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おぢばにおかえり

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第二十八話 誤解のもとその四

「別に。だから今は」
「ダイエットなんですね」
「ええ。さっき言った通りね」
 話が元に戻りました。その間にもソフトやたこ焼きのいい匂いが漂ってきます。
「だから。余分には」
「そうなんですか」
「そうよ。それで何にするの?」
 話しているうちに私達の番になりました。それで阿波野君にメニューを尋ねます。
「バニラ?それともチョコレート?」
「じゃあミックス御願いします」
 こう言ってきました。
「先輩はどうされます?」
「じゃあ私も」
「ミックスですか」
「ええ。それにするわ」
 あまり深く考えずに述べました。とりあえずは、と思いまして。
「それだと」
「じゃあお揃いですね」
「ああ、そうね」
 そういえばそうです。
「そうなるわよね」
「何か嬉しくないですか?」
 何故かここで私に対して笑ってきました。
「それって結構」
「?何で?」
 何でここでこう言うんでしょうか。思わず首を傾げてしまいました。
「何でそうなるのよ」
「あれっ、だってお揃いですよ」
 阿波野君はまた私に言ってきます。
「僕と。ですから」
「阿波野君はそれで嬉しいの?」
 どうしてもわからなくて尋ねました。
「それで」
「えっ!?」
「だから」
 何故かここで驚いた顔になっちゃったのでさらに問い掛けます。
「それで。嬉しいの?」
「えっ、それって」
「どうなの?」
 顔が急に強張ってきました。不思議です。
「そこのところは・・・・・・って顔固まってない?」
「あっ、いえ」
 急に慌てだしてきました。
「別にそんなのないですよ」
「本当に?」
「ええ。そう見えます?」
「見えたけれど」
 どう見てもそんな感じでした。
「どうしたのよ、本当に」
「何でもないですけれど」
「そうかしら」
 とてもそうは思えません。今だって微妙に額に汗が見えますし。
「焦ってない?何気に」
「いえいえ」
「本当に?
「ですから大丈夫ですよ」
 どうも必死になってきました。
「ただアイスが待ち遠しいなあって」
「ソフトクリームだけれど」
 また突っ込みを入れました。
「ミックス。今頼んだじゃない」
「ああ、そうでしたね」
 やっぱりおかしな感じです。今度はわざとらしくも見えます。
「そうでした。そうそう」
「はい、できたわよ」
 丁度いいタイミングでした。
「今ソフトが。どうぞ」
「あっ、すいません」
 私が受け渡すと御礼と一緒に受け取ってくれました。 
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