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Blue Rose

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第十八話 新幹線の中でその十三

「けれど結局は受け入れてね」
「僕に伝えてくれて」
「守るって約束してくれたね」
「はい」
「それはね」
 それこそというのだ。
「強いからだよ」
「だからですか」
「君の姉さんはそれが出来たんだ」
「僕の現実を受け入れることが」
「そして守るって約束したことがね」
「強いからですか」
「出来たんだ、君の姉さんみたいにはね」
 とても、とだ。岡島は優花にさらに話した。
「出来るかどうか」
「そのことは」
「僕には自信がないね」
「そうなんですか」
「それが出来る人は強い人だよ」
 優子のことに他ならない。
「だから君の姉さんはね」
「強いんですね」
「とてもね、尊敬出来るよ」
 優子をだ、岡島はこうまで評した。
「とはいっても君の姉さんは尊敬されたいとは思う人じゃないね」
「はい、姉さんはそういうことは興味ないですね」
「自分を尊敬しろとか言う人はね」
 それこそと、だった。岡島はそうした人間のことも話した。
「絶対に尊敬されないよ」
「そういうものですね」
「そう、そんなことは自分から言うものじゃない」
「絶対にですよね」
「そうしたことを言う人は絶対に碌な人じゃないよ」
「そういうものですね」
「冗談で言うのなら笑い話だけれど」
 しかしというのだ。
「本気で言ってたら馬鹿な話だよ」
「馬鹿な人が言うことですね」
「絶対に尊敬されないね」
 逆にだ、そうなるというのだ。
「だからね」
「そんなことはですね」
「言わないことだよ」
「そうですね、僕も気をつけます」
「君の姉さんみたいになるといいよ」
「姉さんみたいにですね」
「そう、そうなればね」 
 それが、というのだ。
「いいことだよ」
「姉さんみたいに」
「強くて自分から絶対にそんなことを言わない」
「そうした人にですね」
「なるといいよ」
「そうですか」
「うん、確かにお酒を凄く飲むけれどね」
 それでもというのだ。
「君の姉さんは立派だよ」
「そうですね、僕もここに送ってくれたし」
「考えてだね」
「そうしてくれました」
「全部君を思ってのことだよ」
「長崎で誰も知らない中で女の子になって」
「そして高校の間はね」
 ここにいる時はというのだ。
「長崎にいてね」
「女の子として過ごしてですね」
「誰も君が何処かに行ったと考える様になる」 
 その頃にというのだ。
「また神戸に戻ることまでね」
「姉さんは考えてくれてますね」
「本当によく考えてくれてるよ、向こうに戻る時は名前も変わってるね」
「はい」
 そうなるとだ、優花は岡島に答えた。
「そのことは決まってます」
「姉さんが決めてくれたね」
「そうです」
「そこまで考えてくれる人はね」
 それこそとだ、岡島は優花に話した。車は長崎市内から次第に郊外に向かっている。坂道の多い方へと。
「そうはいないよ」
「肉親に対してもですね」
「姉さんも考えたんだよ」
「僕のことも」
「それも必死にね」 
 岡島は優子のそのこともわかった。 
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