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オズのボタン=ブライト

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第三幕その十二

「最高の気持ちになればいいよ」
「そうだよね」
「あたしはそのボタンも皆も見てね」
「楽しむんだね」
「何も食べなくてもね」
 それでもというのです。
「その食べる皆を見るのも栄養になるのよ」
「そうなんだ」
「そうよ、心のね」
「じゃあつぎはぎ娘さんもガラスの猫も」
「その通りよ」
 ガラスの猫もボタンに答えます。
「食べなくてもね」
「僕達が食べるのを見てだね」
「それが栄養になるのよ」
「見ているだけで」
「食べられる人は食べて笑顔になるでしょ」
「僕もね」
「その笑顔を見て心の栄養にするの」
 そうなるというのです。
「つまり心で食べるのよ」
「そういうことだね」
「それじゃあ」
「どんどん食べるから」
「見させてね」
 食べる時の笑顔をというのです。
「じっくりとね」
「とにかくね」 
 カルロスもゼリーを食べて言うのでした。
「このお菓子美味しいね」
「そうでしょ」
「こんなゼリーもあるんだね」
「スプーンで食べるゼリーとは別にね」
「何か癖になりそうだよ」
「わしは癖になっておるぞ」
 王様は既にというのです。
「ここまで美味いからのう」
「だからですね」
「もなかも饅頭もお団子も羊羹もじゃ」
「そしてういろうも」
「全部じゃ」
「何もかもがお好きですか」
「うむ、その子と一緒じゃよ」
 ボタン=ブライトというのです。
「本当に全部大好きじゃ」
「そうですか」
「ただのう」
 ここで、です。食べながらでした。
 王様は少し残念なお顔になってです、こんなことを言いました。
「食べて寝る前はな」
「歯を磨くことを言われてるんだよ」
 王子がカルロスに言ってきました。
「宮殿の人達にね」
「ああ、やっぱり」
「甘いものをいつもたっぷり食べているからね」
「それで寝る前はですね」
「よく歯を磨く様にってね」
「言われてますか」
「それがのう」 
 このことは少し困った感じで言う王様でした。
「辛いのう」
「いや、寝る前は絶対にですよ」
 カルロスもこのことは言います。
「歯を磨かないと」
「駄目か」
「オズの国では虫歯にはならないですけれど」「
「それでもじゃな」
「歯を磨かないと汚いですから」
 お口の中がです。
「磨かないと駄目ですよ」
「絶対にじゃな」
「お口の匂いも臭くなりますし」
「では今日もじゃな」
「毎日磨かないと」
「わかった、ではな」
 お菓子を食べながらです、そうしてです。
 王様は今日も歯を磨かないといけないと思うのでした、このことは嫌々ですが食べることはそうではありませんでした。 
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