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暗闇を照らす白き日差し【影に身を委ねた一夏】

作者:Bloo-D
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プロローグ
  プロローグ Ⅲ

 
前書き
白夜、ISを起動させる 

 
白夜SIDE



マドカが家に帰ってから数日後。マドカが千冬の元へ戻ったニュースは“親の理不尽で引き裂かれた姉妹の再会”として取り上げられてマドカはすっかり時の人になった。けれど今だ行方不明の俺の件についてはかなり悲しんでたらしく、マスコミの記者会見でその事を指摘されたマドカは泣き崩れて会見が中断せざるを得ない程にショックだったらしい。
これには罪悪感は抱いたけど、もう俺は後戻りすることは出来ない領域に居るから仕方ないんだ。申し訳ないけど解ってくれ、千冬姉…マドカ……

それともう一つ、マドカは〈ファントムタスク〉から連れ戻した時には既にイギリスから強奪されてた第3世代IS サイレント・ゼフィルスを所持してたそうで一時期問題になったけど、千冬が上手く根回しをして更にマドカが日本の国家代表候補生になった事で、イギリス側が口を出さなくなったおかげで騒ぎは収まってくれたみたいで良かった。


そしてマドカを連れ戻した頃には千冬は専用機を凍結させて現役から引退、今はIS操縦者を育成するIS学園の教師として生徒と他の教師から注目の的になってるそう。そしてマドカに至っては既に専用機持ちという訳で飛び級扱いでIS学園に入る事が決定、今年の春に通ってる学校を中退してIS学園に入学するらしい。


どうせなら妹の晴れ舞台を見てやりたいとこだけど、俺は立場上そういう訳にもいかないから、次の依頼を遂行するべく闇に姿を消した。

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千冬SIDE



私がIS学園の教師になってから始めての正月休み、クリスマスイブに戻って来た生き別れの妹のマドカと自宅で過ごしている。
たく…学園では生徒が煩いし、副担任の山田先生も頼りないからストレスが溜まるし困る……

マドカ「姉さん、兄さんは…もう帰って来ないのかな?折角会えたのに…また居なくなって……」

オマケにマドカがこれだからな、悩みの種は増える一方だ……

千冬「何、あいつの事だ。何かあればまた姿を見せてくれるだろう、その時を待つまでだ」

マドカ「そう…だよね。私達がちゃんとしてないと、兄さんは悲しんじゃうだろうしね。しっかりしなきゃ」

千冬「その息だ。お前は今年からIS学園に入るのだからな、一夏に晴れ舞台を見せれると思ってやらんとな」

マドカ「うん!」

それにしてもあいつ、一体何があったんだ?
ドイツに居た色々と調べてみたが結果は解らずじまい、暗部に長けてる更識にも調査を依頼したがコッチも不発だったからな。
出来れば戻って来て話を聞けたら嬉しいが、奴の事だから滅多に姿を見せる筈も無いし、先が思いやられる……
だが一夏、またお前に会った時は必ず聞き出してやる、そして謝らせてもらうからな。お前に何があったのかを、そしてお前を助けられなかった事を……

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白夜SIDE



マドカ達の一件で世間が落ち着いた頃には2月…即ち受験シーズンに突入していた。
確かマドカはIS学園へ入学する為に受験することは大体知ってるし、オマケに丁度今は依頼は無いから、折角だし受験会場にでも行ってみっか。

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『きゃっきゃっ……』

流石はIS学園の受験会場だな、女子校とだけあって女子が多いな。マドカも代表候補生ってだけあって結構な人気者だしな。
女子校の受験会場に侵入するのは幾ら俺でも気が引けるが、俺の能力を使えば気付かれずにマドカの受験姿を見届けるなんて造作もないだろうな。
よし、行くか。

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ふむ……国立なだけあってか警備も厳重だし、監視カメラも沢山備わってるな。
けど、残念だが俺にそんな子供騙しは通用したりしないぜ。もとより通気口を通ってるんだから尚更見つかったりしないよ……

通気口を通るのは正直嫌いな方だけど、もう通気口は長いこと暗殺で使って来たからもう慣れた。

ーーーー

それからより詳しく知りたいから人気のないところを散策してたらある広い空間に降り立った。
直後にその空間の中央に置かれてたヤツに目が止まった。

白夜「ん?こいつは__」

「ISよ。あなたなら見て解るのじゃない?」

白夜「⁉︎」

「んふふ……」

千冬「まさかと思ってたが、更識が言った通り来るとはな」

けっ!よりによって千冬と鉢会うって本当ついてねぇ……てかそっちの扇子を持った青髪は……

白夜「そっちは確か、更識家当主の更識 楯無だな?
楯無は更識家当主が襲名する名であんたの本名は更識 刀奈。
ロシアの国家代表で専用機の名は、グストーイ・トゥマン・モスクヴェ(モスクワの深い霧)だったかな?」

楯無「へ〜ぇ、そこまで知ってるんだ。
でも機体の名は違うわ、今は“ミステリアス・レイディ(霧纏の淑女)”よ」

そう言って開かれた扇子には“惜しい”と書かれていた。
なんだよその扇子、セリフ代わりか?

楯無「それで、何故白夜くんはここに来たのかしら?もしかして覗き?」

白夜「なワケあるか!」

楯無「冗談よ。マドカちゃんの事でしょう?」

全部お見通しかよ……千冬の野郎チクりやがったな?

楯無「沈黙はYesって取るわよ、良いかしら?」

白夜「好きにしろ、どうせ当たってんだからな……」

たく……面白くねぇが言い返せん以上は仕方ないか……


千冬「一夏、私は__」

白夜「何度言えば解るんだブリュンヒルデ。俺は白夜だって言ってるだろが」

全く、いつになってもその名で呼ぶとはな。まあ良い、どうせ今回はその件で怒る気にもならんしな……

千冬「……」

白夜「まあ堅苦しい話は無しにしよう。どうせマドカの件で、俺からも言いたい事があるしな」

千冬「マドカ…だと……?」

白夜「親の都合で長らく生き分かれてたのに、家族として受け入れてくれたんだ。礼の一つは言わないと虫が悪い」

千冬「だったら、一度でも良いから家に帰って来てくれ。お前が居なくなったおかげで、私がどれだけ寂しかったか……」

白夜「残念だけど千冬…いや千冬姉、俺は生き延びる為に己の過去を代償に払ったんだ。招かれるのなら解るが、帰ることはまだ出来ない。あの人を越えるまではね」

千冬「あの人……?」

白夜「俺に力をくれた人さ。俺はその人をどうしても越えなければならない、それまでは帰ることは一切許されないんだ。苦しいだろうけど解ってくれ、これは抗う事すら許されない事なんだ」

千冬「……解った。お前がそう言うのなら、今後はお前は一夏ではなく白夜として接する。
だが、せめて私とは偽りでも良いから姉弟として、そして師弟として接してくれ。そしてお前が力をくれた人を越えたその時は、必ず帰っ来ると誓ってくれ、頼む……」

そう来たか……けれど、マドカを任せてる以上は断れまいな……

白夜「解ったよ、姉さん」

千冬「前みたいに呼んではくれんのか?」

白夜「悪いけど、これでも随分妥協してる方なんだって」

千冬「解った、なら仕方ない」

これ以上は流石に心臓に悪いからこのくらいで勘弁して欲しいものだ……


白夜「それにしても、ここで訓練機とはいえ待機状態のISをお目にかかれるとはな」

楯無「あなたはドイツでもISを見た筈じゃないの?」

千冬「いや、あいつがドイツで見たのは纏ってる方だ。待機状態は知る限りでは初めてだろな」

フン……本当察しが良いな……

白夜「ラファール・リヴァイヴ、フランス製の第2世代ISで訓練機か。触っても良いのかね?」

楯無「構わないわよ、別に減るものじゃないしね」

たく……まあ良いか、ISに触れるなんて今後一切無いだろうからな……

≪トン……パア〜〜〜……≫

「「「⁉︎」」」

えっ、何だ?光ってる……ってか、こいつ反応してんのか?
そんな馬鹿な……男の俺がISを動かせるとでも本気で言うのか⁉︎

千冬「おっ、おい更識!一体何が起こってるんだ⁉︎」

楯無「これはまさか、“ISが白夜くんに反応してる”っとしか言えませんね」

千冬「馬鹿な!あいつが……」

お…おい……俺…これから…どうなっちまうんだ一体……?

状況を整理出来ない俺は警備員や他の担当教師がぞくぞく押し寄せる間も立ちすくんだままだった……

_______________


その後俺がISを動かせることはネットやニュースを通じて全世界に知れ渡り、各国首脳からIS研究の助力やら生体実験の依頼やらされたが興味が無いから全て断った。
けれどそれでも依頼は留まる事を知らずにドンドン来るから、姉さんから入った“IS学園の生徒をしながら学園の警備・警戒”の依頼を受ける形でIS学園に入学することになった。
正直言うと気が重い……てか先が思いやられる……

 
 

 
後書き
次回は白夜、IS学園に入学する。
昔馴染みと再開? 
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