| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

クバ王国の衣装

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三章

「昔は」
「ベルギーの植民地だったわね」
「本にこのことも書いていたわね」
「ベルギーね」
 この国についてはだ、琴乃はこう言った。
「チョコレートとかワッフルとか」
「そうしたイメージよね」
「大体合ってる?」
「まあね、ただここではね」
 このザイールではというのだ。
「酷い統治してたのよ」
「植民地統治の中でも」
「そのことも本で書いてたでしょ」
「ええ、ただ今回ここに来た理由は」
 琴乃はこうも言った。
「歴史のことじゃないわね」
「そうよ、ザイールの歴史には触れても」 
 それでもというのだ。
「本題じゃないから」
「服ね」
「服のことも勉強したでしょ」
「ええ」
 琴乃はまた亜美に答えた。
「そのコバ王国のね」
「二人でしたから」
「本当に私アフリカのことは知らないのよ」 
 琴乃はこのことは断った、亜美の他のテレビのスタッフ達にもだ。
「エジプト位しかね」
「エジプトはお仕事で言ったから」
「だから知ってるけれど、東アジアや東南アジア、アメリカやヨーロッパならそれなりに知ってるわ」
 旅行好きだけあって自分の足で行った国も多い。
「けれどアフリカはね」
「よく知らないのね」
「ええ、ザイールに来ることがあるなんて」 
 このこと自体もというのだ。
「想像もしてなかったし」
「そうよね」
「けれど来たし」
「それなら?」
「服、作りましょう」
 意気込みも見せた、そしてだった。
 琴乃は州の中でも大きなイレボという街のある店に入った、そこでは中年の黒人の女がいた。その女にだ。
 現地で雇った通訳の人が話した、以後通訳を交えての話となった。
 琴乃はスタッフとだ、こう話をした。
「じゃあ予定通りですね」
「うん、琴乃ちゃん自身が服をデザインしてね」
「作っていいそうだよ」
「それでその服は琴乃ちゃんのものになるよ」
「お金の話もついたよ」
「わかりました」
 ここまで聞いてだ、琴乃は頷いた。
「じゃあ作らせてもらいます」
「服の作り方も教えてくれるから」
「安心してね」
「お店の人は凄く優しいらしいから」
「そのことも安心してね」
「はい」
 このことには安心した琴乃だった、実際に。
 そして亜美を見てだ、くすりと笑ってこんなことも言った。
「マネージャーで厳しい人は慣れてますけれど」
「言ってくれるわね」
 その亜美も言い返した。
「厳しくするのがマネージャーよ」
「それがお仕事っていうのよね」
「そうよ」
 まさにというj返事だった。
「特に琴ちゃんすぐに調子に乗るから」
「そうかしら」
「手綱は握っていないとね」
 こう考えてというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧