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第九幕その六

「最近はあれに牛乳をかけて食べるのも好きよ」
「ですね、確かに」
「姫様フレークもお好きですね」
「何かそうしたのもですよね」
「朝にはいいですね」
「朝は水分も欲しくなるから」
 寝ている間に汗もかくからです、それで水分も欲しくなるのです。
「そのこともあってね」
「起き抜けはどうしても食欲がなくて」
「さらりとしたものを食べたいですし」
「それに加えて水分も欲しくなるから」
「お粥やフレークがいいんですね」
「そうよ、それで朝は食欲がないっていってね」
 ここで注意する様に言ったオズマでした。
「何も食べないのは駄目よ」
「朝食を抜くことは」
「止めた方がいいですね」
「それは駄目よ」
 絶対にという言葉でした。
「朝、いえ三食ともね」
「絶対にですね」
「食べないといけないんですね」
「食事を抜いたら充分に動けないから」
 だからというのです。
「食べないと駄目なのよ」
「朝もそしてお昼と夜も」
「絶対にですね」
「そうしないとね」
「わかりました、それじゃあ」
「今朝も食べます」
 二人はオズマの言葉に笑顔で頷いてお粥を食べるのでした、勿論他の皆も同じです。そしてつぎはぎ娘と木挽の馬はです。
 皆が食べるのを見ています、つぎはぎ娘はそうしつつ自分の隣にいる馬にこんなことを言ったのでした。
「ねえ、今朝もね」
「皆いい顔をしてるね」
「美味しいものを食べる時は」
「うん、皆そうなるね」
「いい顔になってるね」
「そしてその皆の顔を見てね」
「あたし達も笑顔になるね」
 こう馬に言うのでした。
「自然と」
「僕達は何も食べないけれど」
 それでもとです、馬も応えます。
「その笑顔を食べているね」
「心でね」
「それで元気になるんだね」
「そうね、それで今日はどうして遊ぶの?」
「自転車はどうじゃ」
 王様もお粥を食べています、そうしつつつぎはぎ娘に答えました。
「ツーリングじゃ」
「自転車であちこちを回るの」
「この国のな」
「そうするのね」
「そうじゃ、どうじゃ」
 また言った王様でした。
「これは」
「いいわね」
 つぎはぎ娘は王様のその言葉に頷きました。
「それも、ただあたしは自転車には乗れないわよ」
「おや、そうじゃったか」
「かかしさんもよ、だって足がふわふわしてるから」
 生地のお肌と服の下にあるのは綿です、かかしは藁が入っています。
「踏ん張ることが出来ないからね」
「それでか」
「そう、自転車には乗れないわよ」
「ではどうするかじゃな」
「それなら僕の背中に乗ればいいよ」
 ここで馬がつぎはぎ娘に言いました。
「君はね」
「いつも通りなのね」
「そうすればいいよ」
 自転車に乗れないのならというのです。 
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