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艦隊これくしょん【転移した青年の奮闘記】

作者:Bloo-D
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日常
  第2話 提督の怒り、そして真相と決意

 
前書き
主人公が艦これに飛ばされた訳。その前に家族の話から。 

 
……アナザーサイド……



午前7:00



主人公 座蒲郎がパソコンに吸い込まれてから3日が経った翌朝。


母「おかしいわね、一体どうしたのかしら?」

息子が行方不明となり心配する母。それだけではなく、父と座蒲郎より1つ歳上の姉も心配していた。


異変に気付いたのは座蒲郎の母。
座蒲郎が普段、午前6:00になったら起きることを知ってた母は、6時になったと同時刻に座蒲郎の部屋に入ったが、本人は部屋にいない。
まさかと思って玄関で靴を確認してみると……

母「靴はちゃんとあるわね」

座蒲郎の靴はちゃんとあった。
オマケに近所の人も、見かけた人はいない。
念の為に携帯に電話するも、番号が存在しないと言われて繋がらず、挙げ句の果てには家族総出で家の中を探しても、本人の姿はどこにもない。


心配になった母は警察に相談。警察は直ちに家宅捜索や友人関係等で捜査を開始。
しかし、3日経った今になっても座蒲郎は見つかるどころか、手掛かりの一つもなく、捜査は行き詰まっているとの連絡が早朝に掛かって来た。

母「……(どうして見つからないのよ……)」

今だに息子が見つからないと言う事実に沈むが……

父「心配するな、あいつ(座蒲郎)は出来る奴だ。必ず見つかるよ」

姉「お父さんの言う通りだよ、元気を出そ」

母「……そうね、そうよ。きっと見つかるわよ!」

家族に発破をかけられては、流石の母でも沈んでばかりはいられない。
息子の為にも母は元気を取り戻した。

____________________


……主人公サイド……



一方、横須賀鎮守府



≪カタカタカタ……≫

ここに来て1週間が経ったが、毎日毎日朝から書類を片付けたりハンコを押したり、遠征の伝達と報告を受けて記録の保存の繰り返し。
それにこの1週間、長門と陸奥、大淀と金剛、そして龍驤以外の顔を見ていない。てか、みんなが執務室から出してくれないのが主な理由だけど、それ以前に部屋を訪ねる艦娘が、ティータイムに来る金剛と遠征の報告に来る龍驤だけで他は全く来ない。176人の艦娘がこの鎮守府に居るのならば、せめて別の艦娘1人くらいは訪ねに来て欲しい(例えば天龍とか。)。なのに部屋を訪ねるメンバーがこうも固定されてたら流石に寂しいし、悪くいえば宝の持ち腐れだ。

ーーーー

≪カタカタカタ……≫

座蒲郎「はぁ……」

思いきって聞くか。これ以上我慢したら、堪忍袋が保たなくなりそうだし……
1日2日くらいならまだしも、1週間も続いたら我慢にも限界ってのはある……

≪カタカタ……ピタッ≫

俺は手に取ってた書類を片付けて、手を止めてすぐ……

座蒲郎「長門、一つ聞いてもいいか?」

長門「なんだ一体?」

座蒲郎「ここに居る艦娘って、本当に176人もいるの?」

長門「ああそうだ」
座蒲郎「だったら何故、金剛と龍驤以外はこの部屋に訪ねて来ないの?」

今まで気になってたことを長門にぶつけてみる。
長門がすぐに、しかも真顔で説明したら俺の勝手な思い違いで済む。けどそうじゃなかったら、絶対に何かを隠してるのは間違いない。

長門「な…何を一体__」

座蒲郎「俺の考えが正しければ、艦娘のうち、遠征の件で誰かは抗議しにこの部屋に来る筈だ。特に天龍がな。
そこで俺はここ最近、これまで遠征要員だった天龍を外し、以来ずっと鎮守府に待機させて来た。天龍が抗議に来ると思ってな。けど、それから4日経つのに、その本人は抗議に来ない」

長門「それは__」

座蒲郎「それはここに出入りする艦娘…多分龍驤が説得して押し留めてるだけだと思うけどね」

長門「……」

だが聞いてみると、長門はどこか驚くような顔を浮かべ、俺は最初にとった策を言い並べていくが、長門には戸惑いの様子が俺には見てとれた。


座蒲郎「他にもある。
今までは大井と北上は一緒の艦隊で行動させてたけど、一昨日龍驤に渡した書類で2人は別々の艦隊に異動させた。なのに、それ以来は龍驤が傷だらけの姿になってここに通ってたのは見たけど、あの2人…特に大井からは苦情の報告以外は全然来ない。北上からは苦情は無いだろうけど、大井からの抗議が無いのは流石におかしい」

長門「……」

更に強力な手として大井と北上の件を並べて長門の表情を伺うと、本人は蛇に睨まれたカエルのような顔になっていた。長門だけじゃない、部屋の隅にいる陸奥と通信機器をいじる大淀、更に話してる最中に入って来た金剛と龍驤も同じ顔になってた。

座蒲郎「オマケに、食事はいつもここで摂らされて、トイレや風呂や自室に行くにしてもみんなが付きまとってる。
これは明らかに何かを隠してる証拠であり、俺に対する上官侮辱罪並みの罪だ!違うか⁉︎長門!」

長門「ぐっ!」

陸奥「いや提督、それは__!」

座蒲郎「陸奥、お前には聞いていない!俺は長門に聞いてるんだ!言いたい事があるなら、まず提督である俺の自由を縛るような今までの行いについて答えて欲しいな‼︎」

陸奥「ひっ!」

「「「……」」」≪ガタガタブルブル……≫

そして今までのことを話し、俺は更に長門にぶつけるが、陸奥が横槍を入れようとして、それを受け付けまいとこれまでの鬱憤を吐いて更に迫る。大淀と金剛と龍驤に至っては扉の前ですっかり怯えてる様子だが、俺にはそんなの関係ない。

長門「……」

このくらい言ったら良いだろう。これで話してくれるかわからんが……

座蒲郎「長門、秘書艦であるお前に命令する。
何か隠してることがあれば、正直に且つ全て話せ。
さっきはキツイことを言ってしまったが、本当はこんなことを言う性格なんかじゃない。ただ、今までの扱いに不満のあまり、ストレスが溜まってたから自然に出てしまっただけなんだ。
今だったら怒らない。知ってることがあれば話してくれ」

長門「……」

すっかり汗を流し始め、焦りの表情が見られる今の長門なら全て話すだろうと、さっきとは優しい口調に切り換えて改めて長門に聞く。

『……』

暫く間、沈黙がその一室を支配したが……


長門「はぁ……やれやれ。幾ら私でも、提督にそこまで言われた以上は、最早隠し通す訳にも行かぬか」

先に折れたのは長門だった 。

陸奥「長門、本当に言うの?」

長門「当たり前だ、我々は艦娘だ。提督の命令である以上、従わないワケにも行かんだろ」

陸奥「長門…あなたは……」

大淀「……」

金剛「な…ナーガト……」

龍驤「長門…秘書…艦……」

陸奥は心配そうに聞いたけど、艦娘としての使命なら、たとえ秘書艦でも提督の命令に従うのが常識だ。
一方の金剛と龍驤はまだ怯えてたけど、さっき程じゃなくなった。 ̄
座蒲郎「長門…話してくれるかい?」

長門「わかった…全てを…話そう……」

俺からの問い掛けに、諦め果てた長門は語り始めた。

ーーーー

長門「ここ、横須賀鎮守府に沢小路 座蒲郎が着任したのは本当だ。けれど、それは沢小路 座蒲郎という固定概念だけで、事実上、提督が座るここの席は空席と言っても良い」

座蒲郎「それじゃあ、本当の提督 沢小路 座蒲郎って…まさか__!」

長門「お前には信じ難いと思うが、それはこの世界ではなく、別の世界で我々を指揮しているお前の事だ。沢小路 座蒲郎」

座蒲郎「そんなのはまずありえないと思ってたが、やっぱりか……」

長門が語り出したのは、ここの本当の提督。それは別の世界…即ち現実世界で艦これをやってる俺自身の事だった。ここに来た翌日にそれは薄々考えてはいたけど、それはあまりにも非現実的な発想だからだからないと思ってたが、こうして聞くと驚く他ない。


長門「ここに着任したばかりの提督は最初はとんだ無茶な命令を出す厄介な提督だったが、それから1〜2年くらい経ち、ここに所属する艦娘が150人を超えて以来はペースを落とし、更に損害を最低大破に抑える命令を出して、何より我々艦娘を大事にするお前の変わり様に対し、我々艦娘一同は一つの結論に達した」

座蒲郎「結論?」

長門「そう。その結論とは…現実世界で我々を指揮するお前つまり…沢小路 座蒲郎を、我々の本当の提督として招き入れ、我等の指揮を執ってもらうことだ。向こうの世界ではない、この世界で」

けどここに来た提督は、最初は無茶ばかりして艦娘にみんなを困らせたらしい。現に俺は、現実世界ではかなりハイペースでゲームを進めていた。
けど、そのペースを下げるキッカケになったのが勉強でもなんでもない。第一、向こうじゃあ艦これよりも勉強を優先にしてたからハイペースと言ってもそんなにやってた訳じゃない。ペースを下げるキッカケは艦娘の数だった。プレイしてから1年経ったくらいには、レア艦除いて全員と会合したから、それ以降は緩いレベリングを兼ねて、レア艦の入手をする過程で、今まで頑張って来た艦娘を休ませる思いでもペースを下げていた。長門が言ってるのは、間違いなくそのことだった。
そしてその代わり様から、俺をここに呼びたいと俺を呼んだらしい……

長門「とはいえ、お前が居るのは…空間を隔てた向こう側(現実世界)。お前を呼ぶことはまず出来ない。
だがある日、“神のお告げにより、困っているあなた達の願いを叶える。”との声が聞こえ、私はお前達の世界と1時的に干渉出来るようになった。とはいえ、効果は1度きりだがな」

座蒲郎「じゃあ、いきなりパソコンの画面が動かなくなって、長門が手を伸ばして俺を引き摺り込んだのは__」

長門「ああっ、神のおかげだ」

座蒲郎「成る程な」

けど、俺のいる現実世界とこの世界は理…いやそれ以前に次元が違い過ぎる。そんな中、神様が神のお告げとして長門に力を与えて、それで俺を画面の中に引き摺り込んだみたいだ。


長門「だが、幾らお前を呼んだからって、その事が知れ渡れば、お前は混乱するだろうし、他の艦娘達の士気に関わると察した我々は、ここにいる者以外には秘密にして来た。だが、ここで見破られた以上は隠しようがないがな」

とはいえ、だからっていきなり呼んだら大変だろうとの彼女等の判断で、俺の事は秘密にされてたみたいだった。

長門「提督、今まで乱暴な真似をしてすまなかった。
だが、1度でいいからお前の顔をこの目で見たかった。そしてここで指揮を執って欲しかった。ただそれだけだったんだ」

座蒲郎「……」

成る程な…それが一番の理由か……


≪サッ≫

長門「みんなを代表して謝る。提督、本当に…すまなかった」

≪ガバッ≫

そして長門は、俺を突然ここに呼んで、そして今までの行いに対して、長門はみんなを代表して土下座して来た。

座蒲郎「……顔を上げて、長門。見苦しいから」

長門「ああっ……」

≪スッ≫

土下座する長門に戸惑った俺は、顔を上げさせ…それから悩んだが、すぐに声に出した。


座蒲郎「確かに、俺は長門に引き込まれてこの世界に来た。けど、だからって…長門を責めたりはしない」

≪スッ≫

長門「……」

そして長門の頬に触れ、更に続ける。

座蒲郎「俺がここに来たのは神様のお告げでもあり、お前達艦娘の願いでもあるんだ。その事実がある以上、俺はここに居てあげたいし、長門達みんなの意見が聞きたいんだ。“本当に俺が…ここで指揮を執っていいのか?”を」

長門「だが__」

座蒲郎「ましては俺は、どうやって元の世界に帰ったらいいかもわからないんだ。それを言ったら、尚更だろ?」

『!』

そして、こんな俺でもここで指揮を執っていいかと長門達に聞いた。現実世界では多くの任務をこなしたが、この世界では今まで通りに通用するかが気になるが、それ以前に俺がここにいいのかが最も気になる。
その答えは……

長門「当たり前だ!ここにいて欲しいに決まってるだろ‼︎」

陸奥「そうよそうよ!」

大淀「あなただけが頼りなのですよ、提督!」

金剛「みんなの言う通りネェ〜!私もテートクにここにいて欲しいネェ〜〜!」

龍驤「そうやそうや!」

長門達が居ても良いって答えた以上、俺も決めるしかない……


≪スクッ≫

座蒲郎「わかった……現実世界から呼ばれたこの俺、沢小路 座蒲郎は現時刻をもって、この横須賀鎮守府の提督として正式に着任!以降より、本格的に諸君等艦娘達の指揮を執り、我々の敵である深海棲艦を駆逐する‼︎」

≪バッ!≫

『了解!』

みんなの意見が決まってる以上、提督である俺が彼女等を導いて行かなきゃ、提督としても男としても失格だ。今俺に課せられた使命、艦娘達を指揮して深海棲艦を倒す事なのかもしれない。そう思ってたらやるしかないと思い、長門達の前で声高々に叫び、長門達は俺に向けビシッと敬礼した。
そして、俺にとっては深海棲艦との果てしなき長き戦いの始まりでもあった……


(続く) 
 

 
後書き
主人公 沢小路 座蒲郎に提督としての貫禄を持たせるため、今回は割と厳しく…そして優しい感じの主人公を前提に書いてみました。けど誤字脱字の報告は出来れば積極的にお願いします。

次回は他のメンバー(艦娘)との顔合わせ。(全員書けるか不安ですが……。) 
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