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新妹魔王の契約者~龍剣使いの神皇帝~

作者:黒鐡
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2巻
  決戦日の昼と夜

決戦日、戦闘開始は夜の為に俺らは普通に学校通いをしていた。昼間は学校にいるが、放課後になれば送迎車と共に万理亜と合流してから約束の場所へと行く事。独立蒼翼黒鮫課も手筈通りなら、結界外で何か起これば知らせるように連携はバッチリ。

柚希はあれから学校へ来る事なかったし、こちらと会う事を避けているんだと思う。何せ今回は敵として認識しなければいけないし、現在昼休みになろうとしていた。

「深雪さん、一緒に学食へ行こうよ」

「ええ、澪も一緒に行きましょうか」

「うんそうだね。一真は相変わらずだけど、私達だけで食べるとしましょうか」

「そうそう~何時もは護衛者さんの目が光ってるけど、昼休みぐらいは羽目外しても大丈夫だよぉ」

深雪とアイコンタクトしてから無言で頷くと相川と榊と一緒に行く、無論俺は何時もだと蒼翼のプリンスと言う肩書を持っているからなのか毎日のように男女の生徒らが学食に誘ってくる。クラスでは人気者として、文部両道なのか食べながら宿題や授業で分からない問題について問われる事が多い。

滝川がいない間でもそうだが、ファン連中が絡む事に関しては中庭の一件で解決。フルボッコした生徒や先に手出しして来た者は最悪退学か謹慎していると聞いた。俺と蒼太は教室から廊下に出ると担任の坂崎から声が掛かってきた。

「織斑兄、ここの所滝川がずっと休んでいるんだが何か知らないか?」

「そうですね。『守、滝川は最近ずっと魔界から来た監視者と接待しているようだ』アイツは学校を休むと連絡来てないんですか?」

「うむ。『なるほど、それと野中もだが勇者の一族も何かしら動いているようですな』一応休み始めた日に家庭の事情で休むしか聞いていないのだよ」

「確かアイツは一人暮らしのアパートに暮らしてるらしいですが『滝川は魔族関連で柚希は今回敵になっちまったので、今夜決闘をするのさ。それと内なる輩が出て来ようとしているようだから封印を強くしよう』大丈夫ですよ、今の所は独立蒼翼黒鮫課が居場所を探しているらしいので見つかったら連絡します」

「流石は独立蒼翼黒鮫課だな『私の中にいる者の封印が弱くなってきたようですから、もう少し封印を強くしてもらいませんか』居場所が分かり次第、連絡してくれると助かる」

現実と念話をしながら坂崎守に取り憑いたオルニスは神界の住人で、現在封印処置をしているお陰か俺が神族の上位神だと言う事は知らされていない。本来だと本物の坂崎守は、女子生徒達を脅迫しては性的暴行を繰り返していた時にオルニスに殺されて入れ替わる事になっていた。

だが原作を弄った事により、坂崎守は記憶共有者でオルニスに取り憑かれた事と言う設定となった。俺がここへ来た時、封印処置を強くした事で完全に出て来れないようにしといた。

「さて、俺らは屋上に行こうか蒼太」

「はい。確か昨夜の伝言を預かっていましたな」

人がいない屋上にはいるはずのない滝川が居た事で、俺は人除けの結界を張ってから昼食を空間から出すと滝川も今までの接待で疲れたのか蒼太が渡したドリンクを受け取った。

「ゴクゴクゴク・・・・ぷはぁー、助かるよ一真っち。これでまたゼストの接待疲れが無くなったぜ」

「俺としては聞きたい事があるからな、新しい監視役と他に面倒な奴が来たんだろう。俺らを襲ってきたヴァルガ三兄弟だったか・・・・パワーバカだったから、こちらとしては非常に戦いやすかったぜ」

「一真っちから見ればヴァルガ達は雑魚と言う事か。だがまあソイツよりも厄介な奴が来てしまったけど、今俺がここにいる事は流石にゼストには知られていないだろうよ。多分な」

「魔族もだが勇者の一族からの決闘についてもある程度知ってるだろう?で、新しく派遣された三兄弟を殺したし勇者の一族が何人かこの街に潜り込んでいる事や俺らの修行に関してもだろ」

滝川の任務は澪を監視する役目であり、追加魔族が派遣されて倒されても役目は変わらない。滝川は焼肉を食べに行った翌日から来ていないが、上が下した命令が厄介らしいな。ヴァルガ達の命令内容は、澪の覚醒を促すだけではなく護衛も含まれたはず。澪が死んで内に眠るウィルベルトの力が失われるような事態だけは避けたいみたいだ。

「つまりだ、ヴァルガ三兄弟を瞬殺しちまった俺らと決闘する奴らも澪を狙っている。そちらとしてはいざと言う時には介入するんだろ、澪を殺す奴は実力行使で排除するんだろうし例えそれが柚希であってもか」

「ハハハ、流石は一真っちだな。俺らの気持ちまでもが丸分かりとは、神族で上位神で異世界から来た創造神黒鐵。一真っちが死ぬ事はないが、もしも死んだ場合は俺達の協力関係も無効となるだろうが死なないんだろ?」

「おうそうだ。俺は死なない体を持ちながら、どんな勢力が敵になろうとも排除するまでだ。お前はその時になったら脅迫されたとでも言ってろ、まあこちらが負けるはずがないし俺と深雪が戦うんだ。俺らの辞書に敗北と言う文字が無い事をな」

「それを聞きたくてここに来たようなもんだ、そろそろゼストに勘ぐられると思うから俺は撤収するぜ。精々相手側が瞬殺されないよう願っておくわ」

そう言って人払いの結界を消して、滝川は去って行ったが昼食を食い終わった所で備品室にいた。しばらくすると備品室を出る為に鍵を開けてそのまま廊下へと続く扉を開けようとしたら目の前に柚希が立っていた。蒼太もいるが、俺と柚希は表ではクラスメイトでも裏では敵同士。しかも今日も休んでるはずだが、柚希は無言で備品室の中へ戻るようにしてから鍵をかけた。

「柚希・・・・今更であるが何用だ?」

「お願い一真・・・・今夜の戦いから手を引いてほしい」

「それは無理な話だ、俺は勇者の一族出身ではなく神族で上位神。それを知ってる柚希なら分かる話題だろうに、それにもし『監視対象』から『消滅対象』に変わる事の意味も知っている」

「・・・・うん分かってる。一真が上位神で全てを創ったとされている創造神黒鐵だと言う事を、でも胡桃や高志は知らないし勇者の一族を敵に回したって一真達は成瀬を守護するって」

詰め寄るようにして告げてきて縋り付き、至近距離で見上げる瞳は真剣と言うより悲愴の色を濃くしていた。俺も迅も澪を守護する事は決定事項であり、敵が魔王や勇者であっても神族には敵わない事を柚希自身は知っている。今回偽りではあったが、追放ならまだしも勇者の一族を敵に回す事になると本来の道筋には書いてあった。悲しげな上目使いをしてくる柚希に告げる。

「俺は俺で役目があるし、一度決めた事は決して曲げない事が俺のポリシーだ。俺は魔族でもなければ勇者でもない、この世界を守る資格と使命何ぞ知るか。柚希と胡桃が敵となれば、俺と深雪は迷わずに攻撃し今回の決闘に勝利を捧げるだろう。それに斯波恭一が動いたとしても、俺らの考えは変わらない事だ」

「・・・・そう」

「っと、ちょいと渡したい物があるから待て」

「離して・・・・もう話す事はない」

ポツリと呟く柚希はそっとこちらから身を離し、踵を返して立ち去ろうとしていた柚希の手を掴む。悲しげな瞳を伏せていた事で、こちらの手を振り払おうとした柚希に内ポケットから一枚のカードを柚希の手の中に入れさせた。

「・・・・これは?」

「俺達の家に入る為の認証カードだ、ウチはセキュリティーがガチガチに固いがそれがあれば関所を通らなくともウチに入れる柚希専用カードだ」

「どうして・・・・」

「俺が里に居た時、まだ東城刃更としてだったが柚希はウチの合鍵を持っていたよな?」

「それはもう昔の話であり、今は私も一真も変わってしまった。それに今夜はもう・・・・」

「分かってるつもりだが、分身体の俺が言ってるんだ。昔のような当たり前みたいに、柚希が俺の家に入ってきたりしたからさ。確かに俺と柚希は変わってしまったと言うか、偽りの記憶を植え付けた事により本来の俺が入ってきた時から終わりにはしたくはない。今日と言う日が終わり明日が来ても、俺達は柚希が来る事を拒まない」

言いたい事を終えたら柚希は受け取り拒否するのかと思えば、カードをパスケースの中に入れてから無言で備品室を出て行く。振り返ってくれなかったが、俺はそれでも構わないし未来について変える事は出来るのは選択肢によってかもしれん。夜の九時になるまで俺ら各自に過ごしていたが、戦い前の夕食と言う事で朱音達が出てきて作ったお陰で体力・魔力・神の力も絶好調。

「余り出番なくてスマンな、朱音・藍音」

「いいわよ、私達はあくまで裏で援護するぐらいだし私達の出番はまだようだしね」

「今の私達はこれしか出来ないけど、帰ってきたら連絡してねー。一真」

「一真の護衛は今回私が行く事になったが、深雪はティアで充分だろう」

「刀花、一真の護衛頼んだわよ。私は結界外で様子見してるから・・・・まあ護衛無しでも大丈夫だけど一応ね」

「分かってるさ鈴音。万が一何かしらの暴走状態となった場合、止めてくれるのは刀花と深雪だけだからな」

指輪内にいる前四大魔王である朱音達は、最後のミーティングとしてリビングには俺と朱音達だけで深雪らは自室で待機している。そんで時間となったので、俺らの車に乗った刀花と深雪と澪と万理亜と共に駅前へ向かう。

早瀬高志から指定待ち合わせ場所であり、多くの人で賑わう中で俺らは周囲を見渡す。遠くで監視している独立蒼翼黒鮫課も総動員して、今回の決闘で万が一が起きた場合や結界内で何か起こればすぐに来れるようにしてある。

「・・・・やあ、来たね。・・・・その人は何者かな?」

「来てやったがコイツは俺の護衛であり、万が一が起きた場合のみ行動するように言ってある」

人の波の向こうから声が掛かり、斯波恭一が刀花の事を言ったので軽く自己紹介してやった。刀花は俺と同じ最強の剣術使いであり、タイプも同じ万能タイプでもある。背後に高志、胡桃、柚希の三人を連れて来たようだけど深雪の側にはラードゥンも待機してある。

「それじゃ揃ったみたいだし・・・・早速始めるとしようか」

「ちょっ、ちょっと待ってよ!まさかこんな人の多い所でっ?」

澪が困惑の声を上げていたが、万理亜も似たような感じでも俺らは何も驚きの顔もしないので真顔のままとなる。週末の夜で行き交う人の数は平日の夜よりもかなり多いし、ここから人気の無い舞台など無いからな。

「まあ驚愕するのは何となく分かるけど、一真としては既に察しているようだね」

「そりゃね、お前らはこの一週間に色々と街を見て回ったが人の眼を避けるだけならここより良い場所はあっただろう」

「以前私達が戦闘した森や公園の林などは、街を霊的に構築する上で重要な地脈が走っています。貴方達を倒す為とはいえ、あそこを破壊しては本末転倒ですからね。勇者の一族は世界を守る為の存在として特殊な力を振るう事が出来る存在。精霊や神々の使いやら神獣と契約して得ている力でもあり、あくまで『正しい事に使う』と言う約束で力を借りていますよね」

「例え魔族を倒すと言う免罪符があったとしても、無闇に自然破壊したり罪のない生物を殺傷すれば行いによって『穢れ』が生じて精霊達から力を借りられなくなってしまう訳か。だが我が主は少し精霊達と話したら、結界を張って戦闘を行えるからな」

「生憎と精霊使いは胡桃だけではなく、この俺もエレメンツ使いでもあるからな。風の精霊で探査し、悪霊や低級のはぐれ悪魔は神炎で倒すだけだ。地脈が乱れてしまえば、将来的に大規模自然災害が起きてしまうようだから周囲に何もない場所よりも遮蔽物があると結界に直接ダメージが当たらない。下手に結界が壊れるとどうなるかはお前らの心配となるが、ここなら心配もいらんし展開する結界も空間をずらした事で状況を複製タイプだ」

「私なら大規模な結界であっても簡単に張れますし、駅前でこれだけのビルがあると壊れるのは結界内の複製体としての建造物。結界内に入れるのは一般人を除いた我らだけであり、結界が壊れるリスク回避も既に完了なので万理亜さんの心配するような事はありませんよ」

上から斯波、俺、深雪、刀花、俺、ラードゥンとなっている。戦闘を行うなら人の眼が少なくなる深夜にするべきだと万理亜が思う事もあるが、ここ周辺一帯は建造物が複雑で結界は本来だと高志と澪の共同で張る予定だった。二人の意識だけだと全てをコピーする事は不可能で、この辺りに居る人間達の意識を結界内の空間構築に反映する事で監視カメラの役割だと思えばいい。

「ラードゥン、俺達がよく使う結界を広範囲に張る事は可能か?」

「うん?どう言う事だい、まるでこれから行う事を知っていそうだけど」

「はい。そちらがやろうとしている事は筒抜けでございますが、ここら周辺の人間の眼を借りる事で私達が見えない場所も彼らには見えてしまいます。そうする事で明確なイメージを利用して作った結界は強固ですけど、空間再現が大変な結界は構築に集中する事で互いは余計な仕掛けはしないでしょう。貴方達がやる結界が壊れてしまうと戦闘を一時中断しなければならないし、もし貴方達が劣勢になると結界を壊して手が出しにくくなって周囲の人間を危険に晒す事は勇者にとってはハイリスクとなってしまいます」

「なるほどね、確かにこの世界に対して使命や責任を持っている僕達にとって人も動物も街も自然も僕らなら犠牲には出来ないからか。そちらが元勇者でもなく魔族でも無いんじゃ君達は何者?と疑問だけどそれについては決闘後で教えてもらおうかな、結界についてもそちらが張るようなもので構わないよ」

俺は斯波の後方にいる柚希を見るが、こちらと眼を合わせようとしないまま瞳を伏せて哀しげな表情でこちらを見ている。今は敵同士とはいえ気遣う術はなくとも、決闘後に分かる事だと思った。結界についてはこちら持ちと言う事で、ラードゥンによる転移魔法で一瞬の内に結界へ入った。一見建造物も結界外と一緒だが、異空間に作られた戦闘用世界で破壊したとしても使い捨ての空間となっている。

「へぇー僕らとそちら側を一瞬にして結界内に移動したかに思えば僕らがやろうとする方法と全く別物のようだね」

「当たり前だ、そちらは『白虎』を媒介にして結界魔法を使う予定だった。無論『白虎』も魔法も一般人には見えないから、結界範囲を広げてから増幅された結界魔法発動と共にアンタは結界外へと飛ばされた事となっていた。いくらお目付け役だったとしても、この決闘では部外者だと思ってる高志に直接聞けばいいが何らかの気まぐれを起こして戦いの邪魔をしてもらいたくないんだろう」

「なるほど、どうやら俺らの考えを見抜く事が出来る訳か。だが斯波さんも手出しは無用、こちらはこちらで戦わせてもらう。時間だからそろそろ始めさせてもらう」

そう言った高志が虚空へ向かい斜めに『白虎』を一閃すると、くるりとこちらへ背を向けて柚希や胡桃の方へと戻る。斯波と刀花に澪&万理亜は見物人として、俺らと高志らの距離を取るように離れる。近くにあった街灯の一番上にあるライトヘッド部分を切断し、ゆっくりと落下し始めて地面に落ちた時が試合開始である。 
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