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カンガ

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第三章

「ここは」
「まだ未開の地があるだけに」
「それに人の知識はです」
 フリードリヒはこんなことも言った。
「所詮は大海の中の小匙一杯です」
「些細なものですね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「その知識もです」
「ごく僅かで」
「はい、恐竜が絶滅したというのもです」
「その中の、ですね」
「ごく小さなもので」
 だからだというのだ。
「恐竜がいないと断言するには早いですし」
「それにですか」
「目撃例も多いですね」
「アフリカに、ですか」
「アフリカに限りません、海でも中南米でもアジアでもあります」
 恐竜らしきものを見たという話はだ。
「そういうことを考えますと」
「恐竜は、ですか」
「いると思います」
「目撃例からですね」
「そして地球の全てはわかっておらず」
「人の知識なぞ僅かですから」
 そうした様々なことから考えてというのだ。
「私は恐竜はまだ地球にいると思います」
「私もです、実はらしきものをですが」
「恐竜をですか」
「いえ、水ライオンを見たことがありまして」
 アフリカにいるという未確認動物の一つだ、サーベルタイガーを思わせる外見で名前通り水辺にいてカバを襲うらしい。
「水辺に」
「あの噂の」
「はい、遠くからですが」
「あのライオンは本当にいるのですね」
「あくまでらしきものを遠くから観ました」
 水辺で、というのだ。
「そうしました」
「そうなのですか」
「はい、牙も見えました」
 サーベルタイガー独特のそれもというのだ。
「あくまで遠くからですが」
「ですが牙もですか」
「見ました、ですから」
「水ライオンとですね」
「私は思っています」
「あのライオンが本当にいたとは」
 このライオンのことはフリードリヒも聞いて知っている、だが実際に見たという話は実はこの時ががじめてである。
「大発見ですね」
「はい、ただその時はカメラも携帯も持っておらず」
「撮影はしていませんでしたか」
「そこに行く機会もないので」
「確かなことはですか」
「言えないです」
 残念ながらという返事だった。
「これが」
「そうなのですね」
「川辺でした」
 その水辺はというのだ。
「そこにいたのです」
「では機会があれば」
「携帯は常に持つようにしていますので」
 今はそうしているというのだ。 
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