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ドリトル先生北海道に行く

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第十一幕その九

「そう思われることはね」
「嫌だよね」
「やっぱりね」
「そうした風に思われると」
「ウルにしても」
「うん、怖がられるよりもね」
 そう思われるよりもというのです。
「好かれる方がずっといいよ」
「そう思うことがね」
 まさにと言ったシホレさんでした。
「ウルのいいところよ」
「そうなんだね」
「他の人や生きものに怖がられてそれでいいっていうのはね」
「間違ってるんだね」
「それはヤクザ屋さんよ」
 そうした人や生きものになるというのです。
「ならず者って言ってもいいわ」
「困った人や生きものだよね」
「そうよ、山にも時々いるわね」
「行いの悪いね」 
 山の生きものにもそうした者がいるというのです。
「いるね」
「そうした風にはなりたくないでしょ」
「絶対に嫌だよ」
 ウルはシホレさんに強い声で答えました。
「僕ヤクザじゃないから」
「そう、それならいいわ」
「いるからね、本当に」
 先生も残念なお顔で言いました。
「世の中には」
「先生もそうした人を知っているんだね」
「イギリスにもいたし」
 先生はウルにご自身が生まれ育っていた国のことからお話しました。
「日本でもだよ」
「そうなんだね」
「ヤクザ屋さんには実際にそうした人は多いし」
 人に怖がられてそれで喜んでいる様な人がです。
「学校の先生にもいるよ」
「先生みたいな人にも?」
「うん、自分より年下で力もなくて立場も弱い相手に暴力を振るってそれでね」
 怖がられてというのです。
「悦に入っている人がね」
「そんな人いるんだ」
「いるんだ、日本には」
「自分より力とかが弱い相手にそんなことをして」
 ウルは先生のお話を聞いて顔を曇らせて言いました。
「怖がられて喜んでるとか」
「間違ってるね」
「本当にヤクザ屋さんだよ」
 ウルもこう言いました。
「最低だよ」
「そうした人が学校の先生だったりするんだ」
「酷いことだね」
「日本の困ったことだよ」
 先生は残念なお顔で言いました。
「日本では学校の先生が悪いことをしても公にはなりにくいからね」
「これ本当だからね」
 王子も眉を曇らせて先生に応えました。
「僕もそのことを見聞きして驚いたよ」
「普通に生徒を殴ったり蹴ったりする先生がいるね」
「何度もね、それに罵って」
「一般社会なら絶対に許されないことがね」
「先生がやったら許されるんだね」
「そうなることが多いんだ」
「だから日本の先生は質が悪い人が多いんだね」
 そうしたヤクザ屋さんと全く変わらない人がです。
「何度聞いて考えても酷いことだよ」
「日本では一番注意しないといけない職業の人は。これは僕の先入観になってしまっているけれど」
 このことを自覚しながら言う先生でした。
「学校の先生なんだ」
「ヤクザ屋さん以上にだね」
「ヤクザ屋さんはそうした人達だから最初から警戒されるよ」
 これもまた先入観ではありますが。
「けれど学校の先生は違うね」
「聖職者とか先生様とか言う人まだいるね」
「全然違うよ」
 先生は王子が今出した言葉をすぐに否定しました。
「聖職者でも様でもないよ」
「どっちでもだね」
「普通の職業と変わらないんだ」
「そうだよね」
「職業に貴賎はないんだ」
 このことも言った先生でした。 
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