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ドリトル先生北海道に行く

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第十一幕その二

「けれど穴熊さん達はね」
「いないのかな」
「うん、北海道には穴熊や猪はいないよ」
 実際にと答えた先生でした。
「実際にね」
「あっ、そうなんだ」
「穴熊さんや猪さんはいないの」
「北海道には」
「そうなんだ、北海道には猪を見たという人もいるけれど」
 それでもというのです。
「多分飼っていたイノブタが逃げたして野生化したものだろうね」
「北海道には穴熊さにゃ猪さんはいないんだね」
「穴を掘る様な生きものは」
「そうなんだね」
「うん、狼もいたんだけれどね」
 先生はこの生きもののことにも言及しました。
「それがね」
「ニホンオオカミさんと同じで」
「絶滅したんだね」
「北海道の狼さん達も」
「ニホンオオカミはいたけれどね」
 他ならぬ先生が発見しました。
「けれどね」
「北海道にはなんだ」
「もう狼さん達がいないんだ」
「そうなんだね」
「うん、エゾオオカミは絶滅したよ」
 残念なお顔でお話する先生でした。
「このことは本州や四国と一緒だよ」
「別に一緒でなくてもいいのに」
「そうしたことは」
「僕もそう思うよ」
 本当に残念なお顔で言う先生でした、そして。
 その中で、です。先生はです。
 その穴がないことについてです、こうも言ったのでした。
「穴熊君が掘る穴も大事なんだよ」
「だよね、それがひいてはだね」
「羆さんの穴にもなるから」
「だからだね」
「穴熊君が住まなくなった穴もね」
 そうした穴もというのです。
「熊君達は入るから」
「だからいいんだね」
「穴熊さん達がいることも」
「そうなんだ、いないとね」
 本当にと言う先生でした。
「こうしたことも起こったりするんだ」
「中々難しいよね」
「羆さんは身体が大きいのに」
「そんなのだとね」
「この辺りが難しいんだよ」
 自然はというのです。
「とはいっても羆が入られない位の穴はね」
「滅多にないんだね」
「実際のところは」
「そうなんだよ、だからああした事件もね」
 さっきから先生が念頭に置いていて今もお話しているその事件のことです。
「滅多に起こらないんだよ」
「それだけの穴はあるから」
「大抵の山に」
「そしてどの穴にも入られない位の大きさの羆もだね」
「いないんだね」
「あの事件は本当に滅多に起こらない」
 それこそというのです。
「そうした事件だったんだ」
「けれどその滅多に起きない事件をだね」
「起きない様にする」
「その為にもだね」
「今はだね」
「そう、今回のことは何とかしないとね」
 是非にと言った先生でした。 
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