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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第6章
体育館裏のホーリー
  第108話 体育祭の練習、開始!

 
前書き
イッセー達のクラスの体育祭での戦力が半端無い事に。 

 
「はいはいはーい!私、借り物レースに出まーす!」
「決まりね」

 イリナが元気よく手を上げて借り物レース参加を名乗り出る。
 現在はホームルームの時間、桐生が仕切り、体育祭で誰が何の競技に参加するかを決めていた。
 ちなみに俺は障害物競争に出る。他のオカ研メンバーでもイッセーとアーシアを除いて、鶇がスプーンレース、ゼノヴィアがメドレーリレー、ユウがパン食い競争に出る事になっている。ライニーもユウに「せっかくなんだから、積極的に参加しようよ!」としつこく言われたので、仕方なくと言った感じで俺と同じ障害物競争に出る事になった。

「兵藤」
「ん?」
「脇のところ、破けてる」
「ん、え、マジか?」

 桐生に言われ、イッセーは手を上げて脇をのところを確認する。
だが、破けてるところなんて無く、イッセーは首を傾げる。

「どこも破れてなんか…」
「はい決まり」
「ん?」

 そもそも、最初から破けてるところなんて無い。桐生の目的はイッセーの手を上げさせる事だ。

「あ!」

 黒板の二人三脚のメンバー欄に自分の名前が書かれていた事に、イッセーもようやく桐生の企みに気付く。

「騙しやがったな、桐生!」
「あんたは二人三脚よ。相方は…」

 桐生はとある席に視線を向ける。
 そこには恥ずかしそうに恐る恐る手を上げていたアーシアがいた。

「決まりね」

 そんな訳で、このクラスにいるオカ研メンバー全員、何かしらの競技に出る事になった。


ー○●○ー


 次の日から学園全体で体育祭の練習が始まっていた。

「勝負よ、ゼノヴィア!」
「望むところだ、イリナ!」

 ゼノヴィアとイリナがグラウンドで駆けっこを始める。
加減しているとは言え、流石は悪魔と天使。そのスピードは一般的な高校生のそれをゆうに凌駕していた。

「はえぇぇ…」
「……しかし、高速で動かれるとあれだな!」
「うむ。おっぱいの動きが把握しずらい!」
「やっぱ、運動の時の揺れは、適度の速さが一番だ!」
「大きいのも!」
「小さいのも!」
「目が離せないぜ!」
「「体操着最高ォォッ!」」

 バカ三人は相変わらずであった。

「お、兵藤に士騎」
「匙か」
「おお、匙」

 メジャーを持った匙が話し掛けてきた。

「何やってんだ?」
「揺れるおっぱいを観察中だが?」
「はぁ、相変わらずだな、お前。で、士騎は?」
「周りの練度の確認。……観察って意味じゃ、こいつらとやってる事は同じだな」
「見てるものが全然違うだろ。それで、二人とも競技は何に出るんだ?」
「俺は障害物」

 ちなみに松田と元浜はパン食い競争、松田はさらにスプーンレースにも出る。

「俺はアーシアと組んで二人三脚だ」
「くぅぅ、相変わらず羨ましい野郎だ。俺はパン食い競争だよ」
「そうか。男女別々で良かったな」
「なんだよそれ?どう言う意味だよ?」

 俺は顎である方向を指す。
 そこではユウがパン食い競争の練習をしていた。

「おいおい、あれは揺らし過ぎじゃねえか?」

 匙の言う通り、練習用のパンが棒に吊るされているのだが、その揺れっぷりが凄まじい。正直、手を使わないで取るのが無理と言われかねない程だ。
だがユウはゼノヴィアやイリナに負けず劣らない速さで駆け出す。普通なら吊るされているパンを手を使わず咥える為に立ち止まるところだが、ユウは止まる事無く正確にパンを咥え、走り抜けてしまう。その様は獲物を仕留める獣のそれだった。

「………」
「……まあ、頑張れ」

 そんなユウに唖然としてる匙の肩に手を置きながら、ささやかなエールを送る。
 そこへ、会長と副会長が通りがかる。

「匙、何をしているのです?」
「はい!?」
「我が生徒会はたたでさえ男手が少ないのですから、働いてください」
「は、はい!会長!副会長!」

 匙は慌てて会長達の元へ戻っていった。

「生徒会も大変だなぁ」
「男子はあいつ一人だからな」

 まあ、生徒会の役員全員が悪魔だから、女子でも並の男子以上の働きをするだろうがな。

『おおぉ!』

 なにやら騒がしくなったので、そちらの方を見ると、スプーンレースの練習が行われていた。
 そこで一際目立っていたのは、スプーンレースに出る鶇だった。なんせ、鶇がどれだけ激しく動こうと、鶇の手に持つスプーンに乗っているピンポン玉は落ちる事は無かった。
 のんびり屋の鶇は普段のほほんとしているが、そこは忍故に手先が器用だし、何より体捌きが見事としか言い様が無い程のものだ。あれぐらいは造作も無いだろう。意外と俊敏に動けるし、トップは余裕だろう。

「……うちのクラス、女子限定なら優勝確実じゃね?」
「……相手になりそうなのは生徒会のメンバーくらいだからな」

 鶇とユウに関しては、もはや誰も敵わないだろうがな。

「アーシアぁ、夏休み中、おっぱい成長したぁ?」
「きゃ!?き、桐生さん!?も、揉まないでくださいぃ!?」

 離れた所で桐生がアーシアにセクハラを働いていた。

「お前も助けるついでに練習始めたらどうだ?」
「そ、そうだな。あいつの傍に置いておくと、アーシアまでエロくなっちまうからな!」

 もう手遅れな気もするけどな。
 イッセーは桐生からアーシアを引き離し、二人三脚の練習を始める。
 かなりたどたどしいが、イッセーの言う様にコンビネーションが重要だし、あの二人なら大丈夫だろう。

「俺も練習を始めるか」

 離れた場所でムスッとしているライニー強引に連れて、俺も障害物競争の練習を始める。
 ちなみに、練習中にバランスを崩したイッセーがアーシアの胸を鷲掴みにするなんて事が起きたが、アーシアは怒るどころか一言言って欲しいなんて言っていた。
 ……アーシアがエロくなってる一番の要因って、イッセー、お前なんじゃねえのか?
 俺はそんな気がしてならなかった。


ー○●○ー


「……アーシアの嫁入りが夢で良かったよ……」

 朝食の場で、イッセーは安堵する様に言う。
 どうにも、アーシアがディオドラの下に嫁入りする夢…本人にとっては悪夢を見たみたいだ。余程ショックだったのか、目尻に涙が溜まっていた。

「夢だけにしたいわね」
「え?」
「アーシア宛に大量のラブレターが届いてたんだよ。送り主は言わなくても分かるだろ?」
「……ディオドラ」

 俺と部長はは無言で頷く。
 イッセーの家が豪邸になってから、そこで朝食を摂る事が当たり前みたいになり、朝食の準備を積極的に手伝う事も当たり前になったのだが、ディオドラが現れてから毎朝、イッセーの家に来る度に大量の手紙を処分してる部長と鉢合わせしては処分の手伝いをしていた。

「……あれから毎日毎日、何かが届けられていて……」

 送られてくるのは手紙だけじゃなく、映画のチケット、食事の誘い、商品券の他大きな物などもあった。この短時間でよくこれだけ用意できたものだ。流石は貴族ってか?

「……すみません……」

 迷惑を掛けていると感じているのか、アーシアは毎回毎回謝っていた。

「貴女が謝る事じゃないわ」
「その通りですわ」
「……迷惑を掛けているのは向こうの方です」

 他の部員もアーシアが気にする事じゃないと言うが、アーシアの表情は優れない。

「本当に困ったお坊ちゃんね」
「アーシアにプロポーズしたかと思えば、こんなマネまでしてたのか!?あいつめ!」
「まあ、処分の方は部長と俺達に任せて、二人は体育祭の二人三脚の方に集中してろ」
「ああ、分かったよ」
「はい、お願いします」

 それにしても大丈夫なのか?ここまでする奴だ。ヘタをすれば、強引な手段に出かねないんじゃねえのか?
 俺はそんな不安がよぎるのだった。


ー○●○ー


「「おいっちに!おいっちに!おいっちに!おいっちに!」」
「うん、大分良い感じだね」
「ああ、一度軽く走ってみたらどうだ?」

 俺は現在、イッセーとアーシアの二人三脚の朝練に付き合っていた。
 俺以外にもゼノヴィアとユウも来ていた。

「悪いな、三人とも」
「練習にお付き合いさせてしまって」
「気にしなくて良いよ」
「ああ」
「俺達の方はだいたい仕上がってるしな」

 俺達の方は身体能力の高さや鍛え方の違いで、他の生徒に悪いがそこまで練習する必要が無いからな。

「アーシア?」

 ふと、アーシアが表情を陰らせている事に気付いたイッセーがアーシアに話し掛ける。

「どうした?」
「いえ……」
「ディオドラの事か?」

 俺がそう訊くと、アーシアは静かに頷いた。

「……私、あの時、彼を救った事、後悔してません」

 それを聞いたイッセーは少しの間思い詰めた様な表情をしながら考えた後、アーシアに訊く。

「……なあ、アーシア。もし、元の生活に戻れるとしたらどうする?」

 アーシアはそれを聞いて驚き、目を見開く。
 イッセーはおそらく、誰よりもアーシアの幸せを願っている。今の質問もそれを意識しての事だろう。
 だが、それと同時に、アーシアの事を誰よりも手放したくないと思っているところもある。現に、今の質問に辛そうな表情を見せていた。
 もし、アーシアが戻りたいと言ってしまえば、アーシアの幸せを願うイッセーは必死になって奔走するだろう。アーシアを失うと言う辛さを押し込めながら。
 そんな覚悟を持った質問だったのだろうが、アーシアの答えは…。

「戻りません。私はここが好きです。この駒王学園も、オカルト研究部の皆さん、イッセーさんのお父様、お母様、そして、イッセーさんも大好きです。私にとって全部大切な宝物です。私は今、凄く幸せなんです」

 アーシアははっきりと、今の生活が満足だと、幸せだと言った。

「野暮な事を訊いたな?」
「ああ。俺はバカだぜ。そうさ。俺とアーシアはずっと一緒だ!」
「はい!」

 イッセーの言葉にアーシアは笑みを浮かべる。

「アーシア、ディオドラの事はもう気にするな。嫌なら嫌とはっきりフッてやれ。じゃないと、ああ言う手合いは付け上がるからな」
「はい、分かりました」

 今のやり取りで吹っ切れたのか、俺の言葉にアーシアは深く頷く。
 すると、ゼノヴィアが思い詰めた様な表情でアーシアに言う。

「……アーシア、改めてだけど、もう一度謝りたい。初めて会った時、私は君に暴言を吐いてしまった。でも、君は私と仲良くしてくれて……私の事をと、と、友達だと……」
「はい。私とゼノヴィアさんはお友達です」

 アーシアは屈託の無い笑顔でゼノヴィアの手を取り、そう言う。

「ありがとう!?ありがとう、アーシア!」

 アーシアの言葉にゼノヴィアは涙を流しながら何度も礼を言う。

「良い話だなぁ」
「ええ、そうねぇ……」

 ユウの隣にいつの間にか涙しているイリナがいた。
 その様子から、さっきのやり取りの一部始終を見てたみたいだな。

「イリナ、お前も来てたのか?」
「ええ、ゼノヴィアに「早朝の駒王学園も良いものだぞぉ」と誘われてね。で、来てみたら、こんな美しい友情が見れるんだもの。これも主とミカエル様のお導きだわ。アーメン」

 涙を流しながら、イリナは十字を切る。

「よし!練習再開だぜ!」

 イッセーの号令で、イリナを交えてイッセーとアーシアの二人三脚の練習は再開された。


ー○●○ー


「う〜ん、三人ともどうしたんだろ?」

 イッ君とアーシアさんの二人三脚の練習が一段落つき、時間まで部室で休む事になり、後片付けをしていたんだけど、イッ君とアーシアさんがライン引きを体育倉庫にしまいに行ったきり、戻ってこないので、私は体育倉庫まで様子を見に来た。
 あと、何故かゼノヴィアもいなかった。

「あれ?扉が閉まってる?」

 って事は、イッ君達はもう片付け終わってる?
 一応、確認しようと、体育倉庫の扉に近付くと、扉越しに話し声が聴こえてきた。

「あれ?いるのなら、なんで扉を閉めて…」
『……アーシア、私は聞いたんだ。私達と同い歳の女子はだいたい今ぐらいの時期に乳繰り合うらしいぞ』

 扉を開けようとした私は、扉越しに聴こえてきたゼノヴィアの言葉に固まってしまう。
 え?ゼノヴィア、今なんて言ったの?乳繰り合うって聴こえたけど、聴き違いだよね?扉越しだし。
 私は軽く深呼吸をして落ち着いた後、扉に耳を当てて、中の会話を聴く。。

『ちちくりあう?』
『男に胸を弄ばれる事だ』
『む、むむ、胸を!?』

 き、聴き違いじゃなかったあああああ!?
 ゼ、ゼノヴィア!?い、いきなり何を言ってるの!?
 内心動揺しながらも、私は中の会話を聴き続ける。

『アーシア、私達もそろそろ体験しても良いのではないかな?』
『あ、あぅぅぅ!?そんな事急に言われても!?』

 堂々とした態度で言うゼノヴィアに対して、アーシアさんは動揺してる様子だった。
 いや、それが普通だよ!ゼノヴィアが堂々としすぎなのよ!

『大丈夫だ。乳繰り合えば、自ずと二人三脚も上手にこなせる』

 そこに持ってくるの!?

『……コ、コンビネーションはそこから生まれてくるのでしょうか……?』

 アーシアさんも説得され掛けてるううううう!?

『アーシア、私達は友達だ』
『はい』
『一緒に乳繰り合おう!』
『……は、はい?そ、そうなのですか……』
『では、始めようか』

 ゼノヴィアがそう言うと、衣擦れ音が聴こえてきた!
 もしかして、ゼノヴィア、今服を脱いでるの!?

『私の方は子作りの練習も兼ねるよ』

 こ、子作りぃぃ!?そそそ、それってつまり……!?
 ど、どうしよう!?止めた方が良いのかな?で、でも、アーシアさんはイッ君の事が好きだし、ゼノヴィアもイッ君に対して好意的な素振りがあったし、本人達の合意の下なら……で、でも、イッ君はまだ合意を……イッ君はエッチだから、だぶん合意しちゃうね。で、でも……。
 あぁぁ、頭がこんがらがってきたぁぁぁ!?

『ほら、アーシアも』
『……で、でも……やっぱり、まだ心の準備が……』
『さあ』
『きゃあ!ゼノヴィアさぁぁん……』

 ああぁ、そうこうしている内にどんどん進んじゃってる!?

『おわっ!?』

 イッ君の声が聴こえたと思ったら、ドサッと何かが倒れる様な音が聴こえた!

『おわぁぁぁ!ゼ、ゼノヴィア!?』

 え、何!?今どうなってるの!?

『イッセーさん……!わ、私……部長さんには負けたくないですぅ!』

 中からイッ君の困惑している様な声が聴こえてくる。

『やはり自分で触るのと、男に触られるのとは違うね。さて、イッセー。私とアーシアどちらもの準備OKだ。もっと揉みしだくと良い』

 あわわわわ、今どうなってるんだろ?
 妙な好奇心に駆られた私は思わず、扉の取ってに手を伸ばしてしまう。
 ダ、ダメ!?ダメよ、私!?覗き見なんて!?
 そんな私の意志とは関係無く、私の手は扉の取ってを掴み、覗く為に少し開けようと…。

「……何してるんだ、お前?」
「うひゃあん!?」

 突然、背後から声を掛けられて、私は思わず変な悲鳴をあげてしまう!

「ア、アス君、イ、イリナちゃん……?」

 振り返ると、アス君と何故かハラハラした様子のイリナちゃんがいた。
 イリナちゃん、どうしたんだろう?

「お前、それ大丈夫なのか?」
「ふぇ?」

 アス君がなんの事を言ってるのか分からない私は変な疑問音を出しながら、首を傾げる。

「ユウナちゃん!?翼!翼!」
「翼……?……ハッ!」

 私は慌てて自分の背中を見る!
 いつの間にか、天使の翼が出ており、白黒と点滅していた!
 わああああ!わああああ!危ない!危ない!
 私達転生天使は従来の天使と同じで、欲を持っちゃうと、堕天して堕天使になってしまう!
 もし、あのまま覗いちゃってたら、堕天してたかもしれなかった!
 あ、危なかったぁ……。

「………」

 私の様子を訝しんだイリナちゃんが体育倉庫の扉の前に立つ!

「待って、イリナちゃん!今は開けちゃダメ…」

 ガラララ!

 私の制止を無視して、イリナちゃんは体育倉庫の扉を勢いよく開け放ってしまう。
 中ではイッ君が押し倒されていて、その上に上半身裸のゼノヴィアとアーシアさんが覆いかぶさっており、二人はイッ君の手を自分の胸に押し付けていた!
 それを見て、イリナちゃんは肩をワナワナと震わせる。

「……なかなか帰ってこないから心配して来てみれば……不潔よ!」

 まあ、クリスチャンのイリナちゃんにとって、これは見過ごせない…。

「ベ、ベッドでしなさい!ここは不潔で、衛生的に良くないわ!」
「そっち!場所の問題なの!エッチな事をするのは良いの!?」

 イリナちゃんの指摘に思わず、声を出してツッコンでしまう。

「あれ?アス君?」

 いつの間にか、アス君の姿が見えなくなっていたので、辺り見渡すと、校舎に向かってそそくさと歩いているアス君がいた。
 そして、その背中が語っていた。『面倒そうだから、先に行ってる』と。
 アス君!一人だけで逃げないでよ!? 
 

 
後書き
ユウナ、危うく堕天しかける(笑) 
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