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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第192話

その後トワやジョルジュにクロウがいる場所を聞いたが二人とも居場所を知らず、学院内を探索していると旧校舎の鍵が開いていたので、その事が気になったリィンは旧校舎の中に入り、建物の中を調べたものの特に人影は確認できず……念には念を入れ、地下第7層も確認してみることにした。



~旧校舎・第7層~



「……………………」

「ミリアム……?」

奥に佇んでいる人形兵器らしき存在をジッと見つめているミリアムに気付いたリィンはミリアムに声をかけた。



「あ、リィンも来たんだー?」

「ふう……来たんだーじゃないだろ。授業をサボってこんな所で何をしてるんだ?」

ミリアムの呑気な返事に呆れたリィンは溜息を吐いた。



「あ……忘れてた。」

「まったく……」

ミリアムの答えに溜息を吐いたリィンはミリアムと共に人形兵器らしき存在を見つめた。

「何か気になることでもあるのか?”アガートラム”とは関係なさそうだけど……」

「んー、わかんないけど少しは関係してるのかも。大元のところでは繋がってるみたいな……そんな感じ?」

「……さっぱりわからないんだが。」

ミリアムの答えを聞いたリィンは困った表情でミリアムに視線を向けた。



「まー、こればっかりは”繋がって”ないとわかんないかな?でもやっぱりオジサンに頼まれただけはあるよ。まさかこんな凄いのがいるなんてねー。」

「―――ちょっと待て。”オジサン”って……オズボーン宰相のことだよな。彼がこの人形について何か頼んでいたっていうのか?」

「うん、正確にはこの旧校舎のことだけど。何か起こったら報告するように言われてるんだよねー。ってアレ、これ機密情報だっけ。」

(鉄血宰相がこの旧校舎の”謎”を以前から気にかけていた……?クレア大尉が卒業生だというのはこの前聞いたばかりだけど………)

「どしたの、考え込んじゃって。」

考え込んでいるリィンの様子に気付いたミリアムは無邪気な笑顔を浮かべて尋ねた。



「……なあ、ミリアム。ひょっとして君は、これを調べるために編入したのか?」

「んー、それも一つかな?もっと重要な役目もあったけど必要なくなったから。」

「重要な役目……か。(なんだか要領を得ないな。誤魔化してるつもりはなさそうだけど……」

ミリアムの答えを聞いたリィンは考え込み始めたが

「そうだ、そろそろオジサンの演説が始まるんだった!いい加減ボクも戻らないとね。」

ミリアムが呟いた言葉を聞いて思考を一端停止した。



「なんだ、やっぱり事前に知らされていたのか。一応、教室でみんなでラジオ中継を聞くことになったんだが。」

「あ、だったらそっちがいいかな。それじゃあ行こっか!」

「はは……現金だなあ。そういえば……クロウを見かけなかったか?」

「ほえ?見てないけど。どっか行っちゃったの?」

リィンに尋ねられたミリアムは不思議そうな表情で首を傾げて尋ねた。



「いや、そこまで遠くには行ってないと思うんだが。でも、先輩たちも見てないらしいんだよな……もしかしたら、トリスタに遊びに出たのかもしれないな。」

「んー、そうかもね。一回街に出て探してみる?ボクもついてくからさ。」

「そうだな……探す範囲を広げてみるか。それじゃあ行ってみよう。」

その後街に出てクロウを探したがクロウの姿は見つからず、寮に戻ってみるとシャロンからクロウが寮に戻った後すぐに出た話を聞いた後正午近くになったので、学院に戻ろうとすると意外な人物が声をかけてきた。



~トリスタ~



「君達か……」

「パトリック……!?てっきり実家に帰ったのかと思ってたんだが。」

「フン、授業がないから寮で休んでいただけだ。確かに実家からは再三戻るように言われたが……こんな時におめおめ逃げ帰るなど、”四大名門”の名折れだろう。あまり甘くみないでもらおうか?」

驚いている様子のリィンを見たパトリックは鼻を鳴らして答えた。



「ほえ~……」

「はは……悪かった。Ⅰ組でもオズボーン宰相ラジオ中継を聞くのか?」

「フン……忌々しい男だが国家の一大事だからな。学院に残った他の者達と聞くつもりだ。」

「そうか……」

「そういえばお前達の仲間……いや、先輩はつくづく物好きだな。ここから近いとはいえ、わざわざ帝都まで足を運ぶとは。」

「何のことだ……?」

「あのクロウという先輩だ。今朝、駅前で会ったぞ。」

「へ……」

パトリックの説明を聞いたミリアムは呆けた表情をした。



「なんだ、知らなかったのか?”鉄血”の演説を聴きに見物に行くとか言ってたが。」

「そうだったのか……さすがに予想外だったけど。まあ、足取りがわかっただけでもよしとするか。」

「んー……?」

パトリックの話を聞いたリィンが納得している中、何か違和感を感じているミリアムはジト目になって考え込んでいた。



「よくわからんが……そろそろ正午だぞ。君達は行かないのか?」

「おっと……そうだな。行こう、ミリアム。みんなが教室で待ってる。」

「……ほーい。」

その後リィンとミリアムは教室に戻った。



同日、11:55――――



~1年Ⅶ組~



リィン達はサラ教官と共に教壇に置いているラジオに注目し、一言一句逃さないように集中していた。

「まもなく正午……オズボーン宰相による声明が始まろうとしています。クロスベル独立という事態とガレリア要塞消滅という危機を受けて宰相がどんなメッセージを出すのか……まさに、これから出される声明が今後のエレボニアを左右すると言っても過言ではありません。それでは帝都、ドライケルス広場の実況レポーターに代わりましょう。」

「ちょうど始まりそうね。」

「一体どのような演説になるのでしょう……?」

「ごくっ……」

「さすがに緊張するわね……」

ラジオから聞こえるアナウンサーの声を聞いたサラ教官は真剣な表情になり、セレーネは不安そうな表情をし、エリオットは息を呑み、アリサは真剣な表情でラジオを見つめた。



「はい、こちら帝都ヘイムダル、ドライケルス広場のミスティです。」

「え……」

「おおっ……ミスティさんじゃないか。」

「ああ、アーベントタイムの。」

「うーん、相変わらずいい声だよねぇ。」

「え―――」

リィン達がラジオから聞こえて来た女性の声について話し合っている中、エマは信じられない表情をしていた。



「エマ……?」

「どしたの?」

エマの様子に気付いたアリサとフィーは不思議そうな表情をし

「こ、この声は……皆さん、この喋っている人を知っているんですか!?」

エマは表情を厳しくしてリィン達を見回して尋ねた。



「あ、ああ………ミスティさんのことか?”アーベントタイム”というラジオ番組のパーソナリティを務めている人だが……」

「眼鏡をかけたお姉さんでたまにトリスタで見かけるよね。スタジオがあるから当然と言えば当然だけど。」

「………………」

マキアスとエリオットの話を聞いたエマは信じられない表情をしていた。



「ふむ……?」

「エマさん、もしかしてお知り合いなのですか?」

エマの様子を見たラウラが首を傾げ、セレーネが尋ねたその時

「――あ、いよいよ宰相閣下の演説が始まるみたいですね。それでは皆さん、お聞きください。」

ラジオから聞こえて来たミスティの話を聞いてラジオに注目した。



「帝都市民、並びに帝国の全国民の皆さん―――ご機嫌よう。エレボニア帝国政府代表、ギリアス・オズボーンである。」

そしてオズボーン宰相による演説が始まった…………!


 
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