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とある異世界の交差物語(クロスオーバー)

作者:鉄龍王
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第41話 対峙する2人の姫、迫る新たな刺客

 
前書き
ようやく出来た第41話です!しかし話は殆ど進んでいません。

それでも構わない方はどうぞ! 

 




「おおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!」


目の前の闘兵衛(てき)に挑むのはオレンジ色の髪の少年…海竜王こと堂本(どうもと)海斗(かいと)が竜の如き咆哮を上げながら駆け抜け、刃の部分に天に向かって吠えていう様に大きく口を開く海竜の紋様が刻まれている片刃の大剣を振り下ろした。

対する闘兵衛も臆する事無く迎え撃つ為に拳を構えた。




「うおおおりゃああああああぁぁぁっ!!」

「ぬうぅんっ!!」

海斗が大きく振り下ろす大剣に対し、闘兵衛は彼の剣が己の体に触れるギリギリのタイミングで海斗の剣の腹を横殴りし、僅かにずらすことで直撃を避けたのだ

「チィッ!相変わらずトンデモナイ奴だなおっさん!」

「そういうお主もな。海竜の若頭!」

まるで親しい友人に久しぶりに会ったような会話をする2人だが、彼らの間柄は敵対関係

故に彼女(リオン)は僅かに焦りの表情(かお)を浮かべながら狂四朗(おとうとぶん)に指示を出す

「クッ…!まさか海竜王(アイツ)が出てくるなんて、想定外もイイ所よ!狂四朗!!貴方は早くソコの子達を倒して闘兵衛の援護に回りなさい!!私もサッサとシグナムをたお……」


「させるかぁぁぁああああああああっっ!!!」

「「っっ!!?」」


―――ギィィンッッ!!―――


かん高い金属音のぶつかり合う音が響く中、それを奏でているのはリオンの双剣と新たに表れた乱入者の金色に輝く錫杖だった。

その錫杖の主はパイナップルのような髪型をした黒髪、勝ち気に満ちた琥珀色の瞳。晒しを巻いた胸が僅かに見える藍色の着物、背中に“三”と刺繍されている白い羽織を羽織った少女だった。

リオンはその少女を知っていた。そのため、リオンは驚愕に満ちた表情(かお)で彼女の名を呼んだ(さけんだ)


「アンタは……茜雫(せんな)!!」

「久しぶりね……リオン・ネームレス!!」

「……っ!!………ええ、本当に久しぶりね…そうやって一々私が嫌いな苗字(ファミリーネーム)を呼ぶ所は変わって無いみたいね。海戦姫(かいせんき)っ!!」

「そー言うアンタこそ、アタシにとっては不愉快極まりない二つ名を呼んでくれる所なんて全然(ぜっんぜん)変わって無いわねぇ……っ!!」

「ええ本当…だったら今アンタが何を考えているか当ててあげよっか?」

「気が合うわね。あたしも同じ事を考えてたわ。そうね…それじゃ、『せーの』で言おっか?」

「いいわよ。それじゃ…」










「「せーの……」」




















「「くたばれクソアマぁぁぁぁぁぁっっ!!!」」















とても先ほどまで荒々しくもどこか花の如き優雅さなオーラが出ていた少女と、今現在猛獣の如き獰猛な剣劇(こうげき)を繰り広げている少女が同一人物とは思えない形相だった。これにはラスト・トレイターと管理局と守護騎士達(3つの勢力)は一時戦闘を中断し、唖然とリオンと茜雫(かのじょたち)の戦闘を見守った。




「え~~………」

「姫様………」

「はぁ………」



信頼の置ける仲間達……弟分(狂四朗)からは信じられないような間の抜きえた声。側近(闘兵衛)からは可哀そうなモノを見るような視線。守護獣(銀牙)からは心底疲れたような溜息を吐き、呆れた視線を向けられている事を彼らの主(リオン)は知らなかった。



「おいおい……」


丁度同じく闘兵衛と激闘を始めていた若頭(海斗)は呆れた視線を(せんな)に向けていた




そしてそんな状況の中、戦場(こちら)へ向かって駆けて来る赤髪の剣客がいる事は、誰も気づいていなかった……






一方、リオンと茜雫(かのじょたち)が戦っている最中、守護騎士(ヴォルケンリッター)は念話でこの状況の打開策を検討し合っていた



(どうするシグナム?今なら不意を衝いて戦場(ここ)から脱出できる気がするけど?)

(いやダメだ。今出てきた乱入者のお蔭で下手に動けば他の連中が我々に攻撃を仕掛けてくる)

(それにこの状況だ。今はあの娘2人が暴れている間は他の者の視線はアチラに向いているが、戦闘開始(あれ)からかなりの時間が経っている。何か手を打たなければ敵の援軍が到着し、我々を拘束する)

(ザフィーラの言うとおりだ。時間は僅かだが、今は成り行きを見守り、チャンスを待つしかない)

(クソ……っ!)








戦場から離脱する事も出来ず八方塞となり、苛立ちを隠せずにいる守護騎士たち。しかしそんな時、思いも寄らない声が彼女たちの頭に響いた



(シグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラ。聞こえるか?)




(((っ!!?)))

(…来たか………)

突然の援軍(みかた)念話(こえ)に剣の騎士、湖の騎士、鉄槌の騎士は驚愕し、盾の守護獣は予め分かっていたのか、冷静に小さく呟いた


「し……っ!」

(声を出すな。他のヤツ等に気付かれる)

(お…おう………)

(そっちの状況はこっちでも確認した。即席だが、今から作戦を伝える)

(作戦?)

(ああ……)

ヴィータがほんの僅かに眉をひそめるが、念話の主は作戦を伝える

(今からカウントした瞬間に矢を放つ。その瞬間に連中(やつら)を混乱させるから、皆はタイミングを合わせて脱出してくれ。勿論それに気付く奴が居るはずだから、そこは俺が援護する)

(……大丈夫なのか?)

(今の俺は弓兵(アーチャー)だ。死角からの援護は任せろ)

(……うむ。では任せるぞエミ……いや、アーチャー!)

(ああ!任された!!)


顔を見せない謎の男(アーチャー)に対し、盾の守護獣(ザフィーラ)は大きな信頼を寄せていた。だがそれは彼に限った話ではなかった。

(お願いね!アーチャー!)

(タイミングをしくじるんじゃねぇぞ!)

(頼むぞ、アーチャー!)

騎士達(なかまたち)からの声援にアーチャーはうっすらと涙が滲んでいるが、それは目が痛んだだけだと己に言い聞かせ、(アーチャー)はある一点に狙いを定め、弓を握り、矢を構えた

(今2人のお姫様が大きく構えた。恐らく大技を仕掛けてくるからこのタイミングを狙う。皆、いつでも飛べるよう、準備してくれ)

(はい!)

(おう!)

(解った!)

(心得た!)







「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………」

「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ………」


リオンと茜雫の両名は全力の激戦で息を切らし、フラフラとなっているが後から参戦していた茜雫はまだ体力に余裕があった。

「ふぅ、ふぅ……ふふ、どうしたのよネームレス。もう息が上がってヘトヘトじゃない?」

「はぁ、はぁ……ハッ!そっちこそ、私が体力を使い果たすタイミングを狙ってたんじゃないの?」

「なっ!?」

「それとも、アンタは不意打ちしか出来ないほど臆病になったのかしら?」

「へぇ………?」





リオンの挑発が茜雫の琴線に触れたのか彼女の()()が変わった



「言ってくれるじゃない?」



そう小さく呟いた瞬間、茜雫は己の相棒である“弥勒丸”を振い、その先端に備えられている遊環(ゆかん)が甲高く鳴り響き、同時に茜雫の周りに旋風が巻き起こった


「そこまで言うならコッチも全力で行くわよ。後悔するんじゃないわよ!!」

すると茜雫(かのじょ)の周りの旋風(かぜ)が弥勒丸の遊環に集中し、目に見えない薙刀状の刃が生まれた。
そして茜雫は薙刀に変化した弥勒丸を構えなおし、リオンに狙いをつけた


「行くわよネームレス。このあたしを挑発してくれたんだから、今更逃げ出すなんて無しよ?」

「勿論、だからコッチも切り札を使わせてもらうわ!」


するとリオンは自身の双剣(あいぼう)を高速回転させ、其々の剣に疾風と稲妻を宿らせた。

互いに構える2人の戦姫。片や不可視の薙刀、片や風雷の双剣。相手の実力は何度も戦った故にお互い熟知しているため、下手に動けずにいる。
しかし、戦況はラスト・トレイター(じぶんたち)が不利だと理解しているリオンは先手を打つ為に脚に力を込め、それを察した茜雫も両腕、両足に力を入れ…







「「っ!!」」









リオンと茜雫は同時に駈け出し、相手の急所を狙い、己の得物をそれぞれ振り下ろし、振り上げた






その瞬間!







「I……t…e……ne of…… s…o……」







「「ッッ!!??」」




突然彼女たちの耳に風の中に紛れた掠れるような声が届き、そこから放たれた僅かな殺気を感じたリオンと茜雫(彼女たち)は即座に横へ飛んだ。すると彼女たちがいた場所に1本の歪な矢がコンクリートの道路に深々と刺さった瞬間……







―――ドゴオオオオオオオオォォォォッッ!!!―――






「うわぁっ!!」

「なんだっ!?」

「敵襲か!?」




突然の爆発に敵味方問わず周りはパニックになっていた。だがそれも一瞬で、すぐに周りは冷静になり始めた。




ある例外を除いて……








(今だ!!)


(((おうっ!!)))

(はいっ!!)



謎の男の合図に守護騎士(ヴォルケンリッター)は駆け出し、一気に戦線を離脱した。クロノ達管理局の魔導師やリオンたちラスト・トレイター、海斗たち乱入者組もすぐに反応出来ず、彼女たちを見逃してしまった。

だがリオンだけは速く動き、比較的一番動きが鈍いシャマルに狙いを定めながら双剣の一振りを力強く投げるが、彼女の視界を超えた距離からの矢によって追撃は失敗した


「ち……っ!」

「姐さん!俺たちも今すぐ…」

「無駄じゃい狂四朗。今この先を一歩でも進めば即座にハチの巣にされるわい」

「闘兵衛の言う通りよ。守護騎士たち(やつら)はこの際諦めて、今は管理局(目の前の敵)に集中しなさい」

「ち…っ!」

「2人とも、後ろの守りは私に任せて、敵を蹂躙しなさい」

「はっ!!」

「アイサーッ!!」



リオンたちは仕切り直しとしてそれぞれの武器を構え、管理局側(クロノたち)も戦闘再開の為に構えたその時……!













「ラスト・トレイターの総指令…リオン・ネームレス殿とお見受けする」













「「「ッ!?」」」





この場の誰の者でもない声が響き、敵も味方も声がした方へ目を向けると其処に居たのは…




緋色の着物をまとい、腰に1本の刀を差した剣客だった



「あるお人の命により、助太刀させて頂く……」



しかしそれ以上に目立ったのは腰まで届く赤髪の長髪を下に束ね、左頬にはうっすらだが十字の刀傷を特徴に持つ男。そしてその男の眼は、覚悟を決めて戦場に立つ“武士(もののふ)”そのものだった。百戦錬磨の闘兵衛は目の前の赤髪の剣客を強者と認識し、訪ねた

「何者じゃお主は…」


闘兵衛に尋ねられた剣客は静かに答えた






「…元 長州派 維新志士………」








「緋村 抜刀斎……」
 
 

 
後書き
以上!今回はここまでです。

次回は人斬り抜刀斎の無双ぶりを出したいと思ってます!!

 
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