| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

月の詩

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

1部分:第一章


第一章

                         夜の雨の後
 強く長い雨が降るまま 夜になってしまったその時
 
 やっと雨が止んだ それで静かになった

 雨の喧騒が消えて静寂が戻り

 空の雲は消えて晴れ渡った空が見えてきた

 夜の空は暗く 昼の青い美しさは何処にもない

 晴れた夜空には 今は星もない

 星もなくただ黒い帳がそこにあるだけ

 けれどそこに何もないわけではなく 美しいものがそこにあった

 それは月 一つの美しい月がそこにあった

 黄金色の満月が優しい光を放って

 それで雨の後の夜空を照らしていた

 夜空を照らす優しい光 黄金色の優しい光

 雨のおかげで冷めきってしまった空の中に浮かんでいる

 その優しい満月があった

 月は何も言わず清らかに冷めきった夜空を照らしている

 その夜空の中の満月を見て それで思うことはといえば

 黄金の優しい光の中にこの身を浸していたい そのことだった

 今はただ黄金色の穏やかな世界の中で夜を楽しみ

 そうして時を過ごしたい

 今はそれだけ それだけでいい

 たった一人でも過ごしていたい この夜の優しい光の世界の中に


                          2009・12・1
 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧