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ドリトル先生北海道に行く

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第十幕その九

「先生自身はね」
「もう全然なんだ」
「もてないと思ってるんだよ」
「困ったことに」
「そういえば」
 シホレさんは先生の温和なにこにことしたお顔の相を横から見ました、そのうえであらためて言いました。
「そうした感じよね」
「うん、わかるでしょシホレさんも」
「先生と恋愛は無縁なんだ」
「先生が気付かないからね」
「相手の人がともかくとして」
「そうみたいね、けれどこの相は」
 シホレさんは先生のお顔をさらに見て動物の皆に囁きました。
「とてもいいから」
「じゃあ何時かはなんだ」
「先生もなんだ」
「幸せになれるんだ」
「そうしたお相手も出来るんだ」
「そうなるわ」
 シホレさんは先生のお顔の相を見つつ言うのでした。
「こんないい相の人はいないから」
「そうなんだね」
「じゃあその時を楽しみにしておくよ」
「先生の結婚式」
「僕達も参列したいね」
「そうしてね、本当にね」
 それこそとです、また言ったシホレさんでした。
「この人は幸せになれるわ」
「今で充分幸せとも言ってるけれどね」
「先生って欲ないから」
「とにかく無欲な人なんだ」
「お金にも地位にも興味がなくて」
「執着もないのよ」
 そうしたもの全てがというのです。
「これといってね」
「昔から」
「無欲なのはいいことよ」
 シホレさんもそのことは美徳と答えます。
「欲はあまりにも強いと災いになるから」
「そうそう、そうした人いるよね」
「物凄く欲張りな人」
「そうした人と比べたら」
「先生はずっといいよね」
「ええ、ただあまりにも無欲だと」
 その場合はといいますと。
「自分が知らないうちに損もするわよ」
「それそのまま先生なんだよね」
「先生の無欲さは極端だから」
「本当にこれといって執着しないで」
「お金も立場もね」
「昔から食べられればいいって人で」
「しかも世事には本当に疎くて」
 それこそご自身では何も出来ないのが先生です、家事やそうしたことはスポーツと同じだけ苦手なのです。
「僕達がいてね」
「やっとどうにかなる」
「そんな人でね」
「恋愛についても」
「そして他のこともなんだよね」
「その損を損と思わないのも無欲だから」
 シホレさんのお言葉はかなり広くて大きいものを見ているものでした。
「いいのだけれど」
「それで幸せに気付かないのはね」
「私達も心配なのよ」
「先生には幸せになって欲しいから」
「是非ね」
「このことがどうなるのか」
 シホレさんが言うには。
「これから次第ね」
「先生は自分では気付かないから」
「僕達がどうするか」
「そういうことかな」
「いえ、それはね」
 どうかと返したシホレさんでした。 
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