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Blue Rose

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第二十話 小さくなる身体その二

「大体ね」
「一五〇ですか」
「それか一四八か」
「随分小さくなるんですね」
「今だと女の子でも一五〇位だと小柄だね」
「そうですよね」
 優花も女の子の身長のことはおおよそわかるので頷くことが出来た。
「クラスでもそれ位の娘いましたけれど」
「君は声も高いしね」
「声もですか」
「声が高い人は大体小柄なんだ」
「そうだったんですね」
「オペラ歌手でもそうだよ」
 高音で歌う歌手も多いこの歌手達はというのだ。
「高い声の人は小さいんだ」
「それじゃあ低い声の人は」
「うん、大きいよ」
「そうだったんですね」
「体格は声にも影響するんだ」
「それは知らなかったです」
「おおむねね、大柄でも声の高い人はいるよ」 
 例外の者もだ、岡島は優花に紹介した。
「ジョーン=サザーランドっていう歌手がいたけれど」
「サザーランドさんですか」
「オーストラリアの歌手で一八〇近くあったね」
「女の人ですね」
 ジョーンという名前からだ、優花はこう思った。この名前はイギリス系の女性の名前であることを知っているからだ。
「そうですね」
「オーストラリアのね」
「隣のクラスに同じ名前の娘がいまして」
「ああ、留学生だね」
「イギリス、スコットランドからの娘です」
「あそこは外国からの子も多いからね」 
 八条学園の特徴の一つだ、世界中から人が集まる学園なのだ。
「それでわかったね」
「はい、オーストラリアの人ですか」
「ソプラノ歌手で声はかなり高かったんだ」 
 ソプラノという声域の中でもだ。
「こうした人もいるけれど」
「大抵の人は声が高いと小柄なんですね」
「そうだよ、男の人でもそうで」
「バスだと大柄な人が多いんですね」
「特にドイツ系の歌を歌う人はね」
「ドイツの人は背の高い人多いですし」
 このことも八条学園にいて知ったことだ、ドイツからの留学生も多く通っているからだ。
「そのこともありますか」
「そうだね、その中でもワーグナーは歌手は背の高い人多いよ」
「ワーグナーですか」
「ワーグナーの音楽は独特で」
 どう独特かというと。
「低めなんだ」
「全体的に声域がですか」
「そう、他の作曲家の作品よりもね」
「だから背の高い人が多いんですね」
「テノールもソプラノもね」
 バス歌手より小柄な者が多いこうした声域の歌手達もというのだ。
「どちらもワーグナーでも主役のことが多いけれど」
「歌劇はテノールかソプラノの人が主役のこと多いですね」
「うん、それでワーグナーもね」
 他の作曲家達の作品と同じくというのだ。
「テノールやソプラノが主役だけれど」
「その人達は大柄ですか」
「そうした傾向が強いね」
「そうですか」
「声域は体格にも影響するから」
 またこう言った岡島だった。 
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