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怪人物の来客

 現れた彼は、白いスーツに白い靴。
 帽子も白で、シャツやネクタイまでもが白い人物だった。
 白い鳩は平和の象徴であるなら、僕も白くあるべきだと言ってそのような“目立つ”様相をしている彼は、マックス・アンバー。

 メルシーの上司であるらしいが、謎の多い人物でもある。
 本人曰く、この都市にいる多くいる雑用係のようなものだと嘯いていて、ジオ分の正体については明かさない。
 この短い赤茶の髪にウェーブを付けている緑色の瞳の男は、彼自身、おしゃれに本人が気を使っているらしい。

 それも本当かどうかは分からないがとアーノルドは思う。
 全てにおいて、掴みどころのない怪しい男、それが彼、マックスである。
 だが彼の判断力に間違いはない。

 まるで全てを初めから知っていたかのように自分達をその場所に誘導する。
 それこそ未来から来たとでも言うかのように正確に。
 それ故にアーノルドにとっての彼は、夜に見上げた空に光る星の一つから来た宇宙人と言われても、全く疑わずに怪人物である。

 さて、そんな彼とアーノルドは出来れば縁を切りたいと思っていた。
 怪物と接触するなど、都市の暗部に触れることの多さが気になっている。
 本来なら、デザイナーズチャイルドなるものとまたも……アリシアが関わることなどなかったのだ。

 だから不機嫌になってしまうのも当然だ。
 そこで彼は、アリシア達が朝食を作ったところであると気づいて、

「おや、食事前だったようだね、申し訳ないことをした」
「申し訳ないと思うなら、ここに来るな」
「いや、そういうわけにもいかなくてね。デザイナーズチャイルドの件は僕の管轄だからね。直々にお礼を言わないと」
「お礼は良いから俺達を厄介事に巻き込むな」
「けれどそれが君たちの仕事ではないのかね? アーノルド君?」
「限度があるだろう……それで、いつも一緒のメルシーはどうした? とうとう喧嘩別れしたか?」

 そう聞くと同時に、事務所の扉が開いて、現れたのはメルシーだった。
 けれどいつもの余裕もなくどこか不機嫌である。
 またそんな彼女の手には白い紙袋が握られていた。と、

「ご注文通り、“デイトレ店”のアップルパイを買ってきましたよ! これで満足ですか!」
「ありがとう、優秀な部下を持って僕は嬉しいよ。そして紅茶を淹れてくれると嬉しいな」
「……それくらいは自分でした方がいいですよ、運動も兼ねて」
「僕は常に最適な肉体を維持しているので問題ないね。さて、手土産のアップルパイだ。皆で食べようではないか」

 マックスが言うと、アリシアとシャーロットが目を輝かせる。
 やはり女の子は甘いモノが好きだよなとアーノルドは嘆息したい気持ちになりながらも、

「分かった、話だけは聞いてやる。手土産の礼として、な」
「助かるよ。でもデザイナーズチャイルド関係は一度君も関わってしまったから、無関係というわけにはもう行かない部分もあるのだよ」
「関わらせたのは誰だ」
「僕だね。まあ、僕の方の事情もあるのだけれどね」
「俺達を巻き込むな」
「……君たちは特異点だから諦めたまえ」

 マックスはそう告げて、当然であるかのように席に座ったのだった。 
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