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オズのボタン=ブライト

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第一幕その七

「そうなんだよ」
「そうなんだね」
「行くのは川や湖の方が多いかな」
「水兵さんは海だけれどね」
「それでもだよ」
「成程ね」
「あと何かね」
 こうも言ったボタンでした。
「僕この服好きだけれどボームさんに言われたことがあるんだ」
「ボームさんに何て言われたのかな」
「この服は兵隊さんの服だよね」
「水兵さんのね」
「下士官や将校は着ないんだってね」
「あっ、そういえば」
 カルロスも言われて気付きました。
「その服は兵隊さんだけだね」
「着ているのはね」
「その帽子も将校さんは被っていないよ」
「だからあまり偉い人の服じゃないんだって」
「実際にそうみたいだね」
「そうなんだね」
「まあ僕は偉くなるつもりもないし」
 そうした考えはボタンにはありません。
「ずっとこのままだしね」
「オズの国の子供のね」
「だからね」
「水兵の服で充分なんだね」
「僕にはやっぱりこの服だよ」
 にこりと笑ってその水兵さんの服を見て言いました。
「この服が一番だよ」
「似合ってるしね」
「凄く似合ってるよね」
「そのことは誰が見てもだよ」
 ボタン程水兵さんのセーラー服が似合う子はいません、白いすっきりとしたその服が本当によく似合っています。
「似合ってるよ」
「だからね」
「水兵さんのままでだね」
「いいよ」
「じゃあ水兵さん」
 カルロスは笑ってボタンに愛嬌のある声で言いました。
「今から灯台に行こう」
「了解、隊長」
「いやいや、僕は隊長じゃないよ」
 このことはくすりと笑って否定しました。
「カルロスだよ」
「そうなんだ」
「うちのリーダーは別にいないから」
「強いて言うならナターシャ?」
「そうなるかな」
 神宝とジョージはナターシャを見て言いました。
「いつも僕達を引っ張ってくれるから」
「まとめ役みたいな感じでね」
「リーダーは恵梨香じゃないかしら」
 ですがナターシャは恵梨香を見て言います。
「私達のリーダーは」
「私なの?」
「だって皆のお母さんみたいな存在だからな」
「私がお母さんって」
「恵梨香がいると安心出来るから」
 それでというのです。
「私達のお母さんでね」
「リーダーっていうの」
「そうじゃないかしら」
「そうかしら」
 首を傾げさせてです、恵梨香はナターシャのその言葉に応えました。
「私は皆のリーダーなの」
「私達五人のね」
「そうしたことはね」
「あまり、なのね」
「思ったことはないけれど、それもこれまで一度も」
「そうだったの」
「というか誰がリーダーとかは」
 そうした考え自体がというのです。
「ないんじゃないかしら、ただね」
「ただ?」
「その都度引っ張る子は違うわよね」
 その場その状況によってというのです。 
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