミサイル2発を使えば敵が布陣する1km正面の地域を制圧できる。


ATACMS地対地ミサイルは非常に将来への発展性が大きいため、現在改良・発達型の開発計画が推進中である。「ブロックIA」は軽量化によって最大射程を300kmに大拡張するタイプで、その代わりM74子爆弾の収容数は310個に減らされている。
ただ最大射程が延びたことによって命中精度が落ちないよう、誘導装置には慣性航法装置に加えて飛翔中の誤差を修正するGPSが組み込まれている。


「ブロックII」はブロックIが人員や施設を標的にしていたのに対し、移動中の戦車や装甲車両を狙い撃つためのミサイルである(有効射程は25~140km)。
そのため弾頭部には自由落下型の子爆弾の代わりに、ノースロップ・グラマン社製の「BAT」(ブリリアント対装甲誘導弾)を13発収容している。


BATは奇怪な形をした滑空型誘導子爆弾で、弾頭の赤外線センサー(IRシーカー)と4本のプローブ型音響センサーによって敵戦車を探知し攻撃する。ミサイルから放出されると、先端の音響センサーが付いた翼を展開して滑空しながら地上を走査。攻撃目標を探知すると搭載されたタンデム型成形炸薬弾を爆発させる。


「ブロックIIA」は最大射程を300kmに延ばしたタイプで、
改良型のBATを6発搭載している。このBATは音響センサーの代わりに、精度の高い小型ミリ波シーカーを採用した全天候タイプである。更に「ブロックIII」と呼ばれる新型ミサイルの開発が続けられている(最大射程は170km程度)。
これはイラクや北朝鮮にあるような地下施設や、硬目標を破壊するための地中侵徹弾頭タイプだという。また、最大射程を500km級に拡張した「ブロックIIIB」の開発も予定されている。






「装輪155mmりゅう弾砲」(84両)

全長:約11m

全幅:約2.5m

全高:約3.4m(乗員室上面まで)3.90m(武装ステイション含む)

全備重量:33.5t

乗員:4名(操縦士1名・操作要員3名)

最大速度:70km/h

航続距離:500km

主武装:52口径155mm榴弾砲(40発)

有効射程:30km(標準榴弾)45km(RAP弾)

副武装:12.7mm重機関銃M2(1200発)

発射速度:8-9発/分(持続射撃)3発/15秒(バースト射撃)


装輪155mmりゅう弾砲は、防衛省が開発した装輪式自走榴弾砲である。陸上自衛隊の野戦特科部隊が装備するFH70 155mmりゅう弾砲の後継として開発された。射撃及び陣地変換の迅速化や戦術及び戦略機動性の向上を図るため、FH70のような牽引式に替えて装輪式自走砲とし、低コスト化のために、99式自走155mmりゅう弾砲の砲部と重装輪回収車の車体部を活用した。また、火力戦闘指揮統制システム(FCCS)や観測ヘリコプター等と高度にネットワーク化した。


搭載砲は99式自走155mmりゅう弾砲に登載されている155mm52口径榴弾砲で、排煙器(エバキュエーター)については排煙の戦闘室への逆流の対策をする必要が無くなったため取り外されている他、砲身の基部には大型の駐退復座装置が備わっている。荷台部分に155mm52口径榴弾砲を搭載した砲塔を搭載している。


この砲塔は自動装填装置によって完全に無人化されており、
砲塔に搭載された砲弾と発射薬の装填作業と射撃は、すべてキャビンからの指示と操作に基づいて自動的に機械が行う。
そのため、数分で何十発もの砲撃が可能となっている。これは生存率上昇に繋がっている。


この兵器の利点は、まず従来型の自走榴弾砲は重量が25t〜45t前後であるのに対して、これは17.7tと2/3〜1/2以下にまで大幅な軽量化を実現したため、C-130ハーキュリーズやC-2などの中型輸送機による空輸を可能とし、
緊急展開部隊への配備を容易なものとした。布陣や撤収に要する時間も1分と短い。また、一般に装輪式車両は装軌式と比較して安価であるが、装輪155mmりゅう弾砲車体に既存のトラックを利用することで調達費や整備維持費のさらなるコストダウンを実現した。


キャビンには操縦士を含めて4名が搭乗しており、配置を開始してから砲撃を行い撤収するまでの一連の作業において一切キャビン外部に出る必要がなく、砲撃準備および撤収までの移行時間も約30秒以内と短縮化されている。運転席は厚さ8cmの防弾ガラスで覆われており、この部分の防御力は、7.62mm徹甲弾の直撃に耐える程度とされている。


キャビンの屋根上にはプロテクター M151RWSを介してブローニングM2重機関銃が1挺搭載されており、これも車内からの遠隔操作で照準と射撃が可能である。
乗員は車長、操縦手、砲操作員2名の計4名が基本であるが、
緊急時には操縦手と1名の砲操作員だけで運用することも可能になっている。現在はゆっくりと部隊への更新が進んでおり、いずれ480門の榴弾砲の内、最低半分はこれに更新する予定を防衛省は計画している。


給弾は装輪155mmりゅう弾砲に横付けしたクレーンを備えた補給専用のトレーラーから、砲塔の右側から砲弾21発を砲塔の左側から装薬126包を給弾する事が出来る。給弾は砲塔のハッチの窪みに入れた後にスイッチを押すと電動で中の弾倉に送り込まれる仕組みで、少人数で短時間で迅速に作業を完了する事が出来る。


榴弾砲は間接照準射撃(目視できない敵に対する射撃)のために作られた砲であり、自衛目的などで行われる直接照準射撃(敵を目視して行う射撃)を除いては基本的に単体で照準を行うことが出来ない。敵および弾着の確認を行う射弾観測部隊と、射撃に使用する方位角や射角を計算するFDC、そして、それらの部隊と射撃部隊を繋ぐ通信システムが射撃において必要となる。


火力戦闘車が更新する予定のFH-70は、
自己位置の評定に測量が必要であり、
射撃に必要な方位角を入力(射向付与)するには、方向盤(方位磁針により正確な方位角を測定する装置)と各火砲に搭載されたパノラマ眼鏡の反覘(はんてん)法および照準点となるコリメーターや標桿等の設置が必要となっている。また、射撃指揮所(FDC)で計算された射角や方位角、
信管の調整は、7無線や有線により音声で各火砲に伝えられていた。


近年の砲兵戦では、
各種観測装置と戦術データ・リンクの発達により、榴弾砲の攻撃を受けると、
対砲迫レーダー、
火光評定、音源評定などによりすぐさま射撃位置を評定して反撃を実施する体制が確立されているため、短時間の射撃の後に陣地変換をする場合が多くなっている(シュート・アンド・スクート)。
火力戦闘車が更新する予定のFH-70は牽引砲でありながら自走が可能ではあるものの、その能力は限定的であり、また、
射撃準備や牽引体勢への移行に時間がかかるという欠点を持っていた。


火力戦闘車は、その問題を解決するために火砲を大型のトラックと合体させ、射撃準備と撤去に必要な時間を削減している。ただし、この種の榴弾砲全般の問題ではあるものの、ヘリコプターを使った空輸が不可能になる等の欠点が存在する。火砲は自らの射撃の反動を、砲口制退器、駐退機、
駐鋤(ちゅうじょ)、
アウトリガー等によって減衰させている。


大型の装軌式火砲では、反動を自重と接地圧で吸収することが可能であるが、
牽引式や装輪式の火砲の場合には駐鋤やアウトリガーを地面にめり込ませる必要がある。ただし、
全周旋回可能な砲塔を持たず、装軌式や補助輪付き牽引砲のようにその場で旋回することが不可能なこの方式は、射界の外に敵部隊が出現した場合に車体ごと移動させる必要があり、対応に時間がかかる他、地面が舗装された市街地では駐鋤が使用できず運用に難があるという欠点が存在する。






「75式自走155mmりゅう弾砲」(72両)

種別:自走砲

全長:7.79m

全幅:2.98m

重量:25.3t(全備重量)

乗員数:6名

主武装:30口径155mm榴弾砲(50発)

副武装:12.7mm重機関銃M2(1200発)

最高速度:45km/h(不整地)

エンジン:三菱6ZF21WT型
空冷2ストロークV型6気筒ディーゼル

航続距離:320km


75式自走155mmりゅう弾砲は、日本の陸上自衛隊が運用している自走榴弾砲である。それまでアメリカ軍から有償供与されていたM52 105mm自走榴弾砲、M44 155mm自走榴弾砲の後継として74式自走105mm榴弾砲と同時期に開発されたもので、1975年に制式化された。


車体を三菱重工業、
主砲と砲塔を日本製鋼所が開発担当した。旧式化しているので続々と退役が進んでおり、今回の銀座事件を受けて万が一損失しても惜しくないので、最後のご奉公の為に全て駆り出されている。


車体後部に密閉式の全周旋回砲塔を有し、車体・砲塔は耐弾能力の強化と軽量化を目的として防弾アルミ板の溶接構造となっている。乗員は車長、砲手、装填手2名、通信手、操縦手の6名。中砲としては初の完全国産砲である日本製鋼所製の30口径155㎜砲を装備しており、自衛用として砲塔上面右側に12.7mm重機関銃M2を1門装備する。この榴弾砲は隔螺式閉鎖機と、変後座長の液気圧式復座機を持つ嚢砲である。閉鎖機は初弾装填時のみ手動で開放され、その後は発砲時の反動を利用して自動的に開放される。


車体前部右側が操縦手席、前部左側が機関室で、エンジンはZF系の空冷2ストローク・ディーゼルが搭載されており、変速機はパワーシフト方式、操向機はハイドロスタティック方式が採用されている。
足周りは全高を抑えるために上部支持輪の無い方式を採用しており、
誘導輪を接地させて接地長を長くする事で、射撃時の車体安定を図っている。



砲塔後部には当時としては珍しい自動装填装置を備えているのが特徴で、各9発の弾丸を格納するドラム式の弾倉が左右に並べて2基搭載されており、中央にある伸縮式の装填トレイとラマーによって弾丸の自動装填が可能となっている。ただし、装薬については砲弾装填後に手動で装填される。信管の装着や測合については、このドラムに収納された状態でもできる。信管は戦闘室内左右にある4つのコンテナに1個当たり14発分、計56発分を収納できるようになっている。弾丸の装填は、以下のようなサイクルで行われる。


まず油圧駆動のクランプが外れ、弾丸が1発装填トレイに落ちる。次に弾丸を載せた装填トレイが砲尾に前進し、さらに一部が手動で砲尾環の奥まで延ばされる。
次に装填トレイの上にあった装填機が砲身の軸線位置まで下がり、油圧駆動のラマーが伸びて弾丸を砲尾に押し込む。
最後に全ての装置が元の位置に戻り、次弾の装填に備える。


以上のようなサイクルが繰り返され、
4基のドラムに収められた各9発、計36発の弾丸が機力装填される。通常、続いて装填手によって射距離に応じた装薬が装填され、閉鎖機を閉じて発射となる。自動装填装置の作動角度は約6度に固定されているが、スイッチ1つで自動的に装填位置に砲身を俯仰させる自動復帰装置を有している。発射速度は、最大で約6発/分とされている。携行する弾丸は床下の14発と装填ドラム内の36発合わせて50発となっている。


 
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