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第二幕その七

「子供みたいね」
「外見は王様でもね」
「随分と遊び好きで」
「悪戯好きで陽気で」
「本当にね」
「子供みたいな人ね」
「王様は童心の人だからね」
 ここでこう言ったのはです。
 頭にターバンを巻いてペルシャ風の立派な身なりをした端整な青年でした。背は高く王様とは好対照な感じです。
「いつもこうなんだよ」
「そうなのね」
「だから子供みたいなのね」
「その童心があるから」
「それでこうした人なのね」
「そうだよ、そして私もね」 
 この人も言うのでした。
「そうした王様といつも一緒にいてね」
「楽しんでるのね」
「ボボ王子も」
「そうなんだ」
 そのボボ王子も言います。
「今みたいにね」
「確か貴方山羊だった時はね」
 ガラスの猫は王子のかつての姿の時を聞きました。
「王様と言い合ってばかりだったのよね」
「あの時の僕は随分と口が悪かったね」
「だからなのね」
「そう、実際にね」
「言い合ってばかりだったのね」
「何かとね」 
 実際にそうだったというのです。
「そうだったんだ」
「そうなのね」
「うん、けれどね」
「今はよね」
「そう、この通りね」
「王様といつも一緒にいて」
「仲良くしてるよ」 
 王子は王様を暖かい目で見ながらガラスの猫にお話します。
「王様は僕の一番の親友だよ」
「そこまでの間柄ね」
「そうだよ」
「それでだけれど」
 今度はエリカが言ってきました。
「お客様よ」
「あっ、これは」
 王子はお部屋の入り口のところを見てでした、すぐにです。
 王様にです、こう言いました。
「王様、お客人ですよ」
「おっ、これは」
 王様はすぐにでした、オズマ達に気付いてです。
 席から立ち上がってです、まずはつぎはぎ娘に言いました。
「踊りは少し中断じゃ」
「あら、どうしたの?」
「新たなお客人が参られた」
「あら、オズマじゃない」
 踊りをぴたりと止めてでした、つぎはぎ娘はです。
 オズマ達を見てです、こう声をあげました。
「どうしたの、一体」
「ええ、実はね」
 オズマが事情をお話しました。そして。
 お話を聞いてです、つぎはぎ娘は楽しそうに言いました。
「カルロス達がここに来るのね」
「ええ、そうなの」
「ボタンと一緒にね」
「あの娘ちゃんと来られるの?」
 エリカは彼のことを気にかけていました。
「しょっちゅういなくなる子だから」
「ええ、あの子のことはね」
 オズマも心配しているお顔です。 
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