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心の剣

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10部分:第十章


第十章

28.薔薇十字
 君の墓標に捧げたいものが一つだけあるよ

 紅い薔薇で作った十字架を

 君が何よりも好きだった紅い薔薇を

 天国にいる君に捧げたいからそれを一つ

 僕がこの手で編んだ紅の薔薇を束ねて

 薔薇を見ているだけで幸せだと言った君に

 僕はその薔薇で作った十字架を捧げたい

 紅い薔薇が何もかもを癒してくれるわけじゃないけれど

 それでも君に捧げたいんだ 天国の君に

 本当なら君の手に捧げたかったけれど  間に合わなかった

 そのせめてものお詫びに今  ここで捧げるよ

 
 君に前から捧げたかったものがあるんだ

 十字架を一つ今ここで捧げたい

 君が愛した紅い薔薇で作られたものを

 間に合わなかったけれどそれを今一つ

 この手で作った紅く大きな十字架を

 何よりも薔薇が好きだと言った君に

 僕はその薔薇の十字架を捧げるんだ

 紅い薔薇は何も言いも動きもしないけれど
 
 それでも君に今これを捧げたい  多くの薔薇を

 どうしても君の手にはあげられなかったね  遅くなったけど

 それでも今ここで眠る君に  静かに捧げたい


 紅い薔薇が何もかもを癒してくれるわけじゃないけれど

 それでも君に捧げたいんだ 天国の君に

 本当なら君の手に捧げたかったけれど  間に合わなかった

 そのせめてものお詫びに今  ここで捧げるよ


29.聖なる杯を
 杯を手に入れた騎士は  幾多の苦難の後で城に戻り

 そこで苦しむ王を救うのだ  その聖なる力で

 何も知らない無垢な少年が今王になり

 全てを救うことになる  何も恐れずに

 その力が城を覆い世界を覆い全てを覆い

 神の下にあらゆるものを清めるのだ

 その心は気高く美しく  何もかもを包み込む

 今聖杯の光が全てを照らし出すその中で全てが

 讃えられ許されて清められ

 今何もかもが静かに終わり彼の下に集う

 それが運命なのであるから

 
 杯が今騎士の手の中に  幾多の苦難を経てその手の中

 それで彼は苦しむ王を抱き  その力を示すだろう

 全てを知った騎士は今王の座において

 全てを司るのだ  何もかもを知り

 その知恵が人を救い迷いを救い女を救い

 苦しんでいた女をそれから解き放つ

 その心は清らかで誇りあり  何もかもをそこに抱いて

 今聖杯の光が世界を映し出しその中で世界が

 許されて結ばれて愛されて

 今何もかもが静かにはじまろうとする

 彼の司る運命において


 今聖杯の光が全てを照らし出すその中で全てが

 讃えられ許されて清められ

 今何もかもが静かに終わり彼の下に集う

 それが運命なのであるから


 
30.歌姫
 場末の酒場  何もない黄昏の酒場

 そこで歌う一人の女

 何もないのに歌い続けている  ただ一人

 その歌声だけが店の中に響く

 悲しく寂しい歌が聴こえてくる

 それが不思議と酒を進ませる

 他には何もいらなかった  歌声が肴になる

 酒が痛い程美味く思える

 歌声が心の中に響き酒もそれに続く

 一人で飲む酒は歌声につられて進み

 何もかもを寂しく思わせていたよ

 
 週末の酒場  ありふれた酒場だけれど

 そこに歌姫が一人

 一人きりで歌っているよ  別れの歌

 恋人と別れた悲しみを歌い

 悲しく寂しい声を聴かせてくれる

 それを聴くと酒を飲みたくなる

 悲しい気持ちが酒を飲ませ  何処までも酔わせる

 悲しい酔いが心に滲みて

 それが酒にも伝わりさらに飲ませる

 寂しさが店も酒も心も支配していって

 全てを包み込んでしまっていたよ


 歌声が心の中に響き酒もそれに続く

 一人で飲む酒は歌声につられて進み

 何もかもを寂しく思わせていたよ



                  2007・1・19
 
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