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Blue Rose

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第九話 戸惑う心その十

「それだけでも凄いわよ」
「そうなんだ」
「ええ、よく出来たわ」
「有り難う」
「それでだけれど」
 あらためてだ、弟に問うた。二人共箸は動いている。
「龍馬君とはお話した?」
「うん、けれどね」
「話せないわよね」
「とてもね」
「そうね、やっぱり」
「話さないと駄目かな」
「姉さんも考えてるけれど」 
 優子は言葉を選びつつ答えた。
「優花が言いたくないんだったら」
「龍馬を完全に信じられないと」
「信じられてもよ」 
 例えそうであってもというのだ。
「言えない、言いたくないのならね」
「言わなくてもいいんだ」
「それは優花が考えてね」
 そしてというのだ。
「決めればいいのよ」
「そうしたものなんだね」
「そう、優花のことでね」
「僕が決めることなんだね」
「そうよ」
 こう弟に答えた。
「そうなるわ、けれどね」
「姉さんはだね」
「言った通りよ」
「僕の味方だから」
「頼ってね」
 こう微笑んで言うのだった。
「そうしてね」
「わかったよ」
「けれど、姉さんは信じてるわ」
「龍馬のこともなんだね」
「あの子は絶対に優花の味方よ」
「僕のことを知っても」
「性別が変わる位で優花から離れる様な」
 それこそというのだ。
「そんな子じゃないわ」
「大きいからね、龍馬は」
 人としてだ、優花も言う。
「本当に」
「困っている友達から離れたことはあるかしら」
「ないよ」
 一度もとだ、優花も答えることが出来た。
「そんなことはね」
「そうよね」
「困っている人を見捨てたりすることは」
 それこそというのだ。
「龍馬はしないよ」
「そうした子だから」
「僕のことを知っても」
「大丈夫よ」
 こう言うのだった。
「あの子はね」
「わかってるけれど」
「完全には、なのね」
「信じていてもね」
 優花は言葉に戸惑いを出していた。
「それでも」
「そうよね」
「最後の最後までは」
「難しいわね」
「そのこともね」
 優花は俯いて言った。
「わかったよ」
「そうね、私もね」
「姉さんもだね」
「人を信じることが出来てもね」
「それが最後までっていうと」
「難しいのよ」
「凄くね」
 優花は姉に答えた。 
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